岡本太郎 明日の神話 / 無関心の人々と / 芸術が日常になじむこと
一日の利用者数が40万人前後に登るという渋谷駅。そのJRと井の頭線の間のマークシティ連絡通路にて芸術家"岡本太郎"の作品がある。
作品名は「明日の神話」。代表作・太陽の塔と対をなす作品と言われる本作は、原爆が炸裂する瞬間が描かれている。しかし、被害者への哀れみを表現しているのではなく、人がどんな残酷な悲劇さえも乗り越え、明日の神話を生むことができるという岡本太郎氏の思いが詰まっているようだ。
中央は爆発した瞬間の苦しむ人間だろうか。体が骨になりながらも形を止めようとして衝動を抑えているような力強さがある。確かに以前から悲しみはないように感じていたのはそういうことだったのかと感じていた。
私にとっては左側は新しい生命なのではないのかと感じた。今がどれだけ酷くても、新しい生命は生まれて希望になり、今の悲劇も埋められる日がくると。今と未来を表しているのか、過去と未来を表しているのか、毎回見るごとに新しい発見があるはずだ。
けれど作品よりも感じていたのは、その40万人の人たちがこの作品に目も向けず通りすぎて行くことだった。これだけ巨大な作品が少し顔を上げれば存在しているのに、渋谷の通行人は作品には目もくれず、どこかからどこかへ移動して流れていく。これは一体どういうことなのか、と作品を見ながら5分ぐらい佇んでいた。
ただそれでいいんじゃないかと。人々は作品を見ていないのではない、存在はわかりながらも作品が日常になっているのではないかと思ったのだ。自然と作品からのエネルギーを(気づかぬうちに)もらいながら何かの目的を持って通りすぎ、日常に消えていく。それが「芸術が日常に馴染むこと」なのではないかと、なんとなく思っていた。
反対側の窓には渋谷のスクランブル交差点を眺める外国の方々がいた。この人たちにはぜひ後ろを振り向いて欲しいなと感じていた。
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*参考/引用
・明日の神話|ようこそ岡本太郎記念館へ! -------------------------------------*
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