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"ソウルの森"に行ってみて 2 / 作品の意味ととらえ方の自由 / 彫刻の森に点在する作品群 後編

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作品を正しくとらえること、意図しないとらえ方をすること。

  

 

 

 

 

 

ソウルの森 

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「ソウルの森」。韓国語では"서울숲"と書くソウル市内にある公園がある。2005年にオープンしたソウルの森は、35万坪もの広さがあり、その中は4つのエリア"Culture & Art Park, Educational Experience Park, Eco-forest Park, Riverside Park along Hangang River"に分けられ、それぞれのテーマに沿った設置や緑が広がっている。今回は、彫刻の森の後編へ。

 

 

前編はこちらから

 

 

 

 

彫刻の森に点在する作品群 後編

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조각정원(彫刻の森/Sculpture Park)

 

 

 

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적의(積意)(박석원) Accumulation 0628 / 박석원 PARK Sok Won(2006)

 

박석원はどこまでも自然を理解し、自然の摂理を表現することを重ねてきた人だ。彼は、模索の時代(1965〜73)から、分節(1974〜89)と結合(1990年〜現在)という思考にいたってきた。「積意」というシリーズは、そんな結合の考えにまでたどり着いたからこその作品。自然は繰り返すもの。自然にあるものは離れたり繋がったり離れたり繋がったりのサイクルで回っている。そんな摂理が作品に込められた。 

 関連作品:■ 네오룩_www.NEOLOOK.com

 

 

 

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집과 가정(이수홍) House & Home / 이수홍 LEE Soo Hong(2006)
 

ソウル内だけでなくアメリカの大学院でも彫刻を学んだ이수홍は、現在はソウルにある弘益大学の教授を勤めている。이수홍が定説するのは「内と外、その間」という相反するものの真理だ。生と死、上と下、明るいと暗いなど、相反するものがあってこそ世の中は成り立ち、その疑問を考え続ける先に彼の答えがきっとある。

 関連作品:이수홍, <시간을 담다-어제, 오늘 그리고 내일>(2004) - 홍대신문

 

 

 

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숲속, 그 영롱한 빛 속에서 Rhythm of forest / 황영애 Hwang, Young Ae(2009)

 

황영애の作品にはとても華やかさが感じられる。生命の力や美しさをスタイリッシュな造形と繊細な色合いで表現する。作品が縦に長くなっているのは、大地から目が出て、天に昇って成長していく様を描いているのだろう。 

 関連作品:황영애 HWANG, YOUNG-AE

 

 

 

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의지 Will / 김경화 Kim Kyong Hwa(2000)

 

実は彫刻の森は開園した当初とは少し作品が変わっている。初期はあったけれど、monokannが行った時はすでになかったものもある。そんな中で、この作品は後になり設置された作品のようだ。김경화は、作品の中で、人生の意味や歴史を模索している。それぞれの要素が組み合わさることにより周回して回る摂理も表しているのだろう。 

 関連作品:https://www.publicart.or.kr/search/total_list.do

 

 

 

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돌・바람 Stone・Wind - 0912 / 김방희 Kim, Bang Hee(2009)

 

積み重なる石。ただなんとなく重ねたのではなく秩序やルールが存在する。石に引っかいたような跡があるのも、その地に風が流れたことをさすとか。繋がった石と石のまたいで風が吹いて、地と地が繋がっていくのであろう。そうやって自然は成り立っている。でも、見ただけではそこまで考えに至れなかった。無念。

 関連作品:미술작품 통합검색

 

 

 

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책 Books / 최은경 CHOI Eun Kyung(2004)

 

최은경は考える、「本とは人間が作り出した知識の産物である」と。動物には性欲・食欲・睡眠欲が備わっているが、なぜか人間は知恵を本に写し、歴代で伝えていく。その欲はどこから来るのだろう、知識欲というのか伝達力というのか。今回の彫刻の森でもっとも感銘を受けた作品。 

 関連作品: [조각의미학] 13. 최은경의 예술세계 - 경기신문

 

 

  

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시인의 발자국 A poet's footmark / 장형택 Chang, Hyung Taek(2009)

 

現代人は急いでいるし疲れている。なぜそんなに急ぐ必要があるのか、日々の中で見過ごしてしまっていることはないだろうか。「詩人の足跡」と題された本作。伝えたかったのは、風の息吹も自然の声も聞けなくなっている現代人に、言葉や思いを大事にする詩人のように、この靴に座って自分を見つめ直してほしいということだった。(実はこの靴の後ろ側は座れる。)ここに座って今自分が大切だと思うこと、やりたいと思うことを、自分に聞いてみるといいのだろう。 

 関連作品:호주의 1등 한글신문 톱뉴스

 

 

 

 

交通事故の痛みと今の笑顔と 

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바람의 한가운데 In the Center of the wind / 김용진 Kim, Yong Jin(1991)

 

김용진が表現する本作は、交通事故の現場を再現することにより、便利になっていく世の物質を批判した作品となっている。ハンドルに残された左腕は、人が自動車という人工物を理性的に操るのではなく、人工物によって人の本性が浮き彫りにされてしまうことを伝える。人はなぜか物に操られ、時に暴力的になってしまう。物を持っていることがすごいわけではない。物は生活をよくするものであって、踊らさるものではないということだろうか。 

  関連作品:SCULPTURE ( public sculptures & art works ) – 별빛상자공작소 STARLIGHTBOX

  현대인의 단면을 상징, 김용진의 ‘바람의 한 가운데’ [조영남 길미술] 7회 - YouTube

 

 

 

 

 

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興味深々で作品の写真撮影に没頭していると近所のおばさまが話しかけてきた。monokannは韓国語が話せなかったけれど、翻訳アプリとジェスチャーで気持ちを伝えることができた。おばさまは自分の携帯で写真を撮ってほしいというので、喜んで撮ってあげた。とても満足げなことにうれしさのおっそわけをもらった気がした。

 

 

 

いくら作品が交通事故の悲劇を表現し、それを強く伝えようとしても、たまたま訪れたおばさまは自分を楽しくさせる作品として写真撮影をしたりする。作品ができた時、それは一つの素晴らしい想いの下で完成する。しかし、世に放たれるととらえ方は無限に広がっていく。どちらが間違いというよりは、どちらも正しいんだと思う。

 

 

 

作品を正しくとらえて自分に投影して学びを深めていくことも素晴らしい。一方、作者の気持ちはわからないけれど、楽しそうに見えるからと利用することも素晴らしい。一人一人が通ってきた道は違うのだから当たり前のこと。作品が発表された世界へ放たれたのなら、その作品に感謝して、自分らしいとらえ方をしていけばいいのだと思う。

 

 

 

表現は自由で、とらえ方も自由なのだから。

 

 

 

 

 

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*引用・参考

http://seoulforest.or.kr/info/park-info/

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