クラフトビールの戦い / ビールで広がる世界観 / さぁビールを飲もう!
ビールを飲もう!
"ビール離れ"って実際本当なの?
資料:2014年国別ビール消費量(「キリンビール大学」レポート 2014年 世界主要国のビール消費量より)
"ビール離れ"というワードをよく耳にします。実際に自分の周りにも一杯目にビールを飲まず、チューハイやカクテルなどを頼む友人たちがいますし、「苦いし、お腹に貯まるから」とあえて飲まない方達もいます。
では、実際に現状はどうなのか。キリン(株)が運営するインターネット上の仮想大学"キリンビール大学"が行った調査によると、日本は2年連続で年間ビール消費量が落ち込んでいることがわかりました(参考1,2)。
[日本の年間ビール消費量]
2012年(554.4万kl)→2013年(548.9万kl)→2014年(540.7万kl)
2年で13.7万klの減少。これは1年間で一人辺り約450mlずつビールを飲まなくなっていることを表し、500mlの缶ビール1本を飲まなくなっていることになります。
クラフトビールの戦い
そんな現状の日本ビール業界。そこに大外から刺客達が現れました。日本各地の地ビール(クラフトビール)たちです。元々、日本は大手のビールメーカー「キリン・アサヒ・サッポロ・サントリー・オリオン」がシェアを独占していました。そこに、1994年の酒税法改定を受けて、日本各地の地ビールメーカーが立ち上がりました(参考3)。一時の地ビールブーム後、一旦は雲行きが怪しくなった地ビールでしたが、最近は有名ブランドが奮起して大手を脅かしています。
"よなよなエール"や"水曜日のネコ"で知られる長野県「ヤッホーブルーイング」、岩手県沢内村の村興しで始まった「銀河高原ビール」、江戸を感じさせる歴史的な街並みが有名な"小江戸"がある埼玉県川越市「COEDOビール」など、今ではコンビニでも見かけるようになりました。また、日本各地の観光地や温泉街などでもその地域の地ビールが販売されています。特にヤッホーブルーイングは、大手5社に次ぐ6位のシェアを誇っていて、急成長ぶりは目覚しいものがあります(参考4)。しかし、大手も黙っておらず、サントリーやサッポロなどから"クラフトビールシリーズ"と打ち出した"大手の今までのビールとは違うビール"を販売し始めました。
そもそもビールってどうやってできているの?
photo:煮沸釜・・・茨城県・木内酒造さんにて(2011年撮影)
ここでビールの出来方を簡単に紹介します。
ビールは、酵母と呼ばれる菌を発酵させたアルコール飲料です。使用する基本材料は4つ、「麦(大麦・小麦)、水、酵母、ホップ」です。これに副原料(スパイスなど)を加えたものもあります。
一般的な流れは以下のように、
[ビールの出来方]
① 麦芽を作る(麦を少し発芽させ、乾燥(焙燥)させたもの)
→麦の含まれるでんぷんを糖類に分解させるための"酵素"を作るため
② 麦汁を作る(麦芽を粉砕し、湯で濾し、お湯を加えたもの)
③ 麦汁に温度を加え、酵素がでんぷんを"糖"に分解する(糖化)
④ 煮沸釜に③の麦汁を入れ100℃に昇温し、苦味用ホップを入れる
⑤ 煮沸の終盤に、香り用のアロマホップを加える
⑥ ⑤の麦汁を発酵タンク入れ、酵母を加える
⑦ 一次発酵!!糖がアルコールに変わる(ビールになる)
⑧ 二次発酵!!酵母が作った炭酸ガスをビールに溶け込ます(完成!!)
※上に書いた流れはあくまで簡単に書いたものなので、詳しく知りたい方は、参考資料5やもやしもん8巻、サントリー等のHPを読んでみてください。ここで一つ伝えておきたいのは、大手ビール会社は酵母をろ過していますが、酵母は決して邪魔な物ではないということ。ベルギービールなど酵母をそのまま入れているビールもあります。瓶の中で熟成が進んで、さらに美味しくなるんです。
ラガーとエールってなに?
photo:神奈川県厚木市サンクトガーレンのホームページより
よく耳にする"ラガー"と"エール"についても少しだけ紹介を(参考5)。
例えば、アサヒスーパードライやサッポロ黒ラベルは"ラガー"、よなよなエールや銀河高原ビールは"エール"、と分けられます。2つの違いは、先ほどの⑥で紹介した酵母にあります。
ラガー・・・ラガー酵母を使用した物。発酵温度15℃以下。発酵後、ラガー酵母はタンクの下に沈むことから、"下面発酵ビール"と呼ばれています。
エール・・・エール酵母を使用した物。発酵温度18〜24℃程度。発酵後、エール酵母はタンクの上に浮上することから、"上面発酵ビール"と呼ばれています。
しかし、ラガーとエールは大まかな括りであって、ラガーにもエールにもさらに細かな種類があります。これを"スタイル"と言って、世界では100種類以上のスタイルがあると言われています。運動会でいう赤組白組で分けても、組の中には色々なやつがいるみたいなものです(わかりづらい?)。
例えば、ラガーのスタイルは、"ピルスナー"や"デュンケル"、"ヘレス"など
エールのスタイルは、"ペールエール"や"ヴァイツェン"、"スタウト"など
日本の大手ビールは、今までラガーの"ピルスナー"というスタイルのみを販売していました。それが、"日本人が思うビール"のイメージとし、ある種洗脳のようなことが行われていました。もちろん、大手ビールもおいしいですが、世の中には他にも様々な美味しいビールがあります。ヤッホーなどの地ビールメーカーが作っているのも、別のスタイルのものです。
日本のビールの歴史はまだまだ浅い!
photo:"ヴァイエンシュテファン醸造所"ホームページより
日本のビール製造が本格化したのは1887(明治20)年頃であり、先ほど伝えたように酒税法改正で地ビールが本格化したのも1994年です。しかし、世界を見れば、ビールの始まりは5500年前からと言いますし(参考5,6)、世界最古のビール醸造所であるドイツ・バイエルン州の"ヴァイエンシュテファン醸造所"は1040年からビールを作っていました。つまり、日本のビールの歴史はまだまだ浅いことになります(参考)。
また、全世界では何万種類というビールがあると言われ、日本のビールもそのほんの一部にしかすぎません。だから、日本のビールはもっともっと長い目で見て、深みのあるビールを作っていけると考えられますし、もっともっと面白くなっていけると予想できます。
ビールを飲もう!!
photo:THE Jha BAR入り口の写真
僕は神田のビアバー"THE Jha BAR"で働いていました。入る前は、本当に大手5社のビール、それもピルスナーしか知らないやつでした。しかし、ここで働いたことで、ビールの世界の広さを知りました。そして、何より世界の現地で、国々のビールを飲みたいと思うようになりました。
僕は、日本のビールは深みが浅く、日本人らしいおとなしい印象を感じています。一方で、イギリスやドイツ、ベルギーやアメリカなどのビールは、個性を前面に出して、唯一無二の物を作っているように感じていますし、味にもそれぞれの深みを感じます。だからこそ、日本のビールはもっともっと発展していってほしいと思っていますし、発展していけるとも思っています。そして、微々たるながらも、僕もそれに貢献していければいいなと考えています。
今は、スーパーや酒屋さんでも様々なビールが買える時代になりました。ピルスナーだけがビールではありません。まだよくわからない方も、「サントリーのペールエール」と、イギリスの「バスペールエール」の飲み比べなんかから始めても楽しいと思います。女性なら小麦ビールの「水曜日のネコ」とベルギーの「ヒューガルデン」や「グリゼットブロンシュ」なんかでもいいと思います。
ビールには世界が詰まっています。ビールって本当に楽しいものなんです。
だから、もっとビールを飲もう!!
*参考資料
1. 「キリンビール大学」レポート 2014年 世界主要国のビール消費量
2. 「キリンビール大学」レポート 2013年 世界主要国のビール消費量
4. キリン社長もうならせた「よなよなエール」のネット販売術|ダイヤモンド・オンライン
5. ビールの教科書 (講談社選書メチエ):青井 博幸:Amazon.co.jp
6. パブとビールのイギリス (平凡社) : 飯田 操 : Amazon.co.jp
7. もやしもん(8) (イブニングKC):石川 雅之:Amazon.co.jp
*ビール会社各社
・木内酒造
*その他
・スタイルについて ベルギービール博物館より
*こちらも合わせてどうぞ
thanks, ありがと
-------------------------------------*
*promotion
monokannでは、広告を掲載させて頂いています。ブログを運営していくためにご理解いただけますと幸いでございます。個人の活動についても掲載させて頂いておりますので、ご興味あるものがございましたら、お気軽にご連絡ください。
---
【Lamb音源】
Lambのプレイリストを公開しています。1曲1曲から何かを感じてもらえたらうれしいです。ライブ情報も公開していますので、随時お知らせいたします。
〜〜〜〜〜〜
Other Information of Lamb ↓
-------------------------------------*
*follow me on
いつもご愛読頂き、ありがとうございます。"考える"ってことは"何かを知っていくこと"だと感じています。それは同時に"得たことを吐き出していくこと"でもあります。「呼吸をするように考えていってほしい。」そんな思いが伝わっていることを願っています。よければ以下でフォローして頂けたらうれしいです。今後ともよろしくお願いいたします。