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火を見つめてしまう理由 / 進化論 × 大陸移動 × プロメテウスの火 / 恵比寿カフェ・CAFE PARK

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高揚する火

落ち着く火

本能に埋め込まれた火

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火を見ている時の気持ちとは?

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 photo: 恵比寿 CAFE PARKにて

2017年が明け、初詣に行った時のこと。まだ1月1日の深夜1時を回ったぐらいで、気候も防寒着が必須な芯から冷える時間帯。参列者は、神社の参拝のため、長蛇に列を成して並んでいた。その神社では、列の両側に松明が等間隔で置かれていた。参列者が寒くないようにと、神社側のご厚意だろう。もちろん僕も参列者の一人で、「暖かいな」とありがたい気持ちでいた。そんな時、ふと人々を見ていると、どの人も松明の火に釘付けになり、目を奪われたように火を見ていることに気がついた。気持ちが高揚しているような、心が落ち着いているような、そんな顔をしていた。

たまに行くカフェに行った時のこと。そのカフェでは各テーブルに一つロウソクが灯されていた。当然僕が座った席にもロウソクがあり、その火はガラスの器から頭を覗かせながらゆっくりと揺れていた。そのロウソクを眺めていると、そのカフェの雰囲気に合わさって、なぜだか心が落ち着いていることを感じていた。

火を見ることは何か力があるのだろうか。なぜ火を見ていると気持ちが高揚する感覚がするのだろう。なぜ火を見ていると気持ちが落ち着く気がするのだろう。人の本能には火に関する何かしらの記憶が刷り込まれているのだろうか。

 

ダーウィンの進化論

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 photo: flickr - Lola Ro 

世の中には様々な人類の進化論が定説されている。中でも最初に人類の進化論を述べたのがCharles Robert Darwin チャールズ・ロバート・ダーウィンだ。彼は"Descent of Man, and Selection in Relation to Sex (1871)"の中で、アフリカの類人猿とヒトの間に解剖学や行動上の著しい類似点を指摘した。このことは、「人類の祖先は、アフリカの類人猿に近い人種であり、人類はアフリカで誕生した可能性が高いこと」を示唆した。同時に、ヒトには類人猿とは異なる特性があることも指摘した。直立二足歩行や道具の使用、小さな犬歯などがそれである。これら特性は、各々が別々で作用しているわけではなく、すべてが関わり合いながら促進されたものと考えた。

アフリカの類人猿以降、ヒトは原人・旧人・新人と進化していく。最初の原人の化石は世界中で多く見つかっているが、最も古い物になるとアフリカ東部から南部の物に限られる。このことからも、人類はアフリカ地域から世界中に広がっていった(Out of Africa)と考えられている。そして、その特性や大陸の移動に火の使用が関連してくる。

[ヒトの特徴]

・直立二足歩行(体の変化も含む)

・道具の使用

・高い知能(大きな大脳、意味を連ねた有節言語の使用など)

・高い社会性(協同行動、相互扶助などの関わり合い)

・小さな犬歯(大臼歯の小型化)

*引用/参考 1-10

 

火を使い始めた人類

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 photo: 人が歩んだ500万年の歴史〈2〉人のはじまり - 瀬戸口烈司/木村しゅうじ

火の使用跡で最も古いものは幾つか云われがある。150万年前の南アフリカ"Swartkrans Cave スワルシクランス洞窟"、140万年前のケニア"Chesowanja チェソワンジャ遺跡"などだ。また、2012年に南アフリカの"Wonderwerk Cave ワンダーウェーク洞窟"にて確実な火の使用跡も見つかっている。ボストン大学のフランシスコ・ベルナなどを含む国際研究チームは、深さ140メートルの洞窟内にて約500℃で加熱された動物の骨や植物の灰などを発見した。

洞窟などから火の使用跡が見つかっていることから、原人は気温差や季節差の防寒のため、火を使っていたと想像できる。特に、アフリカ地域からユーラシア地域への移動では、動物の毛皮だけでは凌げない寒さに打ち勝つために、火は必須であったと考えられる。その際は、原人は集団で火を囲み、寒さを防いでいたことだろう。

火の習性についてこんな話がある。 通常の動物は火を見ると逃げ出す傾向にあるが、サルやチンパンジーなどのサル類は、火を怖がらず、火の周りで暖を取るという。火にあたると体が温まることを知っているからだろう。もちろん、現代人は今でも焚き火を囲んだり、こたつにくるまったりもする。つまり、人の本能の中には、火にあたり暖を取ることの温かみや重要性が染み付いていると考えられる。また、食事をするためにも集団や家族が火の周りに集まることになり、自然とコミュニケーションが生まれることにもなる。火には、つながりや絆を想起させる記憶が本能的に備わっているのではないだろうか。

他にも、明かりや肉食獣から身を守るため、もちろん食事などの用途にも火を使用していた。中でも、食事は火のおかげで大幅にレパートリーを変化させ、それまで食べられなかった物も柔らかくして食べられるようになった。この火と食事の関係は、ダーウィンの説のように、大臼歯も小型化していったことと結びつく。

*引用/参考 6-12

 

力と脅威を誘発する火 

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 photo: Prometheus - Wikipedia

では、原人が初めて火に触れるきっかけは何だったのか。一説には、落雷やマグマの噴火によって生まれた火を大切に絶やさず使用していたと考えられている。そういった環境だからこそ、火には自然現象の偉大さや脅威のようなイメージが残っていると考えられる。各地域で宗教的な神話が作られもしている。その代表作がギリシャ神話の"プロメテウスの火"だろう。この神話からわかるように、古くの人から火には、"力"や"脅威"、"恐れ"などを象徴させる存在であったことがわかる。

[プロメテウスの火]

むかしむかし、タイタンという巨人族は地上に暮らし、仲間割れや争いばかりしていました。その中に一人だけ頭のいい巨人"プロメテウス"がいました。タイタン族に不信感を感じていたプロメテウスは、弟"エピメテウス"と共に、神々の王ゼウスの味方になり、タイタン族を退治することにしました。神々は、プロメテウスの知恵もあり、みごとに戦いに勝利しました。しかし、地上にはまだ"人間"が残っていました。ゼウスは、人間は愚かで悪いことをすると考えていたので、この世から根絶やしにすると言いました。一方で、プロメテウスが人間を作ったこともあり、プロメテウスは人間をたいそう可愛がっていました。しかし、人間は地上の生き物の中でも一番力のない存在でした。そこで、プロメテウスは人間を助けるために、ゼウスが持つ"赤い火の花"をこっそり盗んできました。この火のおかげで、人間は強くなりました。例えば、ライオンの爪よりするどい鉄の武器を作り、野生の獣を慣らし家畜にし、頑丈な杭で外からの敵を防ぐことなどできるようになりました。人間がどんどん強くなっていくのを見て驚いたゼウスは、赤い火の花が盗まれていることに気がつきました。すぐにゼウスはプロメテスの仕業だとわかり、刑罰としてプロメテウスを岩に縛りつけました。それから長い時間が経ちました。しかしあるとき、ゼウスの王座が危うくなったことがあり、プロメテウスはゼウスに知恵を授けました。その恩もあり、プロメテウスは自由の身になることができました。とさ。

*引用/参考 11-16

 

火に宿る人類の本能

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 photo: flickr - John Hughes

火は人間が進化する上で、必須なものであった。例えば、繋がりや絆を育む場所に火があった。また、力や脅威、恐怖などを想起させる存在でもあった。そんな本能的に刷り込まれた記憶やイメージが、今でも人々の中に残っているのではないだろうか。

現代は、電線やガスが張り巡らされた世の中であり、お風呂やコンロにしても、なかなか直接的な火を見ることは少なくなった。電車で周りを見れば、小さな四角の画面を見ながら違うどこかの誰かとコミュニケーションを取っている。ここではないどこかの情報を覗き、ここにある今を失っているように感じる。そこには、火の周りで暖を取るような温かみはない。だからこそ、たまに見る火には暖かみや温もりを感じることができるのではないだろうか。修行や瞑想ではないけれど、家にいるときにたまには電気を使わずロウソクにしてみたり、誰かと焚き火をしてみたりと、火に触れる機会を増やしてはどうだろうか。そうすることで、心に火を灯すことができ、心を落ち着かせることができるはずだ。そして、人間としての本能を思い出すことができるのではないだろうか。

けれど、これだけは言っておきたい。

 

「くれぐれも火の取り扱いにはご注意を。」

 

 

 

 

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東京・恵比寿:CAFE PARK(カフェ・パーク)

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今回は、そんな火の温かみを感じるカフェを紹介します。それが恵比寿にある"CAFE PARK"です。恵比寿駅からは10分弱歩きますが、駅前ではないので混雑はしておらず、とても落ち着けるカフェです。席には一つずつロウソクが置かれ、火の温かみを感じることができます。また、スタッフの方々は自然な接客をしてくれます。例えば、食事がどれぐらい減っているかなどをお客さんに気付かれないようにさり気なく確認してくれます。(僕の時は、席を直すふりをして確認していました。)料理も非常に美味しく、ドリンクもとてもおいしい。例えば、カフェラテはしっかりとエスプレッソの味を感じ、濃く深い味わいがあります。ミルクともよく絡んで気持ちも落ち着きます。

一人でも二人でも複数人でも、はたまたイベントなどでも活用できるカフェです。

[カフェ情報]

店名:CAFE PARK(カフェ・パーク)

住所:〒150-0021 東京都渋谷区恵比寿西1-21-15 エルスタンザ代官山B1

map:Google マップ

HP:CAFE PARK|恵比寿エリアのライフスタイルの新しいスタンダードを創造・発信

 

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店頭にはグランドメニュー。席に着けば本日のおすすめ黒板も置いてくれます。

 

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店内は、広々とし落ち着いた雰囲気。

 

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壁には独特のかわいい絵が描かれています。

 

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色からもわかるように、エスプレッソの味をしっかりと感じることができます。

 

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本日のおすすめであった"クリームシチューのパイ包み"。実においしそうです。

 

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近くで見ると、これが・・・

 

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こうなる!!美味しくいただきました。

 

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ぜひ一度訪れてみてはいかがでしょうか。

 

おまけ:店内で流れていたBGM

お店で流れていたBGMを聞けば、お店が目指している雰囲気が大体わかったりするものです。CAFE PARKではこんなBGMがかかっていました。

・Seymour Stein - Belle and Sebastian

・Self Reflections - Gary Marks

・Brown Skin Gal - Blake

・I Won't Lie - Michael Kiwanuka など

 movie: I Won't Lie (Live At Hackney Round Chapel, 2012) - YouTube

 

たまに、youtubeやニコニコ動画で焚き火を映すだけの動画を見たりします。火の中に自分の過去や未来を見たり、火の音に心を落ち着かせることができます。 

 

 

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*引用/参考資料

1, 進化論 - Wikipedia

2, The Descent of Man, and Selection in Relation to Sex - Wikipedia

3, THE DESCENT OF MAN, AND SELECTION IN RELATION TO SEX by Charles Darwin

4, チャールズ・ダーウィン - Wikipedia

5, 相互扶助 - Wikipedia

6, 人類の起源と進化 - 黒田末寿/片山一道/市川光雄(有斐閣/1987年12月)

7, 人が歩んだ500万年の歴史〈1〉人はどこからきたか - 瀬戸口烈司/木村しゅうじ(岩波書店/1995年4月) 

8, 人が歩んだ500万年の歴史〈2〉人のはじまり - 瀬戸口烈司/木村しゅうじ(岩波書店/1995年5月) 

9, 人が歩んだ500万年の歴史〈3〉新しい人類のは登場 - 瀬戸口烈司/木村しゅうじ(岩波書店/1995年7月) 

10, 人が歩んだ500万年の歴史〈4〉文明へのとびら - 瀬戸口烈司/木村しゅうじ(岩波書店/1995年8月) 

11, Archaeologists Find Earliest Evidence of Humans Cooking With Fire | DiscoverMagazine.com

12, Microstratigraphic evidence of in situ fire in the Acheulean strata of Wonderwerk Cave, Northern Cape province, South Africa

11, God of Fire

12, ギリシャ神話 - 石井桃子/富山妙子(のら書店/2000年11月)

13, ギリシャ神話の神・女神|プロメテウス

14, ギリシア神話 - Wikipedia

15, Greek mythology - Wikipedia

16, Ancient Greek Myths | National Geographic Kids

 

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