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羽咋駅の擬音彫刻 "ジャーンにズズズにゴゴゴにドドド" / 横山光輝を愛する馬渕洋 / 擬音が現実世界にある錯覚

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ジャーンで、ズズズで、ゴゴゴで、ドドドである。

  

 

 

 

 

擬音は石となり重く響き渡る

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日本海に突き出た能登半島を有する石川県。どうしても石川県だと観光名所金沢を想起してしまうけれど、石川の中央部に少し変わった読み方の市がある。「羽咋市」、読み方は「はくいし」と読む。

 

羽咋の総人口は、2020年1月1日現在で21,314人と小さな地域ではあるが、海や緑に囲まれた自然豊かな環境がそこにある。その証明として、アウトドアブランド"mont-bell モンベル"が豊かな自然の中でアウトドアを楽しめる"フレンドエリア"という地域を全国で指定しており、羽咋市はその一つのフレンドタウンとして認定されている。日本で唯一自動車で砂浜を走行できる"千里浜なぎさドライブウェイ"や、地域の町おこしとして「UFOのまち」としても知られ、地域内に"コスモアイル羽咋"というNASAも情報提供をしている施設がある。(※コスモアイル羽咋は別途紹介します。)

 

そんな羽咋市の玄関口、羽咋駅周辺には、楽し気なモニュメントが置かれているので、今回はそんなお話。

 

 

 

 

ジャーン!の「!」

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「ジャーン!」

 

それは漫画の表現で必ずと言っていいほど使われている擬音を用いたモニュメントだ。作成者は馬渕洋氏。羽咋駅周辺には馬渕氏の彫刻作品が5つあり、その内4つが擬音彫刻となる。設置は2005年3月、羽咋駅前と続く商店街の活性化やにぎわいを取り戻そうという考えのもと、羽咋駅前通り商店街事業協同組合により設置された。

 

それでは一つずつ見ていこう。

 

 

 

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この作品名は「!」。意外にタイトルはジャーンではなかった。「!」は羽咋駅西口のロータリー前すぐにある。隣には、UFOのまちを象徴するようにUFO型のキラキラしたイルミネーション機材が置かれている。

 

 

 

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「!」のおよその寸法は、高さ1メートル×横幅2.6メートル×奥行き1.1メートル×重さ5トンと、思っている以上に大きな存在。ジャーンの上には人が立つことができ、思い思いのポーズを取って写真撮影が可能だ。作品自体がメインになるのではなく、一緒に撮影をする人が主役になれるようにという馬渕氏の思いがつまっているという。 

 

 

 

 

ズズズズズズズの「・・・・・・・」  

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続いて、「ズズズズズズズ」

 

 

 

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作品名は、「・・・・・・・」 。なんで・(点)が7つあるのか初めはわからなかった。この先を見ていけば何かわかるのかもしれない。「・・・・・・・」も「!」同様に、羽咋駅西口のロータリーにあり、ちょうど「!」の後ろ側に位置する。

 

 

 

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ズが徐々に沈んでいく姿は、水の中や沼の中に落ちていくような沈んでいく感覚を想起させる。この後は、ゴボゴボゴボなどの音が聞こえてきそうだ。

 

 

 

 

ゴゴゴゴゴゴゴの「・・・・・・・」

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3つ目は、「ゴゴゴゴゴゴゴ」

 

 

 

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作品名は「・・・・・・・」 。おや?ズズズズズズズと同じタイトルではないか。ここでもまだタイトルの意味はわからなかった。「・・・・・・・」は、羽咋駅前のロータリーを右手に行った、石川県道232号と長者川が交わる部分にある。

 

 

  

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重く力強く響き渡るゴゴゴゴゴゴゴの文字。何かを引きずるような、何か大きな存在が近づいてくるような、そんな感覚と想像性を掻き立ててくる作品。

 

 

 

 

ドドドドドの「・・・・・」

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4つ目は、「ドドドドド」

 

 

  

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作品名は「・・・・・」 。なるほど!もしかすると、このタイトルはシリーズになっていて、文字数が「・」の数に合わさっているのではないか?つまり、ズ、ゴ、ドが連続擬音のシリーズになっているのだ。「・・・・・」は、「・・・・・・・(ゴの方)」の奥で見つけることができる。

 

 

 

 

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ドドドドドと地面が揺れるような激しさがある。そういった大地に根付いた擬音であるからこそ、横向きではなく縦向きに並んでいるのかもしれない。5つのドの下に、もう一つのドのような物が見えることから、大地の底のマントルぐらいまで鳴り響いているのだろう、なんて想像してみる。

 

 

 

 

「連」

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最後の作品、タイトルは「連」。これまでの4つの擬音作品とは異なる表現方法。いったい何と連なっているのか、連続する何かがあるのか。ゴとドの後ろの方にひっそりといたこの作品は、擬音作品とか、今までの自分たちとかが、静かに続いていたことを教えてくれるようだった。

 

 

 

 

馬渕洋とは?

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photo: Facebook 

 

これら5作品の作者は、彫刻家の"馬渕洋(まぶちひろし)"氏。1969年生まれ、兵庫県明石市在住。1988年に金沢美大で彫刻を学び、キリンビール庭園彫刻コンクールでは大賞に、富山県で行われた「神通峡美術展」では大賞や優秀賞に輝いている。

 

 

 

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また、数々の個展の実施やシンポジウムにも参加する他、兵庫県山口町の限界集落になるのを防ぐための"西宮船坂ビエンナーレ"や、近年では神戸市長田区にある団体"新長田アートコモンズ実行委員会"が主催する"下町芸術祭"に参加するなど、その活動は幅広い。

 

 

 

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馬渕氏は、ガンダム、幻魔大戦、宇宙戦艦ヤマト、ウルトラシリーズ、勇者ライディーン、スターウォーズなど、ジオラマやプラモ、SFをこよなく愛する人でもある。特に三国志の横山光輝先生の大ファンであり、ファン有志で作られた団体「チームムム」にも所属していたり、ジオラマ作品の展示会を頻繁に行っているほどだ。そういったジオラマやプラモの感覚が、擬音作品の想起につながったのではないかと考えられる。

 

 

 

 

今見ている世界は現実か偽物か

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実際に擬音彫刻が設置される経緯は以下のような流れだ。

馬渕氏は、ジャーンやゴゴゴゴゴゴゴの4作品の他に擬音作品を制作している。例えば、「エイエイオー」「ワハハハハ」「ガシィ!」「ウオオオオオ!!」「グサ」などがある。見る人が誰でもわかる「端的でわかりやすい作品」を追求した結果、こういった擬音作品が完成したという。

 

こういった作品を個展で展示していた馬渕氏は、個展作品を展示してくれる自治体を探していた。そのことを知った市文化財保護審議会長の板坂葵さん(羽咋市松ケ下町)が、協同組合役員に「商店街のにぎわい復活のきっかけになる」と呼び掛けた。板坂さんは彫刻家だった。その後、役員人は馬渕氏の作品を見学し、「意表を突くデザインで面白い。見ていて楽しい気分になる」と感じ、羽咋市での設置が決まった。

 

 

 

 

 

擬音シリーズは、やはり漫画やアニメ好きの心をくすぐるようで、「ジョジョの奇妙な冒険」などのファンたちがこの地に訪れて、ジョジョ立ちなどの思い思いのポーズを撮影して帰っていくという。

 

 

今の世は写真をいくらでも加工できるから、撮影した写真にテキストを上から乗せて擬音を付けることだって容易い。けれど、馬渕氏の作品のように現実世界に擬音が存在し、人々が自らその擬音に合わせて何かしらのアクションを取れるというのはとてもおもしろい。紙面やデジタルの世界が現実に入り込んできたような感覚がある。

 

 

いや、逆にこの世界が偽物の世界だということだって言えそうだ。

 

 

 

 

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*引用・参考

擬音の石彫オブジェ/羽咋市公式ホームページ

羽咋市 - Wikipedia

ホーム/羽咋市公式ホームページ

馬渕洋 | 下町芸術祭 Shitamachi Art Festival 2019

馬渕洋 Facebook

下町芸術祭|Shitamachi Art Festival

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