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物事を考え、新しい「1」を創り出す

遠回りしたことで発見したこと / トトロ × 松岡修造 × 大泉洋 / 奥多摩 白丸ダムへ

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「道草しないで、真っすぐ帰るんだよ〜」と言われて

真っすぐ帰らなかった覚えがあります。

 

とにかく最短を目指して

f:id:monokann:20160617231313j:plain photo: flickr - Tobias Dick

毎日は"選択"でできています。 どこかへ行くのも、何かを買うのも、誰かに会うのも。反対に、何もしないことだって、全て自分で選択して、毎日を生きています。そして、どんな人だって、その選択は間違えたくはないし、できる限り時間は掛けたくない。

けれど、最短の選択をあえてしなかったり、強制的に時間のかかる道を選ばなくてはいけない時があります。その遠回りや道草を食うことで、今まで知らなかった自分や、新しい出会いを発見することができます。

 

楽しい出会いが待っている

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 photo: My Neighbor Totoro (1988) — The Movie Database (TMDb)より

「歩こう〜歩こう〜」と歌いだすのはスタジオジブリ作品"となりのトトロ"。

草壁一家は田舎のボロ屋に引っ越してきました。姉サツキちゃんの学校初日、妹メイちゃんは草が生い茂る庭で一人遊んでいました。すると、一つ、また一つと"どんぐり"を発見。その先に突然小さく不思議な生き物が現れます。メイちゃんはその生き物を追いかけます。どこまでもどこまでも。大きなクスノキまで追いかけたメイちゃんは、幹の間に転がり落ちてしまいます。そこで、大きなふわふわな生き物"トトロ"と出会い、物語は始まっていきます(※1)

トトロとの出会いは、実際の生活でも当てはまります。自分の枠の中で遊んでいても発見や出会いは微々たるものです。けれど、今まで知らなかった道の先には、この上なく楽しい出会いや経験が待っている場合があります。

 

挫折は遠回りか?

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 photo: https://bb-wave.biglobe.ne.jp/sogyotecho/05/

しかし、遠回りは楽しいことばかりではありません。

元プロテニスプレイヤー、現在はスポーツキャスターやタレントとして活躍している松岡修造さん。彼は、錦織圭選手の才能を見出すなど、"SHUZO Challenge"と呼ばれるテニスジュニアの育成にも励んでいます。また、日本の気温を変化させてしまうなんて噂が流れるほど、熱い男としても有名で、「みんなを元気」にするため応援し続けています。

しかし、そんな前向きさが見える松岡さんの人生は、挫折との闘いでした。人生最大の挫折は21歳の時。プロになり、世界ランキングも100位を切り、これからという時に両膝の半月板損傷を患います。悩みに悩み、手術を選択しましたが、痛みは引かない。ランキングが下がる焦りや、医師への不満、英語のストレス。試合も負けが続き、1年を棒に振った彼の心理状態は絶望的でした。そして、彼は再手術を決断します。

手術はうまくいき、そのリハビリ中、彼は一人の女の子と出会いました。室内でも帽子を被った彼女は松岡さんの大ファンだといい、「私のぶんまで頑張ってください」と満面の笑みで伝えます。しかし、その後すぐ彼女は帰らぬ人に。白血病患者でした。

この挫折と出会いで、松岡さんは変わります。「(彼女のぶんまで)本気で生きる」と思ってからは、すべてを前向きに捉えることができるようになったといいます(※2)

 

浪人も必要な遠回り

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 photo: ++ 大泉洋のサンサンサンデー ++ より

高校生にとっての大きな関門イベント"大学受験"。志望校に現役に入ること、それが最短な道ですが、現役で受からなかったら"浪人"という道をたどる人もいます。

俳優の大泉洋さんもその一人。現役時代、「早稲田に行った兄を超える」と意気込みましたが、志望校に落ち、2浪の道へ。浪人中を楽しんでいた大泉さんは、結局またしても志望校に落ちます。その時期の彼について、お母さんは著書で語っています(※3, 4)

「もう、死ぬんじゃないか、と思っていました(笑)。こんな明るい子でも、ダメなんだあと思っていましたね。」

結局、北海学園大学に進んだ大泉さんでしたが、入学後は遊ぶ気分になれなかったといいます。けれど、「このままじゃダメだ」と奮起して、演劇部の門をたたくのです。そこで今も続くTEAM NACSのメンバーと出会い、今の活躍につながっていきます。

 

人は道草を食って生きていく 

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2015年1月、肺炎のため亡くなった遅咲き作家 赤瀬川隼さん。

住友銀行で働き、外国語教育機関書店で働き、52歳の歳に作家デビューを果たします。そんな彼は成人式用のパンフレットにこんなメッセージを掲げました(※5)

「道草を食うことを恐れるな。だいたい人生の目的なんて簡単に決められるものではない。一流会社?昇進?そんなものが目的だとしたら情けないことだ。それは見過ぎ世過ぎの手段のひとつに過ぎない。生きていればやがて、もっと深い目的が自然に見えてくる。そして、自分が自分であることの喜びが湧いてくる。あせるな。道草とは、決められた一本道を急ぐのではなく、好奇心を道連れに、時間をかけて螺旋状に進むことだ。その方が風に折れにくく、風にたわむ力がつく。少しぐらい人に遅れたっていいじゃかいか。」

時間をかけて人生を歩み、作家として花開いた赤瀬川さんだからこそ言える言葉なんだと感じます。

 

遠回りは一本の道になる

 movie: TOYOTA | WHAT WOWS YOU. この世界のすべての心にWOWをつくろう。より

寄り道、道草。失敗、挫折。

いつだって近道を歩き、真っ直ぐに歩いていきたい。けれど、人生を生きていれば自分の思い通りにいかないことや、思ってもみなかったことがたくさんあります。

そんな全ての遠回りを、僕は無駄なことだと思っていません。むしろその遠回りは人の深みに繋がっていくと思っています。

立ち止まったり、苛立ったり、後悔したり。ぐねぐねした道を歩んできたかもしれないと思ったり。けれど、ふと振り返れば、遠回りしたと思った道は、一本しかない真っ直ぐな道になっているはずです。常に「そこで何かを得よう!」という意思を持って、道草を楽しんでいきましょう。

 

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奇怪な物を見に行こう:多摩 白丸ダム 

東京都・奥多摩には、「白丸ダム」と呼ばれるダムがあります。

僕は、そのダムが見たくて一人電車に揺られてやってきました。しかし、二人の地域住民による些細な取り違いと悪意ない優しさから、通常の10倍近い時間をかけてダムに辿りつきました。今回はその恐ろしい程の遠回りを少しご紹介しましょう。

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最寄駅は、JR青梅線 鳩ノ巣駅。駅前にはポストとトイレと小さなうどん屋さんしかない小さな駅だ。事前情報では、白丸ダムまでは徒歩10分と認識していたので、僕はすぐ近くだと安易に考えていた。だからGoogle mapでも場所を確認しなかった。そして、ちょうどポストに手紙を回収に来た郵便屋さんに道を聞くことにした。

僕「すいません。白丸ダムってどうやって行けばいいですか?」

郵「あー白丸ダムなら、あそこにトンネルが見えるでしょ。そこを潜ってまっすぐ行けば着くよ。」

僕「ありがとうございます。」

郵便屋さんが指差した先には線路の下のトンネルが見えていた。だから僕は線路の写真を撮ってから、下に行き、そのトンネルをくぐり進むことにした。 

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トンネルをくぐると、左には小川と蕎麦屋"鳩美"、右にはその駐車場があり、先には住居が並んでいた。僕はウキウキした気分で歩を進めた。

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歩き始めて10分、辺りは廃工場や廃れたカフェなんかがちらほら見える景色。廃墟好きな僕にとっては高ぶる景色だ。しかし、何かがおかしい。ダムといえば、それなりに大きな川があるはずなのに、ずっと小川。

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僕は思った、「この道はちがう!」と。予想通り、Google mapを見て明らかに方向が違った。僕はすぐさま引き返すことにした。

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引き返す途中、国道のような道路にトンネルがある。郵便屋さんはこのトンネルを指していることをようやく理解した。しかし、不安だった僕は念のため地元のおじさんに道を聞くことにした。

僕「すいません。白丸ダムってこのトンネルを進めばいいんですか?」

おじさん「そーう、そーう。この先この先。あっでもね、お兄ちゃん。その道よりも、トンネルの左に道があるでしょ。そこを進んでホテルの脇道を行った方が近いよ。車が来なくて安全だし。」

僕「そうなんですか?ありがとうございます。行ってみます。」

トンネル横の道を進むとホテルが現れた。"奥多摩の風 はとのす荘"。そのホテルの脇に川へ続く道がある。「おじさんが言っていた道はこれか〜。きっと地元住民しか知らない道なんだろうな。いい話を聞いた。」と喜んだ僕。先にも3人の家族がいるので、安堵もした。

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先へ進むと味のある吊り橋が現れた。歩くスピードが速かった僕は、その橋の手前でさっきの家族に追いついてしまった。しかし、その家族は橋を見ると「道が違うかもね」というような顔をして、来た道を折り返していった。僕は「きっとダム目的ではないんだろうな」なんて気楽に考えて歩を進めた。橋からの川の景色は素晴らしかった。

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橋を渡るとこんな注意書きが。

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先を見ると、川沿いに道が続いている。この道を行けばいいんだと理解した僕は、更に歩を進めることにした。落ち葉の道、岩の道など足場の悪い道を進む。景色も空気も最高だった。しかし、ここで一つ思い出した。

"徒歩10分"・・・

明らかにあのトンネルから10分は経っていた。しかし一向にダムは見えてこない。僕は嫌な予感がした。

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岩の道が終わると、次は急勾配の岩の階段。僕はへとへとになりながら登った。上に着いて改めて下を見ると、その急さに改めて驚いた。

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階段を上ると、小さな休憩所があった。その周りは林が生い茂っていた。

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さらに林ゾーンは続く。すでにへとへとだけど、空気は最高に美味しい。

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 林ゾーンを抜けると、大きな川の音とともに、建造物が見える。白丸ダムだ。

僕は一人叫んだ。「お〜〜〜〜」

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竣工1963年、高さ30.3mの重力式コンクリートダム(コンクリートの重さで水圧を抑える構造)。白丸ダムは放流水を使用した発電をしていることでも有名で、登り魚がダムを越えられるように、魚道も作られた珍しいダムだ。

前情報、徒歩10分。

実際にかかった時間、1時間30分。

しかし僕はかなりの達成感を感じていた。

 

白丸ダム魚道と白丸発電所の説明図

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下から見ても、なかなか渋く、味がある

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裏からの姿も

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名前もしっかりと掲げられている。魚道も近い。わくわく

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白丸発電所

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そして、いよいよ白丸魚道の入り口へ・・・あれ?開いてない?

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開館しているのは4月〜11月までとのこと。僕が行ったのは2016年1月。

苦労して来たのでショックは大きかったですが、リベンジを誓いました。

もし行く方がいましたら、事前に開館日を調べていくことをオススメします。

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実際の中の螺旋階段と魚道はこんな感じ。心底見たい。

photo: 白丸調整池ダム | おぼえがき より。水に関することを綴っているブログ。とても読みやすいです。

「道草とは時間をかけて螺旋状に進むことだ」と言った赤瀬川さんの言葉が思い出される。

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帰りは道路を通って鳩ノ巣駅へ。本当に徒歩10分でした。案外車の交通量が多いので、行く際は気をつけて。

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道中、水と飴しか食していなかったので、ゆっくりうどんを頂きました。玉福さん、おいしかったです。

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郵便屋さんとおじさんに出会わなかったら、僕は徒歩10分間だけ道路を歩き、ダムを見て帰るだけでした。しかし、二人のおかげで、白丸ダム見学は意味と発見があるものとなりました。最短で行くのもいいですが、遠回りって大事だなって感じていました。

 

 

*参考資料

1. となりのトトロ - 監督:宮崎駿

 

2. 挫折を愛する - 松岡修造 (角川新書 / 2012年12月)

 

3. vol.59 俳優 大泉洋 必然だった人生初の挫折 / 朝日新聞×マイナビ転職 Heroes File

2013年3月24日 HBCラジオ 大泉洋のサンサンサンデー その5 - 大泉洋のサンサンサンデーレポ

4. 鈴木貴之編集長 大泉洋 - OFFICE CUE presents (新潮社 / 2005年10月)

 

5. 人は道草を食って生きる - 赤瀬川隼 (主婦の友社 / 2001年5月)

 

 

*その他

・散歩の時間 - 杉田比呂美 (晶文社 / 2000年7月)

  散歩に行きたくなったら読んでみてください

株式会社スタジオジブリ公式サイト

松岡修造オフィシャルサイト 

国内最大級テニスサイト tennis365

大泉洋 - プロフィール | CREATIVE OFFICE CUE Official website

TEAM NACS Official Site

++ 大泉洋のサンサンサンデー ++

赤瀬川隼 経歴

白丸ダム情報 白丸調整池[東京都] - ダム便覧

玉福 - 鳩ノ巣/割烹・小料理 [食べログ]

 

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