"豊田大橋"のしなやかな曲線美 / なぜ黒川紀章設計は動物の骨をイメージしたのか / 肉付けは誰がする?
黒川紀章氏も恐竜に憧れていたのだろうか?
「豊田大橋」という存在
愛知県の名鉄三河線"豊田市駅"。駅周辺は、松坂屋やコンサートホール、飲み屋さんやビジネスホテルなどがありとても栄えている。そんな豊田市駅からから東に15分ほど歩くと矢作川という大きな川が流れているのだが、矢作川にかかる橋がとても違和感のある存在感を放っている。
少しずつ近づいていくと何やら大きな白い物体が見える。
これが「豊田大橋」。車と大きさを比べても圧倒的に大きく、形が妙だ。
黒川紀章は動物をも建築に活かす
「豊田大橋」は、一級河川"矢作川"にかかる豊田市駅と豊田スタジアムを繋ぐ道路橋。完成は1999年。全体の長さは474.5m、1つのアーチは約140mという大きさがある。橋梁形式は、"バスケットハンドル型ニールセンローゼ橋"と呼ばれる「吊り材にケーブルを使用しねじりの力を活かした形式」が採用されている。
意匠は、かの有名な黒川紀章氏(黒川紀章建築都市設計事務所)。豊田大橋は"動物の骨"をモチーフに作られたと言う。一説には恐竜の骨とも言われており、個人的には恐竜であってほしい気持ちの方が強い。夢がある。作り全体に鋼材を使用しこれまでのデザインとも逸脱した橋になったことから総工費は予定の2倍以上の100億円がかかったそうだ。それだけの大金を使用したので、建設当初は住民から反感を食らったようで、そりゃそうだと言う感じもする。しかし、作品としてとても興味深く面白いものだからこそ、建設していただいてありがたいとも思うので、なんとも複雑な気持ち。
豊田大橋の概要もまとめておこう
橋梁名:豊田大橋(鋼道路橋)
意匠:株式会社黒川紀章建築都市設計事務所
設計:パシフィックコンサルタンツ株式会社
竣工・開設:1999年
全長:474.5m(1つのアーチは約140m)
径間長 : 78.5m(単純)+140.0m(ニールセン)+140.0m(ニールセン)+58.0m(2径間連続)+58.0m(2径間連続)
通常部幅員:20.8m
橋梁形式:バスケットハンドル型ニールセンローゼ橋
架設工法:トラッククレーンベント架設
その他:耐震補強・補修詳細設計を2013年実施
橋からの景色を望む
豊田大橋から矢作川の下流側を望むと、国道301号線にかかる久澄橋(きゅうちょうばし)が見えた。久澄橋さんとしては、隣に豊田大橋みたいな妙な形の橋がいたら、ちょっとビクビクしてしまうかもな。骨丸出しだし。それとも二人は意外に仲良しだったりするのかな。
矢作川の河川敷は広場があり、とても空が広く感じる。河川敷に降りれば、豊田大橋を下からのアングルで見ることができる。橋梁観察は、「色々な角度から見て・往路と復路を渡って・利用されている材質を触って」をしていくことが本当に楽しいことだと思っている。
kk-alubaさんによる素敵なドローン撮影の動画があったので、貼らしていただく。橋を上から見るというのもまた楽しい見方だなって思わせてくれる。
豊田大橋を渡った先には「豊田スタジアム」があり、こちらの設計も黒川紀章氏。竣工は2001年7月。市制50周年記念事業の一部として作られた。4本のツノのようなマスト(柱)が存在感を放っている。豊田大橋を見にいくのであれば、豊田スタジアムもぜひに。
肉付けは誰がする?
"動物=野生的"だと考えるならば、デザインに動物を利用することで、無機質な橋梁に命を与えることができるのかもしれない。だからこそ、豊田大橋からは動きを感じることができる。
でも骨をモチーフにしたのはなぜだろう。
肉付けをしないということか、それとも後から肉付けをするということか。もし後から肉付けをするという考えなのだとしたら、その肉を付けるのは普段利用する住民の方々なのかもしれない。
体は骨のまわりに肉があり血が巡って動くわけだ。
潤滑としての役割を私たちは担えているだろうか
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*引用・参考
・建築物紹介:豊田大橋 | 建築物紹介サイト 【ARC STYLE】
・http://arc-no.com/arc/aichi/ai-toyotahasi1.htm
・豊田大橋|照明設計・ライティングデザインの作品集・事例集・実績|近田玲子デザイン事務所
・新建築 vol.74, 1999-09, p.182-189
・トラッククレーンベント工法 | 橋の架けかた | 橋について | 橋梁事業 | 株式会社駒井ハルテック
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