宝くじは当たるのか? / 当選確率 × くじの歴史 × もし宝くじが当たったら / 南蔵院・釈迦涅槃像へ
300円
買うか?買わないか?
宝くじ
宝くじ、買いますか?買いませんか?
photo: 宝くじ公式サイト
「1等当たれば5億円!!前後賞合わせて7億円!!」なんてキャッチフレーズが年中聞こえ、サマージャンボ / ドリームジャンボ / 年末ジャンボと言った「宝くじ」がどこの街でも買えるようになりました。他にも、ロト6、ナンバーズ、スクラッチと言った、ただ券を買うだけでなく、数字を当てたり、その場で削ったりしながら自分の運を試せるものも販売されています。
「もし5億円当たったらみんなどうする?」「ん〜おれはとりあえず仕事辞めて世界一周するかな。」「おれはいきなり辞めると怪しいから、しばらくは何事もなく働くよ。でも、当たると変な宗教とか、顔も忘れた親戚がいきなり来たりするとかいうよね。」「そうなの?こわっ!じゃあ、お前は?」「ん〜家買って、車買って、親に1000万ぐらい渡して、、えっと」「それまだ1億円も使えてないんじゃない?(笑)」「たしかに、はは(笑)。もし当たったらだけどね。」
しかし、当たりません。なかなか当たりません。大金が当たっている人にも会ったことがありません。いったい、なぜここまで当たらないのでしょうか?何か騙されているのでしょうか?そして、もし仮に宝くじの大金が当たったら人はどうなってしまうのでしょうか?今回は宝くじの中でも主にジャンボ宝くじ(券を買う方式)について考えていきます。これを読んで、「あなたは宝くじを、買いますか?買いませんか?」
※引用/参考 1〜3
宝くじの期待値は150円!?
photo: 情報便☆ろくでなし超特急!
警視庁によれば、平成27年の交通事故での死亡者数は4,111人でした。それを人口比で割ると約3万人に1人が交通事故で亡くなっている計算になります。一方で、1等の値段が5億円から7億円に引き上げられた"2015年の年末ジャンボ宝くじ"は、1回で27ユニット(5億4000万枚)が発行され、1等は全部で27本。つまり、1等が当たる確率は、"2000万分の1"ということになり、交通事故で死亡する600分の1の確率になります。もっと現実的に言えば、宝くじを買って1等が当たる確率は、仮に0歳から100歳まで毎回100枚(3万円)購入したとしても、99.9%以上当たることはないということです。
photo: 宝くじより投資の方がリターンが大きいのはなぜか
また、高校生の数学で習った"期待値(1枚辺りいくらの当選金が期待できるか?)"を各当選額毎に計算すると、上記の表のようになります。宝くじは一枚買って、期待値"150円(50%)"。とても低く、損のようです。
ちなみに、昔は宝くじの1等の賞金は1億円や3億円など今よりも低い値でした。それが5億円や7億円など高騰した理由にスポーツくじ(BIG)があるようです。開始当初、全く売上が伸びなかったスポーツくじはキャリーオーバー制度を加え、当選金額を引き上げました。価格の高い方に人が集まるのは自然なこと。スポーツくじによって売上が頭打ちになってきたジャンボ宝くじは、価格を上げることにしたようです。どうやらここにも政治的な問題があり、宝くじは総務省所管の財団法人"日本宝くじ協会"が運営し、スポーツくじは文部科学省の外郭団体"日本スポーツ振興センター"が運営しています。利権争いの結果、価格が上がっているようです。
※引用/参考 3〜7
いつの時代も人は"くじ"に期待してきた
photo: 古代ギリシアのくじ"クレロテリオン"の一部 (Overview: The Museum)
photo: くじ札の挿入例 (Birth of Democracy: The Jury)
photo: クレロテリオンの復元図 (Birth of Democracy: The Jury)
photo: 簡単な方法のクレロテリオン (参考資料9 "世界の歴史4 ギリシア" p.227)
では、そもそも"宝くじ"はどのようにして始まったのでしょうか?
宝くじの歴史は古く、紀元前にまで遡ります。古代エジプト人や古代スカンディナヴィア人はサイコロを使いくじをし、スコットランドのピクト人は白と黒のパン生地を壺の中に入れくじをしていたという形跡が残っています。また、古代ギリシアやローマでは、神のお告げを伝える"神託"の場でもくじが用いられていました。
興味深いのは、紀元前500年頃の古代ギリシアです。当時ギリシアでは、「くじによる民主主義」の方針がありました。政治家などの選出にくじを用いていたのです。目的は、不正や汚職、政策の偏向などを防ぐためでした。例えば、評議会議長や役人(軍の司令官や建築技師など)、神殿の修理工や監査人、死刑執行人など、とにかく様々な役職がくじにより選出されました。その選出には、「クレロテリオン」と呼ばれる抽選機が用いられていました。
クレロテリオンとは・・・
作りは真ん中の部分に横長のスロット(穴)があり、端には上から下まで繋がった漏斗のパイプが伸びています。サイズは靴箱から墓碑くらいの物まであり、スロットの数は12個や550個など様々でした。
人々は事前に配られたくじ札をスロットに差し込んでおきます。次に、抽選で必要な分の白(アタリ)と黒(ハズレ)の玉をパイプの中にごちゃまぜに入れます。
抽選機のパイプの下部分には、回転させると玉が一つずつ出るクランクが付いています。抽選時は一回ずつそのクランクを回していきます。そして、もし一つ目の玉が白であれば、スロット部分の一番上の段の横一列にくじ札を挿していた人がアタリとなります。一方で、もし黒であれば横一列みなハズレとなります。その要領で、すべてのアタリ枠が埋まるまで、玉を出し、上から順々にアタリハズレを確かめていきます。一方、簡単な物は、玉に事前に名前や数字を書いておいて、玉の出た順に順番を決める方法もありました。
photo: ローマの初代皇帝アウグストゥス (Augustus of Primaporta | Early empire | Khan Academy)
こういったくじが広がる中、ローマの初代皇帝アウグストゥスはローマ再建のためくじを使って資金を調達しました。また自身は運や迷信を心底信じる人間で、とにかくくじの結果を信じていました。行きすぎた点では、命乞いをする父子の命をくじで決め、戦争の反逆者の処刑もくじで決めたと言います。また、アウグストゥスは祝祭や晩餐会で高価な賞品(硬貨や金銀の食器など)や無駄な物(ヤギの毛や海綿など)を用意し、くじを行いもしました。これが商品を当てる現在の宝くじの始まりとも考えられています。この収益は、公共の建築物などの維持管理費や公共事業費など、ローマ再建のために使用されました。その後の皇帝達も同じように宝くじを行いましたが、それらの宝くじはローマ数字で発行したくじが用いられていました。
そんな中、9世紀、数学者で天文学者のアラブ人である"ムハンマド・イブン=ムーサー・アル=フワーリズミー"が"ゼロの概念"を提唱しました。現在のコンピューター操作の基礎となる整数の二進法が生まれたことで、くじ券発行が無限に行えるようになり、宝くじは現在の発展に至っています。
※引用/参考 8~16
世に役立つ宝くじと泥沼にハマる当選者
photo: 収益金の使い道と社会貢献広報 | 宝くじ公式サイト
現在、世界75カ国で140種類以上の国営宝くじが行われており、世界の宝くじ市場は年間2,000億ドル超の売上があると言われています。また、例えばアメリカでは、2億以上の人が宝くじを購入し、その収益のおかげで、38の州で2万5000千人以上の雇用を生み出しています。また、ニューヨーク州やカリフォルニア州では子供達の教育資金に、ペンシルヴァニア州では高齢者の健康管理に使用されています。
イギリスでも、成人の三人に二人は国営の宝くじを定期的に購入し、220億ポンド(3兆円弱)の売上は、2012年のロンドン・オリンピックなど社会貢献に使用されています。また、オーストラリアではオペラハウスの建設費に、フランスでは癌研究に、オランダでは自然災害の復興にも使用されてきました。
そして日本でも、その収益金の使い道が宝くじ公式サイトに掲載されています。それによると、平成26年、販売実績額9,007億円の内、46.7%は当選金、12.3%は経費、そして、残りの41.0%(3,690億円)は公共事業や社会貢献広報費などに使用されていると言います。
photo: 参考資料 カイジ「命より重い!」お金の話
そんな社会に役立っている宝くじですが、経済学では宝くじを「愚か者に課せられた税金」と呼んでいます。宝くじは、消費税や所得税などと違って国民全員に課税されません。宝くじの確立を正しく計算できれば、無駄な「税金」を収めることはないということです。
また、宝くじが当たればその後の人生は順風満帆だと考えがちですが、実際は元の生活にも戻れず、破産や自殺に追い込まれる例もあると言います。その原因を経済学では「限界効用逓減(ていげん)の法則」と言います。人の満足感は一番初めがMAX値で、あとはどんどん満足感は下がっていきます。例えば、福本伸行先生作のカイジでは、カイジは安月給の地下空間で耐えかねてビールをたらふく飲んで、後に大きな後悔をします。
そうした「もっと、もっと」が続くと、人はどこまでお金があっても欲を満たそうと上を望み続けます。そして、挙句の果てには借金をしたり、惨めな生活にハマってしまいます。これは、高額なことをすればするほど、「1円の価値が軽くなっていること」を意味しています。
※引用/参考 8, 17, 18
改めて質問です
photo: The top 10 biggest EuroMillions jackpot winners ever | UK | News | Daily Express
改めて、あなたは宝くじを買うでしょうか?買わないでしょうか?
悲しいところを言えば、期待値150円であることや、当たってももしかしたら人生どん底になるかもしれないということ。嬉しいところを言えば、当たり前に億万長者になれるかもしれないし、自主的に宝くじを買ったお金が世のため人のためになっていること。
僕自身は、おそらく何かのイベントがないと買わないんじゃないかと思います。それはそもそも"無駄"って感覚が拭えないからですし、大金を稼ぐってなったら運よりも頭を使った方が近道なように感じるからです。しかし、かといって宝くじをマイナスに捉えているかと言われるとそうでもありません。その一つに、例えば家族や友達と宝くじを買って、「当たったらどうする?」みたいな"もしかしたら"な話をしている時間はすごく尊く楽しいからです。何かその瞬間を同じ目線で共有しているようで、すごく大切な時間だと思っています。それに、根本的に人間はどこまでいっても完全に満たされないのであれば、"おあずけ"ぐらいがちょうどいいのかもしれません。
それに、もし今後あなたが宝くじに当たってもきっと大丈夫です。宝くじの良い面も悪い面も知ったあなたはきっと大金に惑わされず冷静に◯◯億円と向き合えるはずです。親孝行してもいい、土地を買ってもいい、もちろん何も変わらない生活をしてもいい。すべてはあなた次第です。。。おっと、また「もし宝くじが当たったら?」なんて妄想にかられそうになってしまいました。いけない、いけない。
けれど、これだけは言っておきましょう。
「宝くじ、買わなきゃ当たらないよ。」
最後に、イギリスの政治記者"ゲイリー・ヒックス氏"の言葉で。
宝くじは今後どんな運命をたどるのか、それはわからない。スキャンダルと利益、聖人と罪人、深いジレンマに悩む各国政府ーーーさまざまな問題を抱えつつも、宝くじはこれからも存続していくだろう。それもそのはず、宝くじほど人の心を惹きつけてやまないものはないのだから。勝敗はすべて運まかせ。真に民主的な方法で勝者と敗者が決まる宝くじの絶対的な公平さは、万物が偶然の上に成り立っているという事実を示している。まさに「運命のブックメーカー(賭屋)」なのである。
あなたの人生に幸あれ。
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奇怪な物を見に行こう: 南蔵院・釈迦涅槃像
当たるのが難しい宝くじ。しかし、そんな宝くじを当てた住職さんが福岡県にいらっしゃいます。糟屋郡篠栗町にある「南蔵院」。近隣の方に話を聞くと、南蔵院の住職さんは余った宝くじを買い取ったらその中から1等+前後賞が当たり、その後もナンバーズに2回当選したりと相当な運の持ち主だそうです。南蔵院には、その運に肖ろうと年間120万人の方々がお参りにいらっしゃいます。
そんな南蔵院で特に有名なのが巨大大仏「釈迦涅槃像(しゃかねはんぞう)」です。
高さ11m,
横41m,
重さ300t、という規格外のスケールで、青銅製の大仏では世界一。
気持ちよさそうに眠っているように見えたり、見下されているように見えたり、心境によって表情が変わって見えます。 南蔵院では、「大黒天様のお札」が買え、これを買うと宝くじが当たるとか当たらないとか。しかし、涅槃像の顔を見ていると、「お金にがっつかず、緩やかな気持ちでいないと、宝くじなんて当たらないよ。」と言われているようでした。
背中側も歩けちゃいます。
足には「仏足」と呼ばれる模様が描かれています。模様には、お釈迦様の尊い教えと慈悲の心が込められているそうです。
頭も手も目の前で見ても本当に大きい。
涅槃像の前にはかわいい和尚さんが
猿じゃなくて、「見カエル聞カエル言カエル」の像もあります 笑
涅槃像とは違う方面には、高さ11メートルの不動明王像が。お顔が険しい。
不動明王に見下ろされながら、お百度参りもできます。
不思議に長いトンネルもあります。
トンネルの両サイドには二人の坊主さんと祈願した方々の名前札がありました。
トンネルの真ん中には"七福神人形"が!これはご利益ありそう。
人形師さんたちの情報も。
福徳をいただけたのでしょうか?いただけているといいな。
別の所には、祈願された方々の名前が付いたお釈迦様が溢れる部屋もあります。
南蔵院本堂の横には、「おかかえ地蔵様」なる物も。僕はもう少しの努力でした。
言葉も刺さります。
いい加減だと言訳がでる
中途半端だと愚痴がでる
一生懸命だと知恵がでる
僕がここへ来て本当に驚いたのは、どんな小さな石像の前にも賽銭用のザルが置かれていたことでした。ここまで「お金」を前面に出していると、逆に清々しくて悪い気がしませんでしたね。南蔵院では、一円玉を持ってきて、一つ一つに賽銭される方が多いんだとか。1円回りってやつですかね。姉妹の子達が楽しそうに小銭を投げ入れていました。
こっちにもザル。
こっちにもザル。
こっちもザル 笑。同じ顔がいるようで、どれも微妙に違うんですよね。
南蔵院へお越しの際は、JR篠栗線 城戸南蔵院前駅からどうぞ。
[南蔵院 アクセス]
場所:〒811-2405 糟屋郡篠栗町篠栗1035
map:Google マップ
電車:JR篠栗線 城戸南蔵院前駅
吉田屋さんのおうどんは絶品でした。本当に美味しいです。また行きたい。
スタッフの女性もすごく穏やかで優しかったです。癒されました。
[おススメの食事]
店名:吉田屋 (食べログ)
場所:福岡県糟屋郡篠栗町篠栗966
map:Google マップ
涅槃像は自由の女神と同じ身長みたいです。
また、進撃の超大型巨人が60mなので、こんなやつらが彷徨いている世界は恐怖でしかありませんね。
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*参考資料
1. 宝くじ公式サイト
2. 宝くじで40億円当たったんだけど異世界に移住する 1 - すずの木ろく/黒獅子(双葉社/2014年8月)
3. なぜ人は宝くじを買うのだろう 確率にひそむロマン - 岸野正剛(化学同人/2007年1月)
5. 臆病者のための億万長者入門 - 橘玲(文春新書/2014年5月)
7. toto公式サイト-ネットでも買える高額当せんくじBIG。目指せ億万長者!目指せ最高6億円!
8. Fate's Bookie ~ How The Lottery Shaped The World 宝くじの文化史 ~ ギャンブルが変えた世界史 - Gary Hicks ゲイリー・ヒックス Tomoko Takahashi 高橋知子(原書房/2011年11月)
9. 世界の歴史 4 ギリシア - 村田数之亮/衣笠茂(河出書房新社/1989年8月)
10. 関本洋司のブログ
11. 1.世界遺産にみる地中海域の古代・中世社会 - 9. アテナイ、「アクロポリスを巡る遺構」
12. NAMs出版プロジェクト: くじ引き関連資料 +ヴェネツィアのくじ引き
13. Agora Image 2010.01.0107 (83-266) - ASCSA.net
14. Birth of Democracy: The Jury
16. 2002年NAM代表くじ引き選出
17. カイジ「命より重い!」お金の話 - 木暮太一(サンマーク出版/2013年4月)
*奇怪な物を見に行こう 引用/参考資料
・世界一の釈迦涅槃像!福岡・篠栗町の「南蔵院」はご利益スポット満載 | 福岡県 | トラベルjp<たびねす>
・南蔵院 | 福岡観光地検索 | 福岡県観光情報 クロスロードふくおか
・吉田屋のスタッフの方(地元の方)
*related
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【Lamb音源】
Lambのプレイリストを公開しています。1曲1曲から何かを感じてもらえたらうれしいです。ライブ情報も公開していますので、随時お知らせいたします。
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