平和の森公園 Part1 / 平和島の歴史と名付け / 創造溢れる大田区中学生の作品たち
中学生の自由さよ、想像を超えてゆけ。
平和島に寄り添う「平和の森公園」
「平和島」。東京都大田区の大森と大井の間に位置し、東京湾に埋め立てられた人工島だ。なぜ平和島と名付けられたかと言えば、その答えは大正・昭和へとさかのぼる。横浜港が活用されていた時期、東京港は資金難にてなかなか開拓が進まなかった。しかし関東大震災をきっかけに開拓が進むことが決定し、東京港開拓が進むことになる。前向きな状況もつかの間、漁業や組合からの猛反対により開拓は途中で終了。開拓の中止により現在の平和島の一部に未開拓地が残った。検討の結果、太平洋戦争の俘虜収容所としての活用が決まり、戦後は戦犯一時収容所としても活用された。そういった経緯から、戦争を忘れない象徴としてこの埋立地は「平和島」と名付けられた。一つ忘れないでおきたいのは、平和島周辺の大森地域はかつて海苔の養殖が盛んであったこと。東京湾の開拓による排水や埋め立てにより現在は幕を閉じており、何かを失った上に何かが成り立っているということ。
平和島が竣工されたのは1967年。開拓当初はまだ"島"として成立していたが、1981年に運河の一部が埋め立てられ、その地に「平和の森公園」が完成した。それによって、平和島と大森地域が平和の森公園によって繋がった。
平和の森公園では、「平和都市宣言」として「愛し子の像」が公園全体を見渡していたり、
「平和の広場」と名付けられた広々とした広場でおもいおもいの時間を過ごすことができたり、
老若男女がトレーニングに励んだり、
アヒルが池で優雅に泳いでいたりする。
そんな平和の森公園には、大田区の中学生が作った石像たちが平和の広場を見守っている。
中学生の存在感ある作品たち
"みらいのわたし" というスローガンを合言葉に、未来へ向かう自分つくりの学校を目指している志茂田中学校。「夢」と題された作品は、顔も身長も人種も異なる3名がそれぞれ別の方向を見つめている。「人それぞれの個性は違って、得意なことややりたいことも違う。それぞれが目指す夢を追いかけていってほしい」という願いが含まれていそうだ。
[志茂田中学校 教育目標]
・自ら学ぶ、行動力のある生徒を育成する
・優しく、思いやりのある生徒を育成する
・明るく、朗らかな生徒を育成する
「集い」と題される本作は、特徴の異なる7名が一つの場所に集まった情景を表現し、「これからこの7名で新しい何かを考え、生み出そう」という期待と発見に満ちた会のように見えた。残念ながら中学校名は黒くなり見えなかった。
「夢を育む学校」と語る細越政道校長が語るように、「感動」「笑顔」「希望」をキーワードに生き生きと活動する生徒を育てることを目標に掲げる大森第四中学校。「巣立ち」と題された作品は、4匹のヒナがいざこれから大空へと飛び立つ情景を表現している。いつか生徒は巣立っていってしまう。悲しさはありつつも、そこで培ったことを活かして、違う場所で活躍することを誓うような姿を見た気がした。
[大森第四中学校 教育目標]
人権尊重 の精神を基調として、広い視野をもって未来を主体的に生き抜く資質を養うため、次の目標を掲げ、全教職員で教育実践に取り組む。
恵まれた環境を活かし、
「自主的で品のよい、健康な、努力を惜しまない生徒」を育てる。
1947年(昭和22年)創立の大森第十中学校。2019年のめざす生徒の将来像を「社会に貢献しようとする人(未来の社会を創る人を育てる)」として、先ゆく未来を創造しようとしている姿が見える。「・・・alinfini(はてしなく)」は、そんな果てない未来を生徒たちが創造して表現したものなのかもしれない。様々な歯車が回って世の中ができていて、その世の中に自分も入っていく期待や不安も見え隠れするように感じる。
[大森第十中学校 教育目標]
人権尊重の精神を基盤とし、国際的視野に立ち、生涯にわたる学習の基礎を培うことをめざして、次の目標を設定する。
・心身ともに健康な生徒
・自ら学び、解決する生徒
・自他を大切にし、鍛え合い、高め合える生徒
作品名「喜怒哀楽」。喜び・怒り・哀しみ・楽しむ、そんな人間として基本的なことでありながら、普遍的に大切にしないといけない気持ちを、ここまでストレートに豊かな表現力で作り上げた作品は、どの顔も記憶に残る顔をしている。日々のどれかを忘れてしまって自分を見失わないように、彼ら彼女らに教えられているような気持ちになれる。
[馬込東中学校 教育目標]
夢と希望を持って、未来を拓く生徒を育成する
・自ら学び行動する生徒
・健康でたくましい生徒
・礼儀正しく心豊かな生徒
かつてなかった海面の上に陸地を作る埋立地。その陸の上で、人々は生活をして、中学生は表現を行なっている。そこに陸地がなければ今日の表現が行われなかったことを考えると、埋立地があってよかったと思いつつも、海苔の養殖のように伝統として残せたモノゴトが失われていっていることも事実だ。
そんな裏腹なモノゴトの上に地上があることを忘れず、中学生たちの未来が花開くことを願い、作品を鑑賞していきたい。
Part2へ続く。
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*引用・参考
・6:「京浜運河」開削計画と「平和島」の変遷 ~ 大森・蒲田 | このまちアーカイブス | 不動産購入・不動産売却なら三井住友トラスト不動産
・ボートレース平和島の水面は東京湾の運河・・。 | ボートレース平和島 ピースターブログ
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