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カンボジア・ラオスの旅 [2] / アンコール・ワットを探る / What Angkor × 命を削った細かな作業 × タイムスリップした時間

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時を旅する

ヴィシュヌ神とデバター

アンコール・ワットで息を吸う

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※前回の続き

 

アンコール・ワットへ向かう

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二日目が始まった。ホテルは朝ごはんがなく、時間もおしかったのでカロリーメイトを2本食べながら、仕度をした。(僕は旅をする時はカロリーメイト4本入りを5箱ぐらい持っていくようにしている。)

昨夜、杯を交わしたアンさんが本日も案内役。僕らはアンコール・ワット遺跡へ向かって出発した。昨夜は暗くて気づかなかったけれど、ホテルの周りはローカル感溢れるお家に囲まれ、道などもほとんど整備はされていなかった。なので、トゥクトゥクは凸凹道をガタガタしながら進み始めた。出発時すぐに出会った一匹のワンちゃんもあいにくブレブレの写真となった。

 

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道には終始ゴミが捨てられている。これが普通であり、これが日常。

 

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日本の街中がいかに整備されているかに感謝の気持ちが湧いた。日本のゴミ収集の従業員さんは今日も明日もみんなのゴミを集めてくれていることを忘れてはいけない。

 

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少し落ち着いた道になってきた。少しモヤってはいるけれど、清々しい朝を感じていた。

 

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高級ホテルの従業員さんのお仕事も開始のようだ。

 

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ヒンデゥーの神々も日常に馴染んでいる。

 

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商店らしきものも現れた。

 

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そう思っていると交通量も次第に増え始めていた。

 

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ゆらり揺られ30分ほど。アンさんはエンジンを切った。どうやらここでアンコール遺跡群の入場チケットを買うらしい。まだ8時台だというのに多くの人で賑わっていた。

 

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チケットは3種類ある。1日券(20US$)、3日券(40US$)、7日券(60US$ / 購入から1ヶ月間の内の任意の7日間有効)。僕は3日しかカンボジアにいないので、3日券を買った。購入の際は顔写真も撮られる。

 

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これがそのチケット。寝不足だったので、顔面蒼白。

 

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チケットを買ったらすぐアンコール遺跡にいけるか?というとそんなに甘くはない。アンコール遺跡は広大なため、チケット売場からまたトゥクトゥクに乗って移動が必要になる。

 

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少し景色が変わってきた。アンさん曰く、この森林の奥にアンコール・ワットはあるらしい。

 

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すると何やら遺跡のような物が頭を出した。あれだ!

 

アンコール・ワットとは

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 photo: Google マップ

「アンコール・ワット」とは、1992年にユネスコ世界遺産に登録された、世界でも有数の観光スポットの一つだ。"Angkorアンコール"はサンスクリット語で"王都"を指し、"Watワット"はクメール語で"寺院"を指す。その姿はカンボジアの国旗にも使用されている。特に、光輝く太陽を神格化した神"ヴィシュヌ神"に捧げる寺院とされる。

建設の始まりは、12世紀前半。創建者であるスーリヤヴァルマン2世によって、30年以上の年月をかけて建てられた。建築方式は、大伽藍(だいがらん)や彫刻などが美しい「クメール建築」を採用。建物の材料は、見える部分は"砂岩"を、見えない部分には"ラテライト(紅土)"が主に用いられている。見学の際に、建築で特に注目したいのは、壁画だ。少し敷地内を歩けば、女神を意味する"デバター像"が壁に描かれており、一つ一つ表情も服装も異なるため、丹念に掘られ描かれていったことがわかる。また、"レリーフ"と呼ばれる浮き彫りの彫刻も注目だ。ヒンドゥー教などに代々伝わる物語や経典を題材に、壁一面に彫られており、見るものを圧倒する強さがある。

敷地は、約1.5km四方の大きさがあり、周りは水で囲まれ、中央に本堂や回廊がある作りとなっている。また、正面入り口である西塔門を入ると4つの沐浴場の跡がある。それらの跡が示すように、アンコール・ワットは"水の都"と考えられている。当時、農業における貯水施設としての役割があり、必要な水源確保とその水を四方の耕地へ分配するよう構成されていた。

日本だけでなく世界でも上位に入る観光スポットであるアンコール・ワット。2016年の観光客数は約500万人ほどカンボジア観光省は、2020年までに年間観光客数:750万人、経済効果:50億ドル、雇用:約100万人の目標を掲げている。カンボジアでは、農業・縫制業・観光業の三大産業によって雇用が支えられている。特に観光業は、トゥクトゥクやタクシーなどの運送業、ホテルや民宿などの宿泊業、遺跡群や街中に多く出店するお土産店などがある。これらからも、アンコール・ワットは地元住民の生活を支える大きな存在だということがわかる。

 

西塔門のヴィシュヌ神とデバター

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念願叶ってたどり着いた"アンコール・ワット"。アンさんと4時間後に待ち合わせをして、一人歩みを進めた。数多くの観光客がそれぞれの思いを持って歩いている。それぞれの人生がある中で、同じタイミングでアンコール・ワットの入り口を歩くことに仲間意識みたいな物を感じたりしていた。

 

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アンコール・ワットの入り口には蛇身"ナーガ"様がお出迎え。

 

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ストレートの道を少し歩くと西塔門が現れた。

 

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中に入ると、太陽を神格化した"ヴィシュヌ神"がお出迎え。「おじゃまいたします。」と声をかけた。

 

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西塔の壁にはさっそくレリーフが描かれている。機械など無い時代、当時の作業者の時間(命)を削って描かれたものだ。

 

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デバター像も描かれている。何でも、中には未完成のデバター像もあるんだとか。工期に間に合わなかったという理由らしい。

 

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首なし銅像もいたりする。

 

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西塔を出て写真を撮った。本塔に行く前にすでに圧倒された気持ち。

 

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中央の道に戻ろう。

 

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それでは

 

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進んでいこう、本塔へ。

 

クメール建築の傑作"アンコール・ワット"

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砂岩とラテライトでできている内装は朱色が映える。また経年変化が歴史の重みを感じさせる。

 

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一つ一つ削り、一つ一つ彫り、一つ一つ積み重ねていった傑作。

 

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絵柄も一つ一つ違う。完成当時は、朱色の上に金箔が塗られていたという話もあるらしい。

 

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砂岩の楣(まぐさ)石を積み重ねた窓。外からは中の様子はわからないが、内側から外がわかる仕様。

 

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中には崩壊している箇所もある。日本からも遺跡研究や保護のために出資や協力がある。

 

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"水の都"を象徴する沐浴の跡。

 

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一人一人がタイムスリップしたように時空を超えた時間を感じているようだった。

 

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少し中の庭を歩くと、落石した石がたくさん落ちていたりする。

 

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一方で、中には、神が並ぶ空間や、

 

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またしても首が取れた銅像がいたりする。

それでは、いよいよアンコール・ワットの中央塔へ。

 

アンコール・ワットの中枢を探る

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圧巻。

入り口から歩きながら思っていたけれど、アンコール・ワットは大きさの距離感がとても取りづらかった。遠映の計算がされているせいからか、中央塔の大きさがわからなかった。けれど、やはり大きな存在感を放っていた。

 

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天辺まで入念に積み重ねられている。

 

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一方で下側を見ると、なにやら模様がかかれている・・・

 

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やることが本当に細かい。細部にまで彫刻が彫られている。

 

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少し疲れたので、腰を下ろしてカロリーメイト・フルーツ味を食べた。よくどこかへ行くと、ちゃんと腰を下ろすことを心がけている。歩いていると見えないことが座ることで見えてくることがたくさんあるから。

 

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座って見上げるアンコール・ワットに感慨深い気持ちになっていた。残念ながら僕が行った期間は中央塔には入れないらしい。残念だけれど、それもまあいいかという広い心があった。

 

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せっかくなので、東塔など他の箇所も歩いていた。

 

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写真を撮られる人と、その人を撮る人と、その二人を撮る人と、その三人を撮る僕。

 

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ピンクのシャツを着ている人がいる箇所も歩けるので、行った際はぜひ歩いてみてほしい。少年に還ったように楽しいから。

 

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入り口は西側で、午前中は逆光になってしまう。東側から撮るとやっと写真に青が出てきた。青空とアンコール・ワット、とてもいい。

 

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どこかへ行くことは、新しい発見を探すことだろうか。それとも、自分の中に眠っている物を呼び起こすことだろうか。他者からもらい、自分も消化する。自分も与え、誰かも消化する。時空を超えて交わすコミュニケーションが遺跡には詰まっているのではないかと考えている。

 

 

※カンボジア・ラオスの旅 no.3に続く →→→

 

 

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*引用/参考資料

・D22 地球の歩き方 アンコール・ワットとカンボジア 2017~2018(ダイヤモンドビック社/2016年12月)

カンボジア - Wikipedia

カンボジアの歴史 - Wikipedia

アンコール・ワット - Wikipedia

Angkor Wat - Wikipedia

Angkor - UNESCO World Heritage Centre

カンボジアの2016年上半期の観光客数、韓国が下落し中国とタイが上昇[統計]

100万人が訪れる世界遺産のすぐ隣にある貧困観光産業の光と影 | 海外レポート世界の街角お金通信 | 橘玲×ZAi ONLINE海外投資の歩き方 | ザイオンライン

アンコールワットに支えられるカンボジア観光業 | コンサルティング | 大和総研グループ | 太田 紗奈絵

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カンボジア・ラオスの旅 [1] / 旅に出ること × ビザ騒動 × 綺麗と汚い / トゥクトゥクドライバーと乾杯して感じる文化

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カンボジア

そして、ラオス

東南アジアの二国を巡る旅 はじまり

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最近旅に出たのはいつですか?

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「国」は人の集合体。そして、その国で暮らす人々は性格や考え方の似た国民性を持つようになる。例えば、日本では、「隠す文化」や「おもてなし」などがそれにあたり、多くを語らないことやお客様を大切にすることが美学とされ、人々の中に根付いている。それら「文化」や「カルチャー」は、長い年月をかけてできあがるものである。

一方で、日本だけで生活をしていると考え方が凝り固まってしまうことがある。コンビニに行けば食べ物が購入でき、カフェで荷物を置いて席を外してもだれも盗んだりせず、電車は1分とずれず時間通りに到着する。そんな「当たり前」が当たり前である生活を続けていては、失ってしまうものがある。「新しいものを受け入れる気持ち」だ。コンビニなどそう簡単になく、荷物から目を離せば盗まれ、そもそも電車の線路自体ない。そんな世界が存在する。

僕もあなたも常に今の現状を疑っていかなくてはいけない。世界は本当の意味で広く、そこには様々な文化や考え方が存在している。そんな新しいものを知り、感じ、自分の中に落とし込むことは、今の当たり前が当たり前ではないことを教えてくれる。そして、その衝撃や感動は、新しい文化やカルチャーを生むアイディアの一つとなる。

さぁ、明日でもいい、3ヶ月後でもいい、旅に出てみてはどうだろうか?

 

カンボジア王国とは

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 photo: カンボジア - Wikipedia

今回、僕が一人訪れた国は東南アジアの二国「カンボジア王国」と「ラオス人民民主共和国」だ。この二国を選んだ理由はいくつかあるが、最大の理由は行きたい"遺跡"があることだった。カンボジアは世界遺産「アンコールワット遺跡」、ラオスは謎の石壺が点在する「ジャール平原」。遺跡には、過去の人々の信仰や生活が見える一方で、今ではわからない神秘的な謎が秘められている。そのため、遺跡に触れると今まで考えたこともなかった考えや創造に到れることがすごく好きだ。イギリス"ストーンヘンジ"や、チリ"イースター島のモアイ像"なども素晴らしかった。(モアイ像はまた別の機会に書こう)。

先にカンボジア王国を少しご説明。

「カンボジア王国」は、東南アジアのインドシナ半島にあり、タイ・ラオス・ベトナムと国境が接する人口1,500万人程の国だ。その歴史は古く、人が住んでいた最古の形跡は紀元前4,200年頃と推定されている。インド商人が来航して始まったアンコール時代を皮切りに、フランス植民地時代、二つの政権による内戦「カンボジア問題」などを経て、1993年9月に現在の「カンボジア王国」が誕生した。そのため、国旗も旧王国時代の国旗が復活したものが使用されている。国旗の青色は王室の権威を、赤色は国民の忠誠心を、白色は仏教を象徴している。そして、中央の建物は世界遺産のアンコールワット遺跡だ。

首都はプノンペンだが、アンコールワット遺跡は、Siem Reapシェムリアップという街にある。日本から行く際は、タイのバンコク経由が一般的だ。気候は年間を通して雨季と乾季があり、僕が行った2月は全く雨も降らず激しい暑さが続いた。

 

日本〜バンコク〜シェムリアップ 

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さぁそれでは出発するとしよう。

出発は千葉県・成田空港から。使った飛行機はAir Asiaだ。毎回思うが、Air AsiaのCAさんは赤の映える強気メイクの方ばかりだ。国と同じように、会社のイメージもまた従業員という人が作っていることを実感する。

僕の飛行機での楽しみは、"機内雑誌"を読むこと。機内雑誌には、「うちの国はこんないいところがあるよ!」「うちのブランドは最高さ!」といった通常の雑誌とは違う強さがあるから見入ってしまう。今回の内容は、アジアらしい場所を紹介する内容で、旅への高揚する気持ちを感じていた。

 

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こちらは、インドネシアのバリ島にある"Ubudウブド"。インドネシアもいい所だった記憶がある。

 

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経由地であるタイ・バンコク"ドンムアン空港"。カンボジア行きの飛行機は2時間遅れとのことで、トランジットではないため外には出られず空港内で待つことに。乗客はヨーロッパ系の人が多かった。

 

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飛行機を待つ間、僕の隣に座っていたイタリア人のカップルは、寄り添いながら"The 5 Love Languages (witten by Gary Chapman)"という本を読んでいた。どうやら日本語翻訳版"愛を伝える5つの方法"も販売しているらしい。愛に関する本を恋人と一緒に読んだことはないけれど、あの二人は互いにどんな感情になっていたのか気になっていた。

 

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そうこうしている内に、飛行機が準備できたようなので乗り込もう。 

 

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いざ、カンボジア・シェムリアップへ。

 

シェムリアップ国際空港でのビザ騒動

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ゆらりゆられ、ついに辿りついたシェムリアップ国際空港。空港自体はそこまで大きくはなく、アジアが感じられる外観になっていた。

 

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ビザ確認と入国審査のために空港内に入る。中には、アンコールワットのミニチュア模型や、神々しい光をまとった神の顔が飾られていた。

 

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ビザ確認の時に振り回され事件が発生した。

カンボジアに入国する際は、ビザが必要となり、取得は事前にネットでするか、空港で行うかの二通りある。僕は空港でわちゃわちゃするのが嫌だったので、事前に取得していき、しっかりとコピーも取ってきた。ふと、空港でのビザ取得場所を見ると長蛇の列になっていて、「先に取っておいてよかった」と内心安堵していた。

意気揚々とパスポートとビザを手に持って入国審査の列に並び、順番が来て、前へ進んだ。対応してくれたのはふくれっ面のおじさん審査員。すると、パスポートなどを手渡した5秒ほどした時だった。彼は、「あっちへ行け」とビザ取得の列を指差した。「いやいや、ビザもう取ってるよ」と英語で説明したが、あっちの列に行けの一点張り。しかたなく、ビザの列に移動し並び数分後順番が来た。対応してくれたのは声がやたらと大きいおじさん従業員だった。(ちなみに、ビザの受付は4人いて、仕事をしながら4人でずっとおしゃべりしていた。)

僕は説明した「事前にビザ取ったんだけどこれじゃダメなのかい?」と。おじさんは「入国審査の列に行け」と、入国審査の方角を指挿した。「???・・・???」。パニックだった。この人達は僕に何をさせたいのか?いじめか?と憤りを感じていた。この後、僕は同じ行動を合計で3回行う。それでもまだ入国できない。おじさん達は何も教えてもくれない。

僕は少し冷静になろうと、辺りを見回すと一部の人は室内の端っこの方でおしゃべりするおじさんのところで何やら紙をもらっている。「・・・あれだ!」とすぐさま駆け寄り、一枚の紙をもらった。どうやら事前にビザを取得してもしなくても書かなければいけない用紙があったらしい。無知な自分を呪った。偶然先ほどのふくれっ面おじさんの場所に並び、先ほどの紙とパスポートなどを手渡した。おじさんは少し笑っていた。僕も少し笑った。そうして僕は無事カンボジアの地に降り立ったのである。

 

カンボジアの街を走る、トゥクトゥクで

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空港を出ると予約していたホテルからのお迎えが来ていた。乗るのはもちろんアジアの定番トゥクトゥクだ。ドライバーはこの道30年のベテラン"アンさん"。

 

https://www.instagram.com/p/BBxwFVaKIQc/

小慣れた運転さばきで走り出したアンさん。 乗り心地はまずまずだった。

 

 movie: monokan:By Tuktuk in Cambodia - YouTube

カンボジアの道は、中央に通常の自動車が通る道路があり、その脇にトゥクトゥクやバイクが通る道路がある。信号もあまり見られず、トゥクトゥクが横横断する際は、運転手の判断に任せられる。でも、自動車の運転手もそれをわかっているので、スピードを緩めることは日常のようだった。日本のようにきっちりと信号がある世の中とは違うルールがあるなと感じていた。

 

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基本的にラオスの道は汚いし、整備もちゃんとはされていない。コンビニなど見当たらず、小さな個人商売のお店が道に点々とあるのみだ。そして、そのお店自体も綺麗ではない。

では一体"綺麗さ"とはなんだろうか?綺麗の水準は育ってきた環境によるものだと思ったりした。もし彼らがこれを「普通だよ」といえばそれが普通なのだ。

 

トゥクトゥクドライバーと飲み会

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ホテルに到着し荷物を降ろすと、アンさんは僕に質問した。「Hatto-ri、ご飯食べたか?これから一緒に食べに行かないか?」と。そう質問された瞬間、僕の頭の中には二つのことが過っていた。一つは、「どんな所にいくのだろう、面白そうだ。」という好奇心。もう一つは「一緒に行ったら身包み全部取られてフルボッコにされるのではないか?」という懐疑心。しかし、僕はいくことにした。世界が広がるチャンスがある気がしたからだ。

連れて行かれたのは、ピンクや紫のライトが目立つ飲み屋だ。日本の居酒屋に慣れていると想像しずらいが、カンボジアの居酒屋と言えばこんなところらしい。

 

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メニューは全てクメール語だった。一文字もわからないので、アンさんにお任せした。

 

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乾杯はもちろん、アンコールビア。日本と大手ビールと同じピルスナー系のラガービールだ。「チョルモーイ!」とクメール語の"乾杯"を意味する言葉で飲み始めた。ビールを飲みながら、僕はカンボジアに降り立ったことを嬉しく思っていた。

 

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カンボジアでは基本的に冷えていないビールを氷入りのバケツに入れておく。飲み終われば店員のお姉さんが自分の席の後ろのバケツからビールを取り、栓を抜いてくれるシステムだ。

 

 movie: Angkor Beer in Cambodia - YouTube

アンさんと互いに上手くない英語で、互いについて話しをした。「なんでカンボジアに来たのか?」「トゥクトゥクドライバーはどれぐらいやっているのか?」「Hatto-riは、日本で何をしているのか?」「家族はいるか?」などなどである。アンさんは家族の写真をスマートフォンで見せてくれた。その写真には、幸せそうな家族と、日本人からすると相当貧しい感じの家が写っていた。国や物価が違うだけで、異なる生活があることを感じていた。しかし、決して綺麗な日本がえらいわけではないし、ここに"差"なんてことを考えてしまうことが野暮な話だとも思った。そして、その違いは幸せとはまた別の話のようにも感じていた。

すると、一つの電話がなり、アンさんは電話し始めた。「やばい、恐喝軍団が来るんじゃないのか?」と少し不安になりながら僕は平然とした顔でアンコールビアを飲んでいた。電話中、僕は暇だったのでふと店の全景を見回していた。ピンク紫のライトの下で個室空間に座る人もいたり、奥では不思議なダンスが行われていたりと、アンダーグラウンドな気持ちを楽しんでいた。アンカービアはさっきよりも減っていた。

 

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アンさんの電話が終わり数分後、一人の男が現れた。見た目は若干老け顔だけれど、おそらく僕と同じぐらいの年齢だと推察される。どうやら恐喝ではなく、話を聞くとアンさんの15歳年下の弟だという。彼はアンさんより英語が達者だった。「チョルモーイ!」。3人で改めてアンコールビアで乾杯をした。弟君はなかなかのおしゃべりで、いろんなことを教えてくれた。面白かったのは、「カンボジアでは基本的にコミュニケーションや仕事のやりとりなどはFacebookでする」という話しだった。日本でもその流れはあるけれど、カンボジアは顕著で、ほぼFacebookしか使わないという。ペラペラペラペラ、ぺらぺらぺらぺら。弟君はマシンガントークで話し続けた。その会話とカンボジア音楽に触れながら、僕のカンボジア初夜は終わりを迎えた。

 

 

※カンボジア・ラオスの旅 no.2に続く →→→ 

 

 

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*引用/参考資料

・D22 地球の歩き方 アンコール・ワットとカンボジア 2017~2018(ダイヤモンドビック社/2016年12月)

カンボジア - Wikipedia

カンボジアの歴史 - Wikipedia

ラオスの国旗 - Wikipedia

http://donmueangairportthai.com/jp

Discover Your Love Language - The 5 Love Languages®

The 5 Love Languages - Gary Chapman(Northfield Pub)

・愛を伝える5つの方法 - ゲーリー・チャップマン(いのちのことば社/2007年8月)

 

Angkor Beer

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健康であるためには? / 放射能泉 / 砂むし風呂泥風呂"ラジウム温泉保養センター"へ

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主軸は体

一部が欠ければ動かない

一部が欠ければ笑えない

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亀に自分の健康を心配される前に 

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年々、「体」というのは全身がリンクしているものなんだと気付かされる。

頭が痛いと動けないし、歯が痛ければ集中できない。疲れが溜まってアルコールを飲めば次の日消化が悪いし、ふいに足の小指を打ったりしたらやる気も出ない。

全身で体。全身で活動。

そして、少し調子が悪いと治療をしたり、薬を飲んだり、休んだりする。技術や時間や思い込みで体ができていることもまた実感する。

そういえば、ドラえもん16巻で"すいみん圧縮剤"という道具があって、「1時間寝れば10時間寝たことになる」というから、昔は相当優れものだと思っていた。けれど、働いてから思うとえげつなく恐ろしい道具だと思うわけだが、それぐらい療養の"質"というものも大事になってくる。

近所の薬局には全身が金の人間と、その足に擦り寄る亀がいる。先日改めてその前を通ったら、亀が喋りかけているように見えた。

「おい!体大丈夫か?疲れてんのか?薬飲むか?」

疲れというのは"頑張っている証拠"などと言ったりするが、そんなポジティブシンキングは必要ない。疲れていないのがいいに決まっている。

怪しげな亀が近づいてくる前に、自分の体を大切にしていきたいものだ。

 

 

 

 

奇怪な物を見に行こう:砂むし風呂泥ぶろ"ラジウム温泉保養センター"

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体が元気でいるためには、お風呂に入り血行を良くし汗をかくことも大切だ。先日、年上の友人に連れられ、東京都江戸川区にある「ラジウム温泉保養センター」へ行ってきたので紹介したい。

[ラジウム温泉保養センター概要]

HP:ラジウム温泉保養センター│江戸川区、一之江のラジウム温泉保養│ぱどナビ

住所:東京都江戸川区春江町5-5-13

map:Google マップ

TEL:03-3686-6600

アクセス:都営新宿線"一之江駅"or"船堀駅"から徒歩15分

価格:砂風呂+ラジウム温泉=3,900円、ラジウム温泉のみ=1,200円

営業時間:火曜日~日曜日午前10時開店~午後8時閉店(砂風呂受付午後6時まで)

定休日:毎週月曜日、年末年始、夏季

 

 

 

ラジウム温泉とはなにか?

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 photo: flickr - zerokarma

放射能を含んだ温泉を"放射能泉"といい、中でもラドン元素を一定量以上含むものを"ラジウム温泉"という。多くの人にとって放射能というと、原発事故などが想起され怖いイメージもあるかもしれない。しかし、実際はそういった放射能と意味合いが異なる。

ではラジウム温泉はどのようにできるのか。

[ラジウム温泉が湧き、人体に取り入れるまで]

温泉とは地下水が地熱によって熱せられたもの。温泉が地表へ湧き上がる際に、放射線物質であるウランやトリウムを多く含んだ岩石の近くを通る。それにより、温泉水の中にウラン由来のラジウムやトリウム由来のトロンなどが溶かし込まれ(溶解され)地表から湧出する。ウランやトリウムというのは原子力発電の熱エネルギーを発生させるために使う元素である。

ラジウム温泉からは、気体のラドンが発生しており、それが呼吸により体内に入る。体内に入ったラドンはその放射線の力で体への治療効果があると言われている。そして、気体であるラドンは体内でイオン化され数時間後に体内から排出されると言われている。

その治療効果は複数あると言われている。新陳代謝の促進や痛風、糖尿病やリュウマチなどにも効果があり、下垂体副腎系、卵巣、睾丸の機能を高める作用もあるという。その根本にある考えは、「放射線ホルミシス」という理論だ。これは、『少しの放射線は、免疫機能の向上などをもたらし、身体のあらゆる活動を活性化し、病気を治したり、病気にかからない強いからだにしたり、老化を抑えて若々しい身体を保つなど、あらゆる良いことをする』ことを指す。しかし、断っておきたいのは、決してその効果は医学的に証明されてはいないということ。あくまで効果があるかもしれないし、ないかもしれないという期待と失望が入り混じったレベルなので、そこは伝えておきたい。

日本全国で有名なラジウム温泉といえば、北海道の二股ラジウム温泉、山梨県の増富温泉、鳥取県の三朝温泉などがある。

 

 

 

アクセス:一之江駅から保養センターまでの景色 

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一番の最寄駅である一之江駅から南西側に向かい、都道318号線を渡る。住宅街の中には、こんなに近くで見れる電線のスタートがある。興味深い。

 

 

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「人がいる!」と思ったら、フリーキック練習用の壁。6人でひそひそ話をしているみたい。

 

 

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途中にある公園で、少年たちが遊ぶ。楽しそうだ。

 

 

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なんだか昔なつかしい遊具。年季の入り具合はなかなかだ。

 

 

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到着まぢか。ファミマの奥になにやらいる・・・

 

 

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新築!リフォーム!耐震!それらの工事を行う「株式会社スイコウ」のかたつむり。名前を調べたが不明・・・おそらく「スイコウくん?」。このスイコウくんが目印だ。

 

 

 

砂風呂とラジウム温泉で感じていたこと

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それでは「ラジウム温泉保養センター」をご紹介。建物は意外にも大きく、いい笑顔の友人と比較してもその大きさがよくわかる。この施設は、元日本稀元素鉱物理科学研究所所長である故・渡邊光弘氏によって建てられた。彼は、長島乙吉氏という有名な鉱物研究家からラジウム鉱石の粉末を飲むことを勧められ、元々持っていた喘息の発作が治ったことを理由にこの施設を建てたという。

 

 

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入り口を入り、内部は若干あやしい感じ。1階に砂風呂とラジウム温泉があり、受付は2階なようだ。階段を上ると変なラクダがお出迎え。「ラクダー」なんてシャレは久々に聞いた。笑

 

 

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待合室・休憩室・食事処といった部屋。写真の女性がいる位置が代金を支払う受付。砂風呂とラジウム温泉合わせて3,900円とはなかなかいいお値段している。でも受付のおばさまに「サイトのクーポンを見せてくれれば600円引きだよ。」って言われて、その場で調べて割り引いてもらった。むしろ元々お得に感じさせるそういう商法か?でも今はサイトを見てもクーポンが見当たらない。クーポンをやめてしまったのだろうか。

砂風呂は数が4つほどしかないため、順番が呼ばれるまではこの部屋で待機。席にラジウム石が置かれていたり、ラジウムの水が飲めたり、放射線に関する本が多数置かれていたり、地元のおじさま方がくつろいでいたりと、不思議な空気が流れていた。

 

 

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写真はサイトより。さすが稀元素鉱物の研究家、博物館みたいにケースにも鉱物が入っている。

 

 

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いよいよ順番が呼ばれたので、まずは砂風呂から。実際に写真を撮ることができなかったので、写真はサイトより引用。対応していただいたのは、お父さんとその息子さんといったお二人。人型になった砂の上に寝転び、二人にどんどん砂をかけられていく。「うっ、案外重い」なんて心で思いながら、どんどんかけられていく。よく映画やドラマで、死んだと思い棺桶に入れられて、埋められた後に生き返るけれど砂が重くて出られないなんてシーんがあるけれど、その気持ちがよくわかった。どうしようもできないんだなって。

砂をかけられたら、タイマーが押され、そこから10分?15分ほど放置される。砂の中にいると始めはそうでもなかったのだけれど、徐々にドクンドクンと心臓が波打っていることを感じた。「あー人間の体にはやっぱり血が巡っていて、心臓は常に脈打っているんだな」ということに改めて気付かされた。そんなことを思っている間にどんどん僕の体からは汗が吹き出てくる。お風呂に浸かっているのとは違う、時間を忘れ、ただぼーっとするという感覚。たまに本当にこの砂から出られないかと、手をごぞごそして砂を掘ったけれど、無駄な努力だと思い知らされた。

ピピピピ、ピピピピとタイマーが鳴ると先ほどのお二人によって砂がどかされていく。砂だらけの体はシャワーで落としていく。

 

 

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そしてそのまま隣の部屋へ移り、次はラジウム温泉に入る。血行がいいこともあり、ラジウム温泉も気持ちがよく、頭は何も考えられず浮遊感を感じていた。正直なところを言えば、これがラジウム温泉か普通のお風呂かと聞かれればよくわからない。「気持ちがよかった。」その言葉につきる。

 

 

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最後に僕の顔を見てもらえればお分かりだろう。絶妙にすっきりした顔をしている。出すものを出したという感じだろうか。本当は看板に保養センターの詳細が書いてあるのだけれど、光が強くて写らなかった。ただこの光った感じからも、すっきりさが伝わるようだ。

 

 

 

健康であるためには、実際何がいいのかの正解はないんだと思う。

 

 

 

食事も運動も休息も、どれも質がいいに越したことはないけれど、実際は一人一人健康である方法は異なる。そして、逆に健康を意識しすぎると面白いことができなかったりもするからまた難しい。十人十色。トライアンドエラーで、「自分なりの健康」を探していければいい。

 

 

 

 

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*引用/参考資料

1, 睡眠圧縮剤 | ドラえもん Wikia | Fandom powered by Wikia

2, 驚異!!天然ラジウムが難病を治す―玉川・北投・熱川・神代のラジウム温泉療法

3, 『稀元素』鉱物が持つ天然の放射線でガンが治った!!

ラジウム温泉保養センター│江戸川区、一之江のラジウム温泉保養│ぱどナビ

Radium Hot Springs - Wikipedia

ラドン - Wikipedia

温泉の科学目次

放射能泉 - Wikipedia

ラジウム温泉って? − 温泉大辞典 − BIGLOBE温泉

全国のラジウム温泉と湯治のための総合情報サイトです。

二股らぢうむ温泉公式サイト

二股ラジウム温泉

ラジウムについて::山梨県 増富温泉 天然岩風呂の宿 不老閣

三朝温泉旅館協同組合│宿泊施設&観光情報満載│三朝温泉旅館協同組合

船堀ラジウム砂風呂温泉報告 - YouTube

株式会社スイコウ | トップページ|スイコウ| 【新築・リフォーム・耐震補強】江戸川区・足立区・葛飾区・江東区・墨田区・市川市・浦安市

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火を見つめてしまう理由 / 進化論 × 大陸移動 × プロメテウスの火 / 恵比寿カフェ・CAFE PARK

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高揚する火

落ち着く火

本能に埋め込まれた火

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火を見ている時の気持ちとは?

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 photo: 恵比寿 CAFE PARKにて

2017年が明け、初詣に行った時のこと。まだ1月1日の深夜1時を回ったぐらいで、気候も防寒着が必須な芯から冷える時間帯。参列者は、神社の参拝のため、長蛇に列を成して並んでいた。その神社では、列の両側に松明が等間隔で置かれていた。参列者が寒くないようにと、神社側のご厚意だろう。もちろん僕も参列者の一人で、「暖かいな」とありがたい気持ちでいた。そんな時、ふと人々を見ていると、どの人も松明の火に釘付けになり、目を奪われたように火を見ていることに気がついた。気持ちが高揚しているような、心が落ち着いているような、そんな顔をしていた。

たまに行くカフェに行った時のこと。そのカフェでは各テーブルに一つロウソクが灯されていた。当然僕が座った席にもロウソクがあり、その火はガラスの器から頭を覗かせながらゆっくりと揺れていた。そのロウソクを眺めていると、そのカフェの雰囲気に合わさって、なぜだか心が落ち着いていることを感じていた。

火を見ることは何か力があるのだろうか。なぜ火を見ていると気持ちが高揚する感覚がするのだろう。なぜ火を見ていると気持ちが落ち着く気がするのだろう。人の本能には火に関する何かしらの記憶が刷り込まれているのだろうか。

 

ダーウィンの進化論

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 photo: flickr - Lola Ro 

世の中には様々な人類の進化論が定説されている。中でも最初に人類の進化論を述べたのがCharles Robert Darwin チャールズ・ロバート・ダーウィンだ。彼は"Descent of Man, and Selection in Relation to Sex (1871)"の中で、アフリカの類人猿とヒトの間に解剖学や行動上の著しい類似点を指摘した。このことは、「人類の祖先は、アフリカの類人猿に近い人種であり、人類はアフリカで誕生した可能性が高いこと」を示唆した。同時に、ヒトには類人猿とは異なる特性があることも指摘した。直立二足歩行や道具の使用、小さな犬歯などがそれである。これら特性は、各々が別々で作用しているわけではなく、すべてが関わり合いながら促進されたものと考えた。

アフリカの類人猿以降、ヒトは原人・旧人・新人と進化していく。最初の原人の化石は世界中で多く見つかっているが、最も古い物になるとアフリカ東部から南部の物に限られる。このことからも、人類はアフリカ地域から世界中に広がっていった(Out of Africa)と考えられている。そして、その特性や大陸の移動に火の使用が関連してくる。

[ヒトの特徴]

・直立二足歩行(体の変化も含む)

・道具の使用

・高い知能(大きな大脳、意味を連ねた有節言語の使用など)

・高い社会性(協同行動、相互扶助などの関わり合い)

・小さな犬歯(大臼歯の小型化)

*引用/参考 1-10

 

火を使い始めた人類

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 photo: 人が歩んだ500万年の歴史〈2〉人のはじまり - 瀬戸口烈司/木村しゅうじ

火の使用跡で最も古いものは幾つか云われがある。150万年前の南アフリカ"Swartkrans Cave スワルシクランス洞窟"、140万年前のケニア"Chesowanja チェソワンジャ遺跡"などだ。また、2012年に南アフリカの"Wonderwerk Cave ワンダーウェーク洞窟"にて確実な火の使用跡も見つかっている。ボストン大学のフランシスコ・ベルナなどを含む国際研究チームは、深さ140メートルの洞窟内にて約500℃で加熱された動物の骨や植物の灰などを発見した。

洞窟などから火の使用跡が見つかっていることから、原人は気温差や季節差の防寒のため、火を使っていたと想像できる。特に、アフリカ地域からユーラシア地域への移動では、動物の毛皮だけでは凌げない寒さに打ち勝つために、火は必須であったと考えられる。その際は、原人は集団で火を囲み、寒さを防いでいたことだろう。

火の習性についてこんな話がある。 通常の動物は火を見ると逃げ出す傾向にあるが、サルやチンパンジーなどのサル類は、火を怖がらず、火の周りで暖を取るという。火にあたると体が温まることを知っているからだろう。もちろん、現代人は今でも焚き火を囲んだり、こたつにくるまったりもする。つまり、人の本能の中には、火にあたり暖を取ることの温かみや重要性が染み付いていると考えられる。また、食事をするためにも集団や家族が火の周りに集まることになり、自然とコミュニケーションが生まれることにもなる。火には、つながりや絆を想起させる記憶が本能的に備わっているのではないだろうか。

他にも、明かりや肉食獣から身を守るため、もちろん食事などの用途にも火を使用していた。中でも、食事は火のおかげで大幅にレパートリーを変化させ、それまで食べられなかった物も柔らかくして食べられるようになった。この火と食事の関係は、ダーウィンの説のように、大臼歯も小型化していったことと結びつく。

*引用/参考 6-12

 

力と脅威を誘発する火 

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 photo: Prometheus - Wikipedia

では、原人が初めて火に触れるきっかけは何だったのか。一説には、落雷やマグマの噴火によって生まれた火を大切に絶やさず使用していたと考えられている。そういった環境だからこそ、火には自然現象の偉大さや脅威のようなイメージが残っていると考えられる。各地域で宗教的な神話が作られもしている。その代表作がギリシャ神話の"プロメテウスの火"だろう。この神話からわかるように、古くの人から火には、"力"や"脅威"、"恐れ"などを象徴させる存在であったことがわかる。

[プロメテウスの火]

むかしむかし、タイタンという巨人族は地上に暮らし、仲間割れや争いばかりしていました。その中に一人だけ頭のいい巨人"プロメテウス"がいました。タイタン族に不信感を感じていたプロメテウスは、弟"エピメテウス"と共に、神々の王ゼウスの味方になり、タイタン族を退治することにしました。神々は、プロメテウスの知恵もあり、みごとに戦いに勝利しました。しかし、地上にはまだ"人間"が残っていました。ゼウスは、人間は愚かで悪いことをすると考えていたので、この世から根絶やしにすると言いました。一方で、プロメテウスが人間を作ったこともあり、プロメテウスは人間をたいそう可愛がっていました。しかし、人間は地上の生き物の中でも一番力のない存在でした。そこで、プロメテウスは人間を助けるために、ゼウスが持つ"赤い火の花"をこっそり盗んできました。この火のおかげで、人間は強くなりました。例えば、ライオンの爪よりするどい鉄の武器を作り、野生の獣を慣らし家畜にし、頑丈な杭で外からの敵を防ぐことなどできるようになりました。人間がどんどん強くなっていくのを見て驚いたゼウスは、赤い火の花が盗まれていることに気がつきました。すぐにゼウスはプロメテスの仕業だとわかり、刑罰としてプロメテウスを岩に縛りつけました。それから長い時間が経ちました。しかしあるとき、ゼウスの王座が危うくなったことがあり、プロメテウスはゼウスに知恵を授けました。その恩もあり、プロメテウスは自由の身になることができました。とさ。

*引用/参考 11-16

 

火に宿る人類の本能

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 photo: flickr - John Hughes

火は人間が進化する上で、必須なものであった。例えば、繋がりや絆を育む場所に火があった。また、力や脅威、恐怖などを想起させる存在でもあった。そんな本能的に刷り込まれた記憶やイメージが、今でも人々の中に残っているのではないだろうか。

現代は、電線やガスが張り巡らされた世の中であり、お風呂やコンロにしても、なかなか直接的な火を見ることは少なくなった。電車で周りを見れば、小さな四角の画面を見ながら違うどこかの誰かとコミュニケーションを取っている。ここではないどこかの情報を覗き、ここにある今を失っているように感じる。そこには、火の周りで暖を取るような温かみはない。だからこそ、たまに見る火には暖かみや温もりを感じることができるのではないだろうか。修行や瞑想ではないけれど、家にいるときにたまには電気を使わずロウソクにしてみたり、誰かと焚き火をしてみたりと、火に触れる機会を増やしてはどうだろうか。そうすることで、心に火を灯すことができ、心を落ち着かせることができるはずだ。そして、人間としての本能を思い出すことができるのではないだろうか。

けれど、これだけは言っておきたい。

 

「くれぐれも火の取り扱いにはご注意を。」

 

 

 

 

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東京・恵比寿:CAFE PARK(カフェ・パーク)

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今回は、そんな火の温かみを感じるカフェを紹介します。それが恵比寿にある"CAFE PARK"です。恵比寿駅からは10分弱歩きますが、駅前ではないので混雑はしておらず、とても落ち着けるカフェです。席には一つずつロウソクが置かれ、火の温かみを感じることができます。また、スタッフの方々は自然な接客をしてくれます。例えば、食事がどれぐらい減っているかなどをお客さんに気付かれないようにさり気なく確認してくれます。(僕の時は、席を直すふりをして確認していました。)料理も非常に美味しく、ドリンクもとてもおいしい。例えば、カフェラテはしっかりとエスプレッソの味を感じ、濃く深い味わいがあります。ミルクともよく絡んで気持ちも落ち着きます。

一人でも二人でも複数人でも、はたまたイベントなどでも活用できるカフェです。

[カフェ情報]

店名:CAFE PARK(カフェ・パーク)

住所:〒150-0021 東京都渋谷区恵比寿西1-21-15 エルスタンザ代官山B1

map:Google マップ

HP:CAFE PARK|恵比寿エリアのライフスタイルの新しいスタンダードを創造・発信

 

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店頭にはグランドメニュー。席に着けば本日のおすすめ黒板も置いてくれます。

 

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店内は、広々とし落ち着いた雰囲気。

 

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壁には独特のかわいい絵が描かれています。

 

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色からもわかるように、エスプレッソの味をしっかりと感じることができます。

 

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本日のおすすめであった"クリームシチューのパイ包み"。実においしそうです。

 

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近くで見ると、これが・・・

 

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こうなる!!美味しくいただきました。

 

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ぜひ一度訪れてみてはいかがでしょうか。

 

おまけ:店内で流れていたBGM

お店で流れていたBGMを聞けば、お店が目指している雰囲気が大体わかったりするものです。CAFE PARKではこんなBGMがかかっていました。

・Seymour Stein - Belle and Sebastian

・Self Reflections - Gary Marks

・Brown Skin Gal - Blake

・I Won't Lie - Michael Kiwanuka など

 movie: I Won't Lie (Live At Hackney Round Chapel, 2012) - YouTube

 

たまに、youtubeやニコニコ動画で焚き火を映すだけの動画を見たりします。火の中に自分の過去や未来を見たり、火の音に心を落ち着かせることができます。 

 

 

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*引用/参考資料

1, 進化論 - Wikipedia

2, The Descent of Man, and Selection in Relation to Sex - Wikipedia

3, THE DESCENT OF MAN, AND SELECTION IN RELATION TO SEX by Charles Darwin

4, チャールズ・ダーウィン - Wikipedia

5, 相互扶助 - Wikipedia

6, 人類の起源と進化 - 黒田末寿/片山一道/市川光雄(有斐閣/1987年12月)

7, 人が歩んだ500万年の歴史〈1〉人はどこからきたか - 瀬戸口烈司/木村しゅうじ(岩波書店/1995年4月) 

8, 人が歩んだ500万年の歴史〈2〉人のはじまり - 瀬戸口烈司/木村しゅうじ(岩波書店/1995年5月) 

9, 人が歩んだ500万年の歴史〈3〉新しい人類のは登場 - 瀬戸口烈司/木村しゅうじ(岩波書店/1995年7月) 

10, 人が歩んだ500万年の歴史〈4〉文明へのとびら - 瀬戸口烈司/木村しゅうじ(岩波書店/1995年8月) 

11, Archaeologists Find Earliest Evidence of Humans Cooking With Fire | DiscoverMagazine.com

12, Microstratigraphic evidence of in situ fire in the Acheulean strata of Wonderwerk Cave, Northern Cape province, South Africa

11, God of Fire

12, ギリシャ神話 - 石井桃子/富山妙子(のら書店/2000年11月)

13, ギリシャ神話の神・女神|プロメテウス

14, ギリシア神話 - Wikipedia

15, Greek mythology - Wikipedia

16, Ancient Greek Myths | National Geographic Kids

 

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*related

 

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亡霊が語りかけること / 目の感情 × 記憶の引き出し / ボルタンスキー × アニミタス × 庭園美術館

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目が伝える感情

記憶からくるなつかしさ

クリスチャン・ボルタンスキー

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心揺さぶられた展覧会"アニミタス"

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東京・目黒駅から徒歩10分ほどの場所にあり、敷地内に豊かな緑が広がる「東京都庭園美術館」。そこで2016年後半に一つの展覧会が行われた。

『クリスチャン・ボルタンスキー アニミタス-さざめく亡霊たち』

期間:2016年9月22日(木・祝)–12月25日(日)

会場:東京都庭園美術館(本館・新館ギャラリー1・2)

HP:http://www.teien-art-museum.ne.jp/exhibition/160922-1225_boltanski.html

アクセス:東京都庭園美術館|来館のご案内

map:Google マップ

 

ボルタンスキーが伝えること

 movie: Boltanski interview - YouTube

フランスの現代美術家"クリスチャン・ボルタンスキー"。1944年にパリで生まれ、12歳で学校を退学した彼は、その後独学で絵画や芸術を学んだ。1968年には初個展を実施。彼の作品には、ユダヤ人である父の差別経験が影響されており、"生(存在) × 死(消滅)"がテーマとなっている。遺物に宿った時間や記憶を、映像や制作作品を通して表現している。そんなボルタンスキーの東京初展覧会に足を踏み入れた。

展覧会名の"Animitas アニミタス"とはスペイン語で"小さな魂"という意味。自らを"埋葬者"と語る彼が、歴史ある庭園美術館という場で"亡霊たちのセレモニー"を行う。例えば、チリの砂漠にある祭壇(彼が訪れた場所)に漂う死者への思い出という亡霊、歴史的な庭園美術館が培ってきた記憶という亡霊、また、それぞれの先祖がいたからこそ形成される人間の顔という亡霊などだ。そういった「過去の出来事や人々がいたことで残る亡霊が語りかけること」について、作品を通して参加者に語りかける。

本展覧会では、新作『さざめく亡霊たち』や過去作品のアレンジとなる展示もあり、コンパクトながら、見応えたっぷりな内容となっていた。

[作品一覧]

・2016年『さざめく亡霊たち』・・・声の反響を使った作品。作家・関口涼子氏の作成したフレーズを、庭園美術館の建物の特性を生かし響き渡らせた。

・2013年『眼差し』・・・ギリシャ人の身分証明書の顔を、先が透ける薄い布に印刷する。その様々な目から発せられる感情を感じられる作品。

・2015年『帰郷』・・・メキシコでの作品。重傷者を包むために使われる衣服を山にし、金色の覆い"エマージェンシー・ブランケット"で包む作品。金は存在感と災いを想起させる。

・2014年『アニミタス』・・・チリの砂漠に600個の風鈴を設置した作品。今回の展示では、その場の映像を巨大スクリーンに映して表現された。

・2016年『ささやきの森』・・・森の木々に風鈴を設置。訪れた人の愛する人の名前が書かれた風鈴は、思いが含まれた音となって響き渡る。

・2008年『心臓音』・・・録音した人の心臓音。人それぞれ音もリズムも異なり、人の生命の違いを感じる。今回は、赤い電球と鼓動のタイミングをリンクさせて表現。

・1984年『影の劇場』・・・おばけや骸骨をイメージさせる切り紙をライトで間接的に照らした作品。

大変お恥ずかしながら、僕自信はボルタンスキーについてほぼ無知だったのだけれど、展示に行って色々と感じることがあったのでここに残しておきたい。僕の感じたことや言葉の中で、何かを見つけてもらえたらうれしい。

 

『眼差し』『帰郷』

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人が写真を見るときに一番反応がいいのは、"人の目"だという。

スマフォをスクロールしても、きっと一番手に止まるのは、人が映ってこちらを見ている写真だろう。 なぜだか2016年の後半になってから、「目」に出会うことが多くなった。2016年冬にワイアードの出版イベントに行った際もEs Devlinの演出で目が使われていたし、今回のボルタンスキーでも『眼差し』のコーナーで使われていた。これは何かの戒めだろうか?でも、そのどの目も別にこちらを見ているわけではなくて、むしろその目の持ち主が自分自信を見つめているような目だった。主張しているような、寂しそうな、遠くを見るような、そんな目だった。目はコミュニケーションのツールのようで、自分を見つめるための目でもあるのかもしれない。そして、目の中に記憶や思い出が宿っているのかもしれない。

そういえば、二人で食事をする時はいつも不思議に思うことがある。カウンターで話をすれば相手に話しているようで自分に話しているような感覚になるからだ。それは、自分という目と会話をしているからかもしれない。一方で、テーブルで対面になると、急に相手と会話している気持ちになるし、恥ずかしくなったりもする。相手の目が自分を掘り下げているような感覚なるからだろうか。

2017年は"会う"ということを増やしていきたいと思っている。それはたくさんの色々な目と出会うということなんだと思った。

 

『アニミタス』『ささやきの森』

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人が"その場の空間にいる"と感じるために五感を使っていることに改めて気がついた。

目で景色を見て、鼻で香りを感じ、耳で音を聞き、肌で空気に触れ、口で呼吸をする。そして、空間を感じた経験は、次に脳の記憶に刷り込まれる。その記憶は五感と直結した記憶になる。だから試しに、目を瞑っても香りや音があれば景色が見えるし、耳を塞いでも景色や香りがあれば音が聞こえてくる。そう思うと、記憶って"引き出し"のようだ。

僕は『アニミタス』『ささやきの森』の空間にいると、2016年夏に行ったチリ・イースター島のことを思い出していた。強風で流れる雲、気まぐれな天候、波の音。四駆の窓からの景色に、美味しそうに草を食べる馬と緑の匂い。今、目の前にある作品と、自分の中にある記憶が結びついて、引き出しが開いた。そんな感覚があった。そう思うと、「五感を満たすことができれば、人は現地にいなくて現地に行ける」のかもしれない。

きっと今回のボルタンスキーの展覧会のことも別の引き出しに仕舞われたはず。そして、今後出会う何かに出会った時、僕は今日のことを思い出すための引き出しを開くのだと思う。

 

扉を開いていこう

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亡霊を意識すると、自分の周りの環境は自分以外の誰かがいたから作られてきたんだな、ということに改めて気づいた。だからこそ、展覧会に行ったり、映画を見たり、誰かと話をしたりすることで、自分以外の世界を自分の中に取り入れることができるのだとわかった。それは、自分では持っていない世界を自分の中へエキスとして注入し、自分なりに消化することで、新しい自分の世界が開けるということだろう。また、その自分の世界が誰かに影響を与えることができれば、とてもうれしい。

人の目を見て、自分の引き出しを増やして、新しい扉をどんどん開いていこう。その先には、自分の見たことのない世界が待っているはずだ。

 

おまけ:新年のご挨拶

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2017年、明けましておめでとうございます。

2016年4月よりスタートした"monokann"も一歩一歩進めることができ、2017年を迎えることができました。始めた当初は探り探りで、自分の頭の中でのモノカン(物事を考えること)を言葉に乗せてきました。そうこうしている内に、自分には足りない物があることや、知りたいこと・知らないことがまだまだあることにも気づきました。だからこそもっと世界を広げていきたいと思うようにもなれました。また、#奇怪な物を見に行こう というテーマの下、日常に潜む不思議や奇妙な存在を取り上げることで、読者の方も含め「頭の中の固定概念を壊したい!」という思いにもなりました。

2016年のmonokannでの後悔は、"週に1度の更新を目標"と掲げながら、1ヶ月に1回などの投稿になってしまったことです。自分が納得いく答えや考えに至るのに時間がかかりすぎてしまったことに申し訳なさを感じます。でも楽しんでやっていました。イェイ。2017年は、なんとか更新頻度を上げて、読者の方の新しい発見や考えと出会えるようにできればと思っています。

ではでは、2017年度、それ以降も、どうぞmonokannをよろしくお願いいたします。

monokann

 

 

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 *引用/参考資料

東京都庭園美術館|クリスチャン・ボルタンスキー アニミタス-さざめく亡霊たち

TOKYO METROPOLITAN TEIEN ART MUSEUM|Christian Boltanski Animitas – Les âmes qui murmurent

Christian Boltanski - Wikipedia

Christian Boltanski | artnet

Christian Boltanski born 1944 | Tate

Boltanski: Es importante nombrar al desaparecido - Grupo Milenio

Foux de fa fa contemporary exhibition design: Christian Bolanski

Alexander S. Onassis | International Online Magazine

 

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*related

 

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"いい家"を考える / ビンテージマンション × ツリーハウス × ゲストハウス / 目黒区・旧栗山家古民家へ

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一軒家、マンション、団地

そこでの生活、帰ってくる場所

「家」

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人々が住みたい"いい家"とは?

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 photo: アルゼンチン エルカラファテにて

アメリカ合衆国・オバマ大統領は任期を終えたことで、2017年1月にホワイトハウスを離れ新しい家へ引越しをする。噂される引越しエリアは、ホワイトハウスからほど遠くない高級住宅地"カロラマ"。選んだ家は、1928年建築で、内装は大理石が使われ、庭も広々とした豪邸だ。オバマ大統領はシカゴに家を持っている。しかし、次女サシャが2018年に高校を卒業するまでその豪邸に家族全員で暮らす、という事情でここを選んだようだ。

人々が生活の中で最も多くの時間を使っている場所"家"。家に住むというのは様々な事情と多くの決定が必要になる。住むのをどこにするかでエリアを選び、一人・家族・二世帯など人数によって大きさを決め、要望・事情・予算によりデザインや内装を決める。しかし、「いい家に住みたい、いい暮らしをしたい」と思っていても、その望みを叶えることは難しかったりする。実際の所、住んでみないとその家が自分に合っているかはわからないからだ。

では、いったい人々はどうすれば"いい家"で暮らすことができるのか?"いい家"で暮らすためには何が必要なのだろうか?

※引用/参考 1,2

 

家選びに必要なこと

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 photo: 家 良い家の作り方 - 無印良品

家に住む時にまず考えなければならないのが、「その家でどういう暮らしをしたいのか?」という目的だ。それはプロジェクトや作品でいうテーマやコンセプトと同じように必要不可欠なものとなる。

共に小学校教師の夫婦と男児2人という4人家族の要望は、「ワークスペースと子供達の個室を設けること」だった。その夢のために力は発揮したのが建築家・長谷川豪。彼は「家の中心部に約10畳、高さ6m、天井は全面ガラスのトップライト。そして、床から70cmの高さにテーブルを設ける」という空間を提案した。勉強や仕事だけでなく、親子で仲良く寝そべられたりする、そういった家族が孤立しない空間だ。長谷川は言う。

テーブルでもあり一段高い床でもある、中庭のようでもありリビングのようでもある、というふうに使い方や自分の居場所によって、メインにもサブにもなれる空間にしたかったんです。国会図書館の大きなテーブルで見知らぬ人同士が向かい合って閲覧していたり、公園でサボっているサラリーマンからおばあさんまで色々な人が空間を共有している状態に近い。そういう公共空間的なものが家の中に入ってくることで、空間の使いかたや家に対する考え方がもっと自由になれるのではないかと思いました。

 

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 photo: 家 良い家の作り方 - 無印良品

そして、目的を持った家が決まれば、次に家具や家電を選び配置する必要がある。冷蔵庫や洗濯機などの白物家電、毎日の食事をするテーブル、PCや読書のためのデスクやソファなど、自分が生活する上で必要なもの・外せないものを一つ一つ決めていく。また、それと同時に各部屋でどういう時間を過ごしたいか、どういう役割にしたいかによって内装や雰囲気も考えていく必要がある。例えば、「照明」一つとっても家の雰囲気は大きく変わり、人の作業効率や安らぎにも大きな影響を与える。そうして、物や雰囲気を考えることで"いい空間を持ったいい家"へと近づいていく。

[光の組み立て方の例]

① 光の種類と特徴を知る・・・蛍光灯・白熱灯・LEDなど、たくさん種類がある

② 色温度と光を考える・・・日出のような赤身のある電球色、晴天時のような昼白色など

③ 光の量を調節する・・・調光を行い、シーンに合わせた演出と省エネも考慮

④ 光の方法を考える・・・照明器具の配光を知り、照らしたい場所にうまく光を当てる

⑤ 照明のシーンを考える・・・食卓、読書、スポーツ観戦など用途に合わせた照明を選ぶ

※引用/参考 3,4

 

古いモノほど愛おしい 

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 photo: flickr - Matt Viveen

「新しい物」というのは誰も触れていない新鮮さがある。けれど、「年月が経った物」には時間の価値が染み付いた味が現れる。それを体現しているのが「ビンテージマンション」だ。新築ではなく、築50年などの時間が経った古さを持つマンションを指し、都内にも幾つか点在している。例えば、ベランダの柵が印象的な「港区・秀和北青山レジデンス」、段差上のコンクリートデザインが迫力を演出する「目黒区・目黒柿の木アビタシオン」、エントランスや住居表示等の備品の味が光る「文京区・川口アパートメント」などがそれに当たる。

千代田区にあるビンテージマンション「一番町パークマンション」に住む夫妻は、当初新築マンションを希望していた。しかし、物件を見て回る内、夫がビンテージマンションに一目惚れし居住を決めたという。

「抜群の眺望と広さに加え、拡張のある雰囲気も気に入りました。海外のように古い建物を直しながら暮らすのもいいな。ここに越してから、古さはデメリットではなく、家を可愛がりながら暮らすことなんだ、と気づきました。」

「文京区・常盤松ハウス」に暮らす夫妻もこう語る。

「おしゃれだけど整理されすぎていない内装に、古さがいい温もりを加えていて。オーナーさんがいかに大事に使ってきたか、家への思いを感じます。」

もちろん古いからこそ都度メンテナンスが必要であったり、取り壊しの可能性もあるため、大変なこともある。けれど、ビンテージマンションには、現代では作れない装飾やデザインが醸し出す雰囲気が漂い、その部屋に住んでいた人たちが積み上げてきた時間という味が染み込んでいる。受け継がれてきた空間を堪能し、時間を楽しむという大切さを実感することができる。 

※引用/参考 5,6

 

自然に溶け込んで暮らしてみる

 movie: https://www.facebook.com/nelsontreehouse/

緑の中で呼吸をすると気持ちがいい。海の音を聞いていると心が安らぐ。誰しもそんな経験をしたことがあるだろう。であるなら、いっそのこと自然の中で暮らしてみるのもいいかもしれない。それを体現した人たちがいる。

ツリーハウス建築家である"Peter Nelson ピーター・ネルソン"。彼はアメリカ・イギリス・フランスだけでなく、日本でもツリーハウスの建築をしているツリーハウスの先駆者である。過去に彼は様々な人たちの夢を叶えてきた。「娘のためにツリーハウスを建てたい」という両親のために、友達と楽しい時間を過ごせる空間を作った。また、白血病の少年のため、彼の設計図を元に誰にも邪魔されず羽をのばせるツリーハウスも作った。そんなピーターはツリーハウスを作る目的をこう語る。

「私は、強く、はつらつとした木のエネルギーを感じたくてツリーハウスを作るのだ。私は木と一体になりたかった。また、ただ木のそばにいるだけでいいとも思うようになった。一つの場所に根を張って動かず、自分自身の力でたくましく成長することの素晴らしさ。この世で立派に育った木に勝るものがあるだろうか。木それ自体が私たちの魂を揺さぶるのだ。」

 

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 photo: Nautilus Giant Seashell House in Mexico City | HiConsumption

世界には変わったデザインの家も多く存在する。例えばメキシコにある「The Giant Seashell House 貝殻の家」。外観だけでなく、内装もオウム貝のようにデザインされたこの家は、建築家"Javier Senosiain ハヴィエル・セノシアイン"によって建築された。彼はスペインの建築家"Antoni Gaudi アントニ・ガウディ"や、アメリカの建築家"Frank Lloyd Wright フランク・ロイド・ライト"にインスピレーションを受けてできた作品だという。住人には貝の軟体生物のような気分を味わってほしいという意図が込められている。元々この家族は「いつでも自然を感じられる生活がしたい」という要望があった。その願いを叶えた家であり、彼はこういった家を"Bio-Architecture 生命の建築"と呼んでいる。

ツリーハウスや貝殻の家からもわかるように、人は自然を感じずにはいられない。家の中だけでなく、外の空気も全て引っくるめて家なのだと教えてくれる。

※引用/参考 7-13

 

出会いと会話が生まれるゲストハウス

https://www.instagram.com/p/2L49nRKIR5/

 photo: Instagram - monokann

 movie: Nui. Movie - "good morning" - YouTube

旅というのは、普段の生活から離れ、自然と心も開かれる。それにより素敵な出会いや新しい発見がある。宿泊の際も、部屋が完全に区分けされたホテルではなく、"ゲストハウス"という家を希望して宿泊を楽しむ人たちがいるほどだ。

下町浅草 蔵前にある「Nui.(ヌイ)」。元々古民家のゲストハウスとして人気を博した東京・入谷にある「toco.(トコ)」 。その2号店として2012年にオープンした「Nui.」は、国内外の旅行者が多く集い、今やゲストハウスのスタンダードとなっている。コンセプトは、「あらゆる境界線を越えて、人々が集える場所を」。Nui.の建物は、元々おもちゃ屋の倉庫だった6階建てのビルを大改造して始まった。部屋数は、約100床。一階は、オープンスペースとしてバーが並列され、宿泊客だけでなく食事をしたい人もゆったりとした時間を過ごすことができる。また、空間に合うアーティストがライブをすることもあり、多くの人で賑わっている。一方で、宿泊部屋はゆったりと落ち着いており、アンティーク調のドアやアートの壁掛けなども細かな演出が施され、楽しめる空間となっている。

他にも、台東区日本堤にあるゲストハウス「行燈旅館」では、海外からの人を楽しませる演出がされている。女主人・石井敏子は「日本の文化を体験してもらいたい」という気持ちを持ち、旅館というスタイルにこだわった。それを体現するように、客室は全室個室で、畳に座布団のニッポンスタイル。そして、ほぼ毎日、日本文化を感じることができるワークショップが開かれている。

ゲストハウスでは、その土地ならではの物を、その土地ならではの時間で堪能することができる。そこに新しいコミュニケーションが生まれ、次の生活に繋がっていく素晴らしさは何物にも代えがたい。

※引用/参考 14-17

 

"いい家"とは、空間を感じ、時間を味わい楽しむこと

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 photo: アルゼンチン エルカラファテにて

もう一度考えてみたい、"いい家"とは何かを。家を自分で建てる際は、その家でどういう生活をしたいかの目的を考え、そのために家具や照明による部屋の雰囲気まで考えていく。また、新築に限らず"ビンテージ"という価値が染み付いた家で過ごす人もいる。一方で、ツリーハウスや貝殻の家でもわかるように、家の中だけでなく、外の自然と寄り添いながら暮らす生活もある。そして、一旦旅に出れば、"ゲストハウス"という普段とは違う時間の中で、新しい出会いや発見を感じることができる。

「家の中をお気に入りの状態にして自分の時間を過ごしたい」

「メンテナンスは大変だけれど、過去の時間を含んだ家をかわいがっていきたい。」

「周りの環境に溶け込み自然を感じて暮らしたい」

「新しい出会いを通して、人とコミュニケーションを取りたい。」

きっと人々が求める"いい家"とは、"家という空間で時間を味わい楽しむこと"なんだと考える。 きっと忙しい時自分の家がいいとは感じない。誰かに言われて住み始めても、その家での暮らしを楽しめない。それは時間を感じていないから。自分の命が一歩一歩と進んでいるように、家の時間も進んでいる。だからこそ、愛情を注ぐし、発見を求めたいと思う。そうすることで、"いい家"に一歩ずつ育っていくのではないだろうか。

僕も2016年に東京に引越しをし、旅行で初めて京都のゲストハウスに宿泊したりもした。そしてそこでは、新しい発見と出会いが待っていた。けれど、なぜそれができたのかを考えていたら、「僕は新しい場所での生活にワクワクしていたんだ。」ということに気がついた。そのおかげで、無意識の内に、自然とそこでの時間を楽しむ心を持っていた。暮らし方はみんな違う。だからそれぞれの楽しみ方を探す。

あなたは最近、自分の家での時間やそこでの生活を楽しめているだろうか?

 

 

 

奇怪な物を見に行こう:目黒区古民家・旧栗山家主屋(すずめのお宿緑地公園)

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京都・奈良など日本にも古くから家にこだわる文化が根付いています。一方で、有名とは言えず、普段僕たちがなんとなしに過ごしている街中にも、素晴らしい空間を持った「家」が存在しています。

今回は、目黒区の"すずめのお宿緑地公園"にある古民家"旧栗山家"をご紹介。

 

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まずは"すずめのお宿緑地公園"について。

場所は、東京都目黒区碑文谷。この地域では、今から約200数年前の江戸時代安永期に地質のよさも生かした筍栽培が行われていました。その栽培は大正中頃に最盛期となり、昭和の初めまで日本でも有数の竹林でした。そんな竹林には、自然と無数のすずめが住み着いていました。数千羽のすずめの群れは朝早くにどこかへ飛び立ち、夕暮れ時には竹林へ帰ってくる。そうして、いつしか人々はこの竹林を"すずめのお宿"と呼ぶようになったと言います。

この土地の所有者は故・角田セイさん。角田さんは長年の一人暮らしの末、「この土地を国に返したい」という思いを持っていました。そして、その思いを国が受け取り、公園という人々の憩いの場として開放したそうです。

 

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名前の由来通り、素晴らしい竹林が広がっている。

 

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公園内には、「すずめと少女」のモニュメントも飾られている。なんとも言えない哀愁。

 

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そんな公園内には、目黒区指定有形文化財に認定されている「旧栗山家の古民家」が復元されています。

栗山家の祖先は、世田谷城主吉良氏の家臣として務めた後、天成18年(1590年)の吉良氏没落後から"衾村 ふすまむら(現在の緑ヶ丘辺り)"に土着しました。そして、村の開発に当たり、七軒の有力百姓の一つでもありました。江戸時代以降は、代々「年寄」と呼ばれる町村の行政に従事した指導的立場でもあったといいます。そんな栗山家の最後の代は、故・栗山重治氏。その住宅が、移転・復元されて公開されているのです。

 

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構造形式は、「桁行7.5間(約13.6m)・梁間5間(約9.2m)・広間型平面・寄棟造」。当時との違いは、現在の建築法の関係で、"茅葺(かやぶき)屋根"が"茅葺型の銅板茅"に変わっていること。しかしそれ以外が当時のままの姿となっている。

 

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門の入り口には案内板が。入場無料。公開時間は9:30〜15:30とちょっと早めなので要注意を。

 HP:目黒区古民家の施設案内 目黒区

 住所:目黒区碑文谷三丁目11番22号

 地図:Google マップ

 

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門を入ると縁側が広がる。お年寄りでも腰掛けやすいように低めの高さになっている。

 

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僕が行った時は、「東京文化財ウィーク2016」が行われていた。東京にはまだまだ知らない深い歴史が溢れていることに楽しさを覚えた。

 

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案内資料より、平面図はこちら。古民家内は、「ダイドコロ・ヒロマ・ナンド・ザシキ」の4つの空間からなっている。特徴としては、ダイドコロとヒロマの間にある3本の大黒柱。お父さんが家族を支えるように、この家を大きな力で支えている。

 

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ダイドコロでは管理人のおじさんが釜を炊いていた。当時、茅葺屋根だった頃は、カマドの煙を屋根に浸透させて虫の発生を防いでいたという。

 

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ダイドコロの水場。全てが当時のアイテムではなく演出として置いている物もあるみたいだけれど、当時の空気を感じることができることはうれしい。

 

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続いてヒロマ。囲炉裏が当時の生活を思い起こさせる。暖色の照明が全体に暖かい雰囲気を漂わせている。

 

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囲炉裏。暖かいごはんが作られていたんだろうな。

 

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ザシキ側からも。四角の部屋の美しさを生かした造り。外からの光もいい間接照明になって綺麗だ。

 

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最後に、ザシキからナンド側もどうぞ。

 

 

家というのは、懐かしさを感じる場所でもあるのかもしれません。自分が育った場所ではないけれど、似た雰囲気・似た空気が流れているだけで、自分の記憶が遡られる。そして、そこで関わってきた家族や友人が思い出される。それは、いい思い出も悪い思い出も含めてだけれど。タイムマシンはなくても、時空や空間を超えて同じ気持ちになれる場所はたくさんあります。その一つが"家"なのかもしれません。

 

 

 

 

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引用/参考資料

1, Obama Kalorama House - Photos Of The Obamas' New House In Washington, D.C.

2, オバマ大統領、ホワイトハウスの次はこんな家に住むらしい(画像)

3, 家 良い家の作り方 - 無印良品(良品計画/2008年3月)

4, Go Hasegawa and Associates

5, VINTAGE APARTMENT ビンテージマンションで楽しむスタイルのある暮らし(エクスナレッジ/2015年7月)

6, VINTAGE HOUSE ビンテージハウスで楽しむスタイルのある暮らし(エクスナレッジ/2014年12月)

7, TREEHOUSES OF THE WORLD ツリーハウスをつくる - ピーターネルソン (二見書房/2005年7月)

8. Nelson Treehouse and Supply: The #1 source for custom treehouses, designs, consulting, DIY plans, supplies and vacations.

9, 世界のおもしろい家(エクスナレッジ/2013年9月)

10, Nautilus Giant Seashell House in Mexico City | HiConsumption

11, 'Nautilus House' in Mexico City is one of the most colourful and original dwellings | Daily Mail Online

12, Stunning home is a giant inhabitable seashell for humans (Video) : TreeHugger

13, Javier Senosiain - Inicio

14, Tokyo GUEST HOUSE ローカル&グローバルな新感覚ステイ(ぴあ/2016年5月)

15, 東京ゲストハウス toco.(トコ) | 東京のゲストハウス・バックパッカーに宿泊

16, Nui. HOSTEL & BAR LOUNGE | 東京のホステル&バーラウンジ

17, 上野・浅草のゲストハウスなら東京初のデザイナーズ旅館|行燈旅館[公式]

 

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奇怪な物を見に行こう 引用/参考

・古民家の案内紙「古民家案内」

・「東京9区 文化財古民家めぐり」案内紙

すずめのお宿緑地公園 目黒区

太い柱が特徴の江戸時代中期の古民家 [古民家] All About

年寄(としより)とは - コトバンク

寄棟造 - Wikipedia

茅葺 - Wikipedia

 

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なぜ怪獣に惹かれてしまうのか? / 特技の神様 円谷英二 × ゴジラ俳優 中島春雄 × カタルシス / くりはま花の国"ゴジラすべり台" + ウルトラマンの日 in 杉並公会堂へ

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いいかい中島くん

破壊される東京タワー

怪獣の魅力に迫る

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なぜ人は「怪獣」に心惹かれてしまうのか?

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 photo: 映画『シン・ゴジラ』公式サイト

2016年の邦画市場は豊作と言われ、評価の高い映画が多かった。新海誠監督の"君の名は"、岩井俊二監督の"リップヴァンウィンクルの花嫁"、李相日監督の"怒り"など、内容も音楽も素晴らしい物がたくさんあった。そして、忘れてはいけないのが、エヴァンゲリオンの生みの親 庵野秀明監督の"シン・ゴジラ"だ。

2016年7月29日の公開以来、11月時点で観客動員数551万人、興行収入80億円超えと現在もメガヒットを続けている。ゴジラシリーズとしては、前作2004年の「ゴジラFINAL WARS」から12年ぶりの公開となり、ゴジラ作品としては29作目となる。第1作目の円谷英二監督「ゴジラ」が公開されたのは1954年。それから60年以上の時が経ちながら、人々はなお「ゴジラ」という怪獣に惹かれている。

一方で、今年で生誕50周年を迎えたウルトラマンにも様々な怪獣が登場する。バルタン星人、ゼットン、レッドキングなど、毎回正義のヒーロー"ウルトラマン"と素晴らしい戦いを繰り広げる怪獣達。けれど、悪役でありながら魅力的なその姿・形、特性や事情などは、子供たちだけでなく大人までも興奮させる存在となっている。

ではなぜ人々は「怪獣」という存在にそれ程までに惹かれてしまうのか?人々は怪獣にどういう気持ちを抱き、何を投影し、その姿・行動を見ているのだろうか?

*引用/参考 1-4

 

ゴジラ映画の始まりと特技の神様"円谷英二"

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 photo: ゴジラ (1954年の映画) - Wikipedia

 movie: ゴジラ - YouTube

日本の怪獣映画の元祖、第一作目の「ゴジラ」の始まりは、1954年に遡る。当時、田中友幸プロデューサー(元東宝映画代表取締役会長)は、インドネシアとの合作映画の企画が諸事情で中止となり、代替企画を探していた。そこで白羽の矢が立ったのが円谷英二だ。彼の技術を生かした特撮物の企画として「ゴジラ」は生まれた。ストーリーは1954年に発生した第五福竜丸の被曝事件をネタに構成され、「水爆実験の影響で甦った太鼓の恐竜が東京を襲撃する」という物語となった。この時期は、まだ太平洋戦争終結から10年と経っていない時期であり、人々の心にも傷が残っていた。(ちなみに、シン・ゴジラでは、東日本大震災と原子力問題を思い起こさせるストーリーとなっていることから、人々の心に根深い傷を負わせた物を連想させる作品は、強く心を打つのかもしれない。)

円谷監督はゴジラの中に様々な撮影方法や考え方を盛り込んだ。まず、そもそもなぜ役者がゴジラの着ぐるみを着る映画手法になったのか。ゴジラ撮影開始前、円谷監督はゴジラ俳優"中島春雄"に、参考資料としてキングコングの映画を見るように言った。

「僕が持っている『キングコング』のフィルムを見せるから、動きを参考にするといい。ただし、キングコングは、"コマ撮り"という方法で撮られている。コマ撮りは随分と根気のいる手法で、同じことを僕らもやると、映画の完成まで、長くかかる。七年くらいかな。もちろん、そんなにかけてちゃ商売にならない。『G作品(ゴジラの初期タイトル)』は三ヶ月で作ると会社で決まっていてね。そこで、君にぬいぐるみで、『ゴジラ』を演じてもらうことになったわけだよ。」

また撮影には「スピード撮影」という手法が取り入れられている。

「いいかい中島くん。普通の劇映画は一秒間に二四コマで撮影して、スクリーンにも二四コマで映すね。しかし、特撮は四八コマや、七二コマで撮る。そしてスクリーンには普通に一秒二四コマで映す。そうすると、ものの動く速さが二分の一や三分の一になるね。それでゴジラの大きさや重々しさが出るんだよ。これがハイスピード撮影だよ。ミニチュアの壊しもそうだよ。いかにも高い建物が壊れるようにゆっくり崩れるんだ。セットを燃やす炎や立ち昇る煙はユラユラとゆらめいて大火災に見える。水面の揺らぎは大きな波に見えるわけだね。」 

他にも円谷監督は、「ギニョール」という小さなゴジラの人形を使う手法や、棒の先についた尻尾だけの造り物でビルを叩き壊す手法なども取り入れた。また、役者中島へもゴジラの動きのこだわりを伝えた。例えば隅田川で勝鬨橋を壊すシーンでのことだ。

「わざと壊すんじゃないよ。邪魔だからどいてくれって感じで壊すんだ。乱暴にやらず、自然な感じでね。」

紹介したものだけでなく、円谷監督の特撮技術とこだわりがあってこその「ゴジラ」であり、後世の怪獣作品のお手本となっている。そして、それ以降のウルトラマンなどの特撮作品に繋がっていくことからも、本当に偉大な存在だったことがよくわかる。

*引用/参考 5-7

 

元祖ゴジラ俳優・中島春雄

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 photo: 怪獣人生 - 中島春雄(洋泉社/2010年7月)

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 photo: 怪獣人生 - 中島春雄(洋泉社/2010年7月) 

もちろんゴジラやウルトラマンの怪獣は円谷監督だけの成果ではない。役者や美術部隊などの仕事への誇りとこだわりを持っている人々のおかげでもあった。特に元祖ゴジラ俳優"中島春雄"の存在はとても大きい。

当時、東宝所属の俳優であった中島は、エキストラも吹き替えもする"B2"という下っ端の位で、給料も安かった。そんなある日、中島は演技課長から一冊の台本を手渡される。『G作品』、その「怪獣役」。しかし台本を読んでも一向に怪獣の役がわからない。そして前述したように、円谷監督からキングコングを参考にゴジラの役を説明される。それでも役がわからない中島は、親戚の家の近くの上野動物園に通い、ゾウやクマ、ゴリラなどの動きを観察し続けた。そして、いざぬいぐるみを着た初日。ぬいぐるみが固くて重いため、中島は足も上げられず、汗だくで10メートル歩くのがやっとだった。元々飛行機好きで、海軍で鍛えた体に自信を持っていたが、到底思い通りに芝居ができるものではなかった。

しかし、中島は俳優として仕事への責任感があった。毎日しっかりと体を鍛え、ゴジラの撮影に臨み、ぬいぐるみも日に日に改良されていった。時にNGを出してしまった時もこう語る。

「映画の現場は腕利きの職人ばかりだ。ぬいぐるみ職人は最高の仕事をしているはずだ。それでも動き辛いなら、後は役者がカバーするしかない。」

第1作目のゴジラの成功を皮切りに、後のゴジラシリーズはほぼ中島がゴジラ役を務めることになり、ウルトラマンの初期の怪獣も中島が務めた。「キングコング対ゴジラ」も、「ゴジラ対モスラ」も、ウルトラマンのパゴスやネロンガ、ジラース(ゴジラの着ぐるみの改造)といった怪獣も全て中島だ。中島はそんな怪獣映画での役者の役割をこう話す。

「ぬいぐるみの役者ってのは、監督にいいなりになっていて、務まるもんじゃないとは思うね。結局、オヤジさん(円谷監督)にだってぬいぐるみがどう動けるか、わからないんだもの。わかるのは入っている本人だけ。だから、怪獣の立ち回りを面白くするのは、役者に全部かかっているわけ。」

 その後、円谷監督が亡くなり、東宝のリストラもあり、中島は俳優を引退することになる。しかし、引退後も元祖怪獣俳優として、日本だけでなく海外からも取材があった。そんな俳優歴60年の中島は、最近の怪獣役や役者について厳しくも愛情あるエールを送る。

「『最近の映画やテレビの怪獣の芝居はどうですか?』ってやめた後もよく聞かれるね。僕は『ダメだよ』って言うよ。違いは結局、最近のは『真似』だから。自分で考えたんじゃないからだと思うんだよね。自分の役者人生を振り返ってみて、ゴジラや怪獣に関しては、自慢できることがあるとしたら、一つだね。

『真似しなかった』

僕は、自分で考えて芝居を作って欲しいね。物真似っていうのは、はっきり言って大嫌いだよ。僕は誰かの芝居を見て参考にしたわけじゃないから。動物園に言ってゼロから考えたわけだから。始まりが全然違うんだよね。」

*引用/参考 7

 

抑圧からの解放「カタルシス」を望む人々 

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 photo: flickr - sir_winger

人々は望んでいる。怪獣が何もかもを破壊することを。

情報が溢れ、コミュニケーションも複雑化してきた現代社会は、益々ストレス社会となってきている。2008年の内閣府調査では、国民のほぼ60%以上が「日頃ストレスを感じている」と回答している。その主原因は「仕事や会社の人間関係」「家庭や家族の人間関係」となっており、上司や同僚との関係性、過度な残業やハラスメント、家族との不仲などが原因と考えられる。人は人と関わらないと生きてはいけないにも関わらず、人によって苛立ちやイライラを貯め、人と関わっていることがよくわかる。仮にあまりにストレスを浴びすぎると、人のからだには4つの変化が起きると言われている。

[ストレスによる体の変化]

① からだが軋む・・・体の疲れや自律神経の乱れ、人間関係を遠ざけるなど

② 心が悲鳴をあげる・・・急に涙が流れる、孤立感を感じる

③ バーンアウト・サイン・・・やり甲斐を感じなくなる、モチベーションの枯渇

④ うつに苦しむ・・・不眠症、全身の疲労感、気落ち、めまいなど

そんなストレスを発散させるための心理的対処法の一つに、"カタルシス"というものがある。カタルシスとは、「抑えられていた感情が抑圧から解放され気持ちが晴れる」ことを指す。元々は、「悲劇が観客の心を浄化する効果」を指したことが由来だ。カタルシスが発動すれば、ストレスに苦しんだ心をほぐし、なぐさめ、蘇らせる力があると知られている。

怪獣はそのカタルシスを発動させる大きな存在だと考えられる。人はストレスを感じながらも、それを解放することができない。人によっては、それが殺人や破壊衝動に変わる異常も起きてしまう。だからこそ、人の境地を越えた「全てを破壊してしまう存在」という意味で、人々は怪獣を見ていると考えられる。それは、映画の手法にも取り入れられ、例えば、企画:庵野秀明・監督:樋口真嗣の「巨神兵東京に現わる」だ。前半の2分半は、林原めぐみの声で"日常"が語られる。その後、人の陣地を越えた巨神兵が登場し、全てを焼き尽くす。そんなカタルシスを誘発する描写に人々は心の解放を感じている。

*引用/参考 8-10

 

技術とプロ意識、そして心の解放としての怪獣

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 photo: flickr - alex wald

怪獣は人間ではなく動物だ。けれどその怪獣からは人間らしい心を感じる。

中島が動物から動きを学び、役者として怪獣に心を与えた。そこに円谷監督や美術部隊の最高の技術が組み合わさる。どの怪獣にもプロ集団の思いが詰まっているのだ。そんな一方で、人々は怪獣を見ながら、カタルシスを感じている。日常で押し殺している心を、怪獣が代わりに解放してくれる。だからこそ、人は怪獣に魅せられ、釘付けになってしまうのではないだろうか。

もちろん怪獣には他にも人を惹きつける要因がたくさんあるはずだ。例えば、ネーミング。怪獣の名前は大体濁点の文字、特に"ガギグゲゴ"が含まれることが多い。一説によれば、ガ行音は、喉をグッと締め上げて発音することから、「そのモノには敵わない」という信号が脳に行く。それは喉仏がある男性に顕著に現れる。だから、特に男性が怪獣に魅了させることが多い。そんな説もある。そして、もちろん忘れてならないのは、理由などなく、「怪獣は純粋にかっこいい」ということだ。

もし本当にこの世界に怪獣が現れたら、人々はどう行動するだろうか?シン・ゴジラの中でのように、政府は動けるだろうか。国同士で協力し合えるだろうか。僕らは心の解放を感じるだろうか。逃げきれるだろうか。想像膨らむ"怪獣"という存在を今後も観察していこうと思う。

あなたにとっての「怪獣」とはどんな存在だろうか?

*引用/参考 11-13

 

 

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奇怪な物を見に行こう:くりはま花の国"ゴジラのすべり台"

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ゴジラといえば、TOHOシネマズ新宿の頭だけが出たゴジラが有名ですが、神奈川県横須賀市久里浜にもゴジラが君臨しています。その場所は、"くりはま花の国"内の"冒険ランド"というアスレチックエリアです。子供達や親御さんで賑わい、本当に楽しい空間になっています。今回はそのゴジラをご紹介!

 

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先にくりはま花の国の紹介します。花の国は久里浜エリアに住む人々の憩いの場で、駐車場もたくさんあるので、県内県外の方々も楽しめる空間になっています。なんせ、中には、パークゴルフ園やアーチェリー場、ハーブ園なんかもあるのですから。全体像は地図で確認ください。

 [HP] くりはま花の国について|横須賀

 [住所] 〒239-0832 神奈川県横須賀市神明町1番地 

 [MAP] Google マップ

 

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園内はとても広いので、「フラワートレイン」と呼ばれる汽車みたいな乗り物で移動できます。もちろんそれに乗らずに自分で歩いて自然を楽しむのもいいと思います。僕はずっと歩いてヘトヘトになりました。

 

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そして、冒険ランドのゴジラは高さ8.75メートル、重さ5トンというサイズ。第1作目のゴジラが50メートル、シン・ゴジラが118.5メートルですから、少し小さめですね。しかし、このゴジラ!股下から尻尾にかけてがすべり台になっているのです。子供達も楽しそう。また、周りにはこのゴジラすべり台を作るにあたり協力してくれた方々や企業さんの名前がしっかり入っています。

 

公園の雰囲気はこちらの動画をどうぞ。ちょうど紅葉も綺麗な時期で、天気も良かったので、いい空気を吸えました。秋オススメです。ではでは、いくつか写真を紹介します。

 

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すべり台の後ろから。家族で楽しそうです。

 

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でも、年齢制限(3〜12歳まで)があるので大人はお子さんの付き添いじゃないと乗れません。。。残念

 

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ゴジラからのメッセージもあります 笑

 

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足のディティールも素晴らしいです。叩くとコンコンするので中身は空洞のようです。

 

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ゴジラに夢をたくした方々、協賛会社さん、施工に関わった方々。楽しませて頂いてありがとうございます。

 

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アスレチックも楽しくて、長いすべり台もあります。縄含め全体的に結構年期が入っていました。

 

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上から見るとゴジラも公園に溶け込んでます。

 

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ゴジラは素晴らしくかっこよかったです。

 

ウルトラマンの日 in 杉並公会堂 みうらじゅん×山田五郎

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 photo: ウルトラマンの日 in 杉並公会堂

そして、2016年7月10日は、「ウルトラマン生誕50周年」。それを祝うイベント「ウルトラマンの日 in 杉並公会堂」へ足を運んできました。目的はもちろん、僕が尊敬するみうらじゅんさんに会うため。

 

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杉並公会堂入り口にはウルトラマンのオブジェが!凛々しい。 

 

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中はたくさんのお花やウルトラマンの雑貨コーナーが!

 

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また、会場最下層にはフィギュアなどのレアアイテムがたくさん。

そして奥にはウルトラファミリーが並んでいるではありませんか!

 

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結構お金かかるんだけども、、、もちろん、撮りました!!笑

カメラマンのお姉さんがシャッター押すたびに「はい!ウルトラショット!!」って叫んでました。

 

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アップもかっこいいです!!

 

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この日のスケジュールです。樋口さんも聞きたかった。(画像ブレててすいません。) 

 

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開始前はワクワクしていました。

 

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会場のチケット交換で、ウルトラマンの名場面でできたクリアファイルをもらいました!

ちょーかっこいいです。 

 

[感想]

実際の「みうらじゅん×山田五郎」のトークショーのレポはこちらをどうぞ。

この日の内容は、二人が幼少期にウルトラマンや怪獣作品をどう見てきたか、どんな思い出があるか、作品のタイトルを見て感想を述べることなどが行われました。二人は「むしろウルトラマンは嫌いで、怪獣が大好き」なんですって。怪獣に魅了された二人の話を聞いて、終始二人の奥深さを感じられて、とても満足でした。この日、山田五郎さんは、みうらじゅんさんの勢いに負けている感じはありましたね。みうらさんの記憶の引き出しを引っ張りだす早さと、その話で聞き手をクスッとさせてしまうトーク術は、感心しまくりでした。これも一種のカタルシスかもしれませんね。

 

 

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引用/参考資料 

*本文

1, 映画.com - 映画のことなら映画.com

2, 映画『シン・ゴジラ』公式サイト

3, 『シン・ゴジラ』興収80億円突破 流行語大賞にもノミネート | ORICON STYLE

4, 【図鑑】 ウルトラマンの登場怪獣 一覧 全51キャラクター (特徴、登場回、画像) - NAVER まとめ

5, ゴジラ (1954年の映画) - Wikipedia

6,「シン・ゴジラ」をどう観るか - 赤坂真理等 (河出書房新社/2016年10月)

 

7, 怪獣人生 - 元祖ゴジラ俳優・中島春雄 (洋泉社/2010年7月)

 

8, ストレスに関する世論調査| 中央調査報 | 中央調査社

9, ストレスの人間学 メンタルヘルスとストレス - 平澤伸一 (哲学堂出版/2016年5月)

 

10, 巨神兵東京に現わる - Wikipedia

11, 知っているようで知らない「ネーミング」の謎 - 博学面白倶楽部 (王様文庫/2016年10月) 

 

12, 人は語感で「いい・悪い」を決める - 黒川伊保子 (河出書房新社/2012年5月)

 

13, 怪獣の名はなぜガギグゲゴなのか - 黒川伊保子 (新潮社/2004年7月)

 

*奇怪な物を見に行こう・その他

新宿・歌舞伎町のど真ん中に出現したゴジラを見てきた - GIGAZINE

歴代ゴジラの大きさが分かる図&もしも初代ゴジラが現代の東京に現れたとしたら!3選+1 | COROBUZZ

ウルトラマンの日 in 杉並公会堂

ウルトラマン放送開始50年記念『ウルトラマンの日 in 杉並公会堂』 イベントレポート | 円谷ステーション

 

 

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*related

 

 

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シンプルでいるメリット / 無印良品 × ミニマリスト × C Channel 森川亮 / 地底ダンジョン "首都圏外郭放水路"へ

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持たないという選択

考えないという選択

シンプルでいるという選択

 

 

情報が溢れる現代社会

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 photo: New Technologies in the Classroom: Audiovisuals and Social Media. ERASMUS+ ICT

今やスマートフォンの普及率は国民の70%を超え、10人に7人はスマフォを持つ時代になりました。それに合わせ、1日のメディア総接触時間は393.8分との調査があり、人々はその内の1/4以上の時間をスマフォやタブレットを見て過ごしています。しかし、Web検索、FacebookやTwitterなどのSNS、LINEやMessangerなどの連絡ツール、スマフォゲームなどなど、様々な情報が溢れる状況下で、人々は毎日大量の情報を浴び、その情報をどう処理していけばいいかわからなくなってきています。

そこで人々に次に求められているのは「選択」です。溢れる情報の中で、何を選択し、何を得て、何を発信していくか?がとても重要になってきています。逆を言えば、「何を選ばないか?」という選択が必要になり、それを追い求めると「シンプルであること」という言葉にたどり着きます。

では一体「シンプル」とはどういうことを言うのでしょうか?そして、シンプルであることで、私たちの生活にはどんないいことがもたらされるのでしょうか?

※引用/参考 1

 

無印良品のシンプル思想

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 photo:  http://inkyodanshi21.com/muji/2687/

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 photo: 無印良品[無印良品からのメッセージ]

今や「シンプル」と言えば"無印"と言われるほど、どの人の生活にも馴染んだ「無印良品」の製品たち。「無印良品」の始まりは1980年。元々は西友のプライベートブランドとしてスタートし、1989年から「株式会社良品計画」として独立しました。今や日本だけで312店舗、世界でも、中国/アメリカ/イギリスなど344店舗を構え、日本発の商品は世界のスタンダードになりつつあります。

無印良品とは「しるしの無い良い品」という意味。「水のようでありたい」と述べる無印良品は、その思想を以下のように語ります(一部省略)。

無印良品の未来

無印良品はブランドではありません。無印良品は個性や流行を商品にはせず、商標の人気を価格に反映させません。無印良品は地球規模の消費の未来を見とおす視点から商品を生み出してきました。それは「これがいい」「これでなくてはいけない」というような強い嗜好性を誘う商品づくりではありません。無印良品が目指しているのは「これがいい」ではなく「これでいい」という理性的な満足感をお客さまに持っていただくこと。つまり「が」ではなく「で」なのです。

無印良品の商品の特徴は簡潔であることです。極めて合理的な生産工程から生まれる製品はとてもシンプルですが、これはスタイルとしてのミニマリズムではありません。それは空の器のようなもの。つまり単純であり空白であるからこそ、あらゆる人々の思いを受け入れられる究極の自在性がそこに生まれるのです。省資源、低価格、シンプル、アノニマス(匿名性)、自然志向など、いただく評価は様々ですが、いずれに偏ることなく、しかしそのすべてに向き合って無印良品は存在していたいと思います。

当初はノーデザインを目指しましたが、創造性の省略は優れた製品につながらないことを学びました。最適な素材と製法、そして形を模索しながら、無印良品は「素」を旨とする究極のデザインを目指します。一方で、無印良品は低価格のみを目標にはしません。無駄なプロセスは徹底して省略しますが、豊かな素材や加工技術は吟味して取り入れます。つまり豊かな低コスト、最も賢い低価格帯を実現していきます。

今や無印良品には7,000を超える品目があります。その良質な商品を支えるのが月一回行われる「アドバイザリーボードミーティング」です。金井政明会長を含む幹部社員と、外部のグラフィックデザイナーやインテリアデザイナーなど4名が、社内の事柄や世の中の風潮、出来事について関心や疑問を感じていることを議論し合う。そこで決まった計画が、今後の商品コンセプトに落としこまれます。そして、商品発売前までに、実際の生活の場を調査する"オブザベーション"や"3回のサンプル検討会"、"会長を含む最終ゴーサインの場"が設けられます。そうしてシンプルかつ良質な製品が日々発売されています。

※引用/参考 2〜5 

 

ミニマリストが求めるシンプル生活

https://www.instagram.com/p/BBh4higKIdR/

 photo: monokannのInstagram

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  photo: 独房から、取調室へ佐々木典士 – Minimal&ism

 "ミニマリスト"と呼ばれる人たちがいます。無駄な物を減らし、最小限の物で生活をする人たちです。こういった「持たない生活」は、アメリカの思想家"ヘンリー・デビッド・ソロー"が口にした「Lohas (ロハス) Lifestyle of Health and Sustainability」が始まりと言われています。彼は、ハーバード大学を卒業後、教師や塾の経営者をしていました。しかし、自由に物書きをする時間を求めて、森の中に丸太小屋を作り、自給自足の生活を始めました。彼は、生きるためには一年で6週間働けば一年分の生活資金は稼げること、本当に知るべき重大ニュースなんてめったにないこと、森の中の家では「限りなく簡素」が美しいことなどを語ります。そして、彼はその暮らしの理由をこう述べました。

「生きるために必要な重要なことだけを見つめ、本当に生きるための暮らしがもたらすものから学べることは何かを知るためだった。」

ロハスの思想は日本にも及び、最近では"断捨離"という言葉が浸透してきています。元々ヨーガの行法哲学である「断行・捨行・離行」を応用している"断捨離"は、ものへの執着を「断つ・捨てる・離れる」ことを提唱してます。この哲学を反映したのがミニマリストです。「ぼくたちに、もうモノは必要ない。」で有名なミニマリスト"佐々木典士"氏は、ミニマリストを以下のように定義しています。

ミニマリストとは

・本当に自分に必要なモノがわかっている人

・大事なもののために減らす人

ではなぜ人々はモノが減らせないのでしょうか?佐々木氏は二つの理由をあげます。

一つ目の理由が"慣れ"です。例えば、新しく買った物を初めて使う時は興奮度がMAXですが、2回目、3回目、10回目と続くうちにドンドン"慣れ"を感じ、その慣れは"飽き"に変わります。人の神経ネットワークは、刺激の量ではなく、「刺激の差」を検出します。その差が無くなると慣れや飽きに繋がります。そして、また新しい刺激を求めて新しい物が欲しくなります。しかし、人間は未来の自分の感情を短期的にしか予測できないため、後々訪れる"飽き"を予想できず、また新しい物に手を出します。

二つ目の理由が"見栄"です。人がたくさんの物を持つのは「自分の価値を伝えるため」と考えられます。人は誰しも誰かに認めてもらいたいという"承認欲求"を持っています。そして、その欲求を満たす唯一の方法は、他人から認めてもらうことです。しかし、性格や内面、仕事の能力などを認めてもらうには時間がかかります。そこでもっとも手っ取り早く自分の価値を伝えられるのが「モノ」です。そして、自分の価値を伝える手段をモノに頼り続けると、ドンドン「モノ」が増えていき、その内「モノ=自分自身」になってしまいます。それをどこかで歯止めをかけないと、自分の周りのモノが増えていってしまうのです。

モノを減らすためには、自分にとっての固定概念を捨て、自分に必要なモノを見極めていくことが必要になります。そして、モノを減らしたことで、自分の時間が増え、人と比べることがなくなることで自由になり、自分がやりたいことに集中できるようになっていけます。

※引用/参考 6〜10 

 

ビジネスにおけるシンプルな考え方

 movie: ファッションマガジンサイト『C CHANNEL』のCM「シーチャンネル 女の子の相談相手篇」

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 photo: C Channel株式会社 代表取締役社長 森川亮氏 インタビュー - YouTube

元LINE株式会社社長、現C Channel株式会社代表取締役社長である森川亮氏。LINEの成長は現在もめざましく、国内ユーザーは6,000万人と日本人の2人に1人が使用しているほど、国民のコミュニケーションツールとなっています。そして、その絶好調のLINEの社長の座を手放してまで、2015年4月に設立したC Channel。「"女性の知りたい"を1分で解決」をコンセプトに、料理、ファッション、ヘアメイクなどのHow Toコンテンツを配信する「女性のための動画ファッションマガジン」です。特徴はスマートフォンに合わせた縦型動画を採用していること。C Channelも2016年8月までで月の動画再生数2億5,000万回を超え、現在も成長を続けています。そんな2社の社長を経験した森川氏の経営について、「経営はわかりやすさが大事」と話します。

「あれもこれも大事」と経営をわかりにくいメッセージにすると現場は混乱します。最も大切なことだけを、シンプルにわかりやすく伝える。これが、組織の力を最大限に発揮させるうえで、きわめて重要なのです。 

そんな森川氏の経歴も楽なものではありませんでした。大学を卒業後、日本テレビ放送網に入社。配属は、希望していた音楽番組の制作ではなく、コンピュータシステム部。当然のようにふて腐れます。しかし、「どうせやるなら」と死ぬ気でコンピュータを勉強します。様々な資格を取り、コンピュータに詳しくなった森川氏は、仕事の隙に、社内向けインターネット・プロバイダを立ち上げます。その後、上司にもその成果が認められるようになり、ネット・ビジネス専門部署を作ることになります。そうしてインターネット・ビジネスへの夢が膨らんでいったと言います。そして、SONYへ転職後、LINE株式会社の前身となるハンゲーム・ジャパン株式会社へ入社します。当時資金もブランド力もなく、あるのは「情熱」と「知恵」だけでしたが、仲間とがむしゃらに働き、現在のLINEの成長に繋がります。

そんな森川氏の経営は、「余計なことは全部やめる」ことを提唱しています。例えば、「事業計画を作らないこと」。日本企業は昔から事業計画やビジョンをしっかりと設定し、社員に徹底させようとします。しかし、インターネット業界は変化が早く、数ヶ月後には全く別の世の中になっている可能性があります。だからこそ、計画を立てず、いかに変化に素早く適応するかを重要視します。他にも、「ルールはいらないこと」。例えば、ルールの定番である会議や申請書、決済や上司への日次報告など。しかし、仕事のスピードをいかに早くするかにおいて、それらが本当に必要なのかをしっかりと見極める。そんな無駄を削ることで、メインの仕事をする時間を確保する。しかし、現場が混乱しないようにもしないといけません。そのバランスを見極めて、仕事のスピードを上げていくことを大事にする。そしてとにかく、成功に縛られることなく、常にユーザーのニーズに応えるために、ヒット商品をつくり続けることが会社にとって大切だと、森川氏は言います。

※引用/参考 11〜14

 

シンプルとは自分の必要なことを見極めること 

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  photo: flickr - MaxwellLaw

無印良品にとっての"シンプルとは、「無駄を省き、素を追い求め、余白を残すこと」。ミニマリストにとっての"シンプル"とは、「自分にとって本当に必要なモノを理解し、見栄を張らず、"今"という人生を充実させること」。経営にとっての「シンプル」とは、「考えや思いを複雑化せずに、わかりやすく伝え、今までの固定概念に縛られずユーザーのために活動すること」。

どの"シンプル"にも、「無駄な選択を省き、最小限で最大級の成果を出し、余裕を持って"今"を生きるということ」が語られているのではないかと考えています。

誰もに平等に与えられる"時間"は、誰にとっても有限です。つまり、僕らは世の中の全てを選択することなんてできないということです。残念だけれども、それは諦めないといけません。もし本当に必要なこと以外を省かなければ、日々いろいろなモノに惑わされて、どれもが中途半端になってしまいます。だからこそシンプルを追い求めるのです。全部ではなく何かだけを選び、それ以外は選択しない。そうすればきっと、自分のやっていることにやりがいも自由も、幸せも思いやりも、クオリティだって上がっていくはず。

でも注意してほしいのは、「なんでも捨てればいい、なんでも削ればいい」ということがシンプルではないということです。シンプルとは、自分の必要だと思うモノを見極める目を持ち、それ以外は持たないということです。

さぁ、シンプルでいきましょう。

 

 

 

 

 

 

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奇怪な物を見に行こう:首都圏外郭放水路

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構造物においても、「シンプル 」というのはすごく重要だと思っています。むしろ、構造物の設計において、「機能性×コスト」というのがものすごく対立することであり、機能を担保しつつ、材料を最小限にしていかにコストを抑えるかというのが課題だからです。

だからこそ、それらを追い求めると自然とデザインもシンプルになるものです。

今年の冬先に行った埼玉県春日部市にある「首都圏外郭放水路」も、そんなシンプルを突き詰めたデザインと機能性を持っていました。今回は、そんな首都圏外郭放水路についてと、予約の仕方なんかをお伝えできればと思っています。

 

 関東地底ダンジョン"首都圏外郭放水路"とは

 movie: 首都圏外郭放水路【埼玉県公式観光動画】 - YouTube

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 photo: 首都圏外郭放水路のメカニズム(見学待合所に設置)

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 photo: 概要 | 施設紹介 | 首都圏外郭放水路

埼玉県春日部市・首都圏外郭放水路は、東京・神奈川・千葉・埼玉を繋ぐ国道16号線の地下50メートルに建設された世界最大級の地下放水路です。

"放水路"というのは、雨の降水によって河川が洪水しないように、川を分岐させる道を河川の途中に掘って、海や他の河川などに放流するための水路です。それが地下にあるので地下放水路といいます。

首都圏外郭放水路の場合は、中川や大落古利根川など、関東を流れる川の氾濫を防ぐために、地下の巨大空間に水を貯めます。その水を江戸川に流すことによって、洪水から私達の生活を守ってくれているのです。

写真のように、それぞれの川の地下には5つの貯水庫"巨大立坑"があります。立坑に貯水された水は、"調圧水槽"と呼ばれる重量500トンの柱が59本そびえる巨大空間に貯められます(写真内の④の部分)。そしてその水は、強力ポンプによって江戸川へ排水されていくのです。

この調圧水槽が本当にすごいんです!!広さ78m×177m、高さ18mという圧倒的空間で、その広さはサッカーグラウンドに匹敵するんだとか。実際に、調圧水槽の上には、サッカーグラウンドが設置されていました。

 

ワクワクな見学ツアー 

それでは、見学ツアーがどのような流れで進んでいくかご紹介します。最後には予約方法もお伝えしますね。

僕は今回複数人で行ったので、車で現地まで行きました。他に東武野田線"南桜井駅"からタクシーや徒歩などでもいけます。

 

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 庄和高校とコンビニ(ローソン)がある信号が目印です。

 

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 ローソンを過ぎると建物が徐々に見えてきました!気持ちが高ぶります。

 

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 案内板もしっかりありました。左に曲がりましょう。

 

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 少しくねくねした道を過ぎると着きました!会場である「庄和排水機場/龍Q館」。

 前には駐車場もあります(無料です)。

 

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 ミュージアム"龍Q館"の2階が会場です。

 

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 階段の途中にこんな凧もありました。主張している。

 

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 まず、2階の受付で予約者・同伴者共に名前を書きます。そして、参加証がもらえます。

 

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 受付後ろには監視操作室が見えます。放水路のブレインがここに。かっこよい。

 

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 時間になるとまずは首都圏外郭放水路の概要説明から始まります。

 

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 さすがスタッフさんも慣れています。説明がとてもわかりやすいです。

 

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 続いて、模型を使って、水の動きの解説です。動画でもどうぞ。

 

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 いよいよ調圧水槽に移動です。調圧水槽までは建物を出て、サッカーコートの前の道を通ります。

 

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 このサッカーコートの下に調圧水槽があるんですね〜。 

 

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 後ほどわかりますが、左の柵で覆われているところも関係あったりします。

 

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 さぁ、いよいよ地下へ潜ります。少し多めの階段なので、スニーカーでくることをオススメします。

 ちなみに、階段を降りる間は写真撮影禁止とのことです。危ないですからね。

 

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 入り口のトビラには従業員さんの注意書きが。中に人が取り残されたら大変だ。

 

いよいよ地下空間へ

それでは立て続けに地下の写真をどうぞ

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 ここでPVなんかも撮られてるみたいです。

 

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 柱には水位の規定ラインが書かれています。

 

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 天井もコンクリート。これは、地下水によるアップリフト(揚圧力)により調圧水槽が浮くのを抑えるために、荷重が必要だからだそうです。天井に載せている土砂や梁のコンクリート、柱や底盤コンクリートが荷重の役割を果たしています。

 

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 柱の反対側には大きな縦空間が。これが第1立坑です。先ほどの柵で覆われていた部分ですね。

 ちなみに第1立坑の下部分は見ることができません。残念。

 

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 す、すいません。階段で写真を撮ってしまいました。緑が本当に美しい。

 

シンプルを追い求めると、人の生活にも役に立つし、人の心も打つことができる。

そんな素晴らしさを感じらました。

 

 

*-------------------------------------

最後に予約方法

先に、注意事項です!!

monokannからの注意事項)

・予約は以下のサイトを参考にしてください。

 見学会の概要 | 見学会 | 首都圏外郭放水路

・個人見学と団体見学(26名〜50名)を選べます。

・見学は【平日のみ】となりますのでご注意ください。

・予約は、インターネットか電話ですることができます。

・インターネットの予約では、一回に6人まで予約できます。

・予約開始日は28日前(4週間前)の0:00から可能です。ですが、すごく人気で開始早々に予約が埋まってしまう傾向にありますので、満を持して予約に臨んでください。

 

 

[インターネット予約のやり方]

 ちょっと雑ですが、以下を参考にしてみてください。

 「ココ」を押していくと予約できます。

 

①サイトトップページ

 http://www.ktr.mlit.go.jp/edogawa/gaikaku/index.html

f:id:monokann:20161103233828j:plain

 

② インターネット予約を選択

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③ 注意事項をよく読んで、同意する

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④ 「申込をはじめる」を選択

 0:00から予約する際は、このページから開始することをオススメします。

f:id:monokann:20161103233854j:plain

 

⑤ 新しい予約は28日後からなので次の月に飛びます。(僕は2016年2月に行きました。)

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⑥ 希望の日時を選択します。

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⑦ 必要事項を記入し、予約ボタンを押します。これで完成です。お疲れさまでした。

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どの人でも感動できる最高の場所ですので、ご家族・恋人・友人、もちろん1人でも、ぜひ楽しんで行かれてください。車で行かれる際は、安全運転で。僕もまた行きたい!!

 

[アクセス] 

 以下を参考に。

 アクセスマップ | 龍Q館 | 首都圏外郭放水路

 Google マップ

 

 

[首都圏外郭放水路のスペック]

対象地区:江戸川と中川、大落古利根川にはさまれた低平地

地先名:埼玉県春日部市上金崎地先~小渕地先 延長:約6.3キロメートル 対象河川:中川、倉松川、大落古利根川 等

送水方式:地下水路方式

排水先河川:一級河川江戸川 春日部市上金崎地先(右岸46.5キロメートル付近)

設置深度:地下約50メートル

断面形状:内径約10メートル

工期:平成4年度~平成18年度

流入河川:第18号水路 4.7立方メートル/秒、中川 25立方メートル/秒、倉松川 100立方メートル/秒、幸松川 6.2立方メートル/秒、大落古利根川 85立方メートル/秒、~江戸川排水量 200立方メートル/秒、注)全体計画 流入時差を考慮

 

 

 

 

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*参考資料

1. 博報堂DYメディアパートナーズ メディア環境研究所「メディア定点調査2016」時系列分析

2. 無印良品のデザイン - 日経デザイン(日経BP社/2015年5月)

3. What is MUJI

4. 企業情報 | 株式会社 良品計画

5. 無印良品[無印良品からのメッセージ]

6. Minimal&ism

7. モノやお金がなくても豊かに暮らせる - ヘンリー・D・ソロー(興陽館/2015年12月)

8. ぼくたちに、もうモノは必要ない。- 断捨離からミニマリストへ - 佐々木典士(ワニブックス/2015年6月)

9. 佐藤可士和の超整理術 - 佐藤可士和(日本経済新聞出版社/2011年4月)

10. もたない男 - 中崎テツヤ(新潮社/2015年5月)

11. シンプルに考える - 森川亮(ダイアモンド社/2015年5月)

12. C Channel株式会社|女子のための動画メディア

13. LINE Corporation

14. コミュニケーションアプリ LINE(ライン) 

 

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*related

 

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*promotion

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宝くじは当たるのか? / 当選確率 × くじの歴史 × もし宝くじが当たったら / 南蔵院・釈迦涅槃像へ

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300円

買うか?買わないか?

宝くじ

 

 

宝くじ、買いますか?買いませんか?

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 photo: 宝くじ公式サイト

「1等当たれば5億円!!前後賞合わせて7億円!!」なんてキャッチフレーズが年中聞こえ、サマージャンボ / ドリームジャンボ / 年末ジャンボと言った「宝くじ」がどこの街でも買えるようになりました。他にも、ロト6、ナンバーズ、スクラッチと言った、ただ券を買うだけでなく、数字を当てたり、その場で削ったりしながら自分の運を試せるものも販売されています。

「もし5億円当たったらみんなどうする?」「ん〜おれはとりあえず仕事辞めて世界一周するかな。」「おれはいきなり辞めると怪しいから、しばらくは何事もなく働くよ。でも、当たると変な宗教とか、顔も忘れた親戚がいきなり来たりするとかいうよね。」「そうなの?こわっ!じゃあ、お前は?」「ん〜家買って、車買って、親に1000万ぐらい渡して、、えっと」「それまだ1億円も使えてないんじゃない?(笑)」「たしかに、はは(笑)。もし当たったらだけどね。」

しかし、当たりません。なかなか当たりません。大金が当たっている人にも会ったことがありません。いったい、なぜここまで当たらないのでしょうか?何か騙されているのでしょうか?そして、もし仮に宝くじの大金が当たったら人はどうなってしまうのでしょうか?今回は宝くじの中でも主にジャンボ宝くじ(券を買う方式)について考えていきます。これを読んで、「あなたは宝くじを、買いますか?買いませんか?」

※引用/参考 1〜3

 

宝くじの期待値は150円!? 

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 photo: 情報便☆ろくでなし超特急!

警視庁によれば、平成27年の交通事故での死亡者数は4,111人でした。それを人口比で割ると約3万人に1人が交通事故で亡くなっている計算になります。一方で、1等の値段が5億円から7億円に引き上げられた"2015年の年末ジャンボ宝くじ"は、1回で27ユニット(5億4000万枚)が発行され、1等は全部で27本。つまり、1等が当たる確率は、"2000万分の1"ということになり、交通事故で死亡する600分の1の確率になります。もっと現実的に言えば、宝くじを買って1等が当たる確率は、仮に0歳から100歳まで毎回100枚(3万円)購入したとしても、99.9%以上当たることはないということです。

 

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 photo: 宝くじより投資の方がリターンが大きいのはなぜか

また、高校生の数学で習った"期待値(1枚辺りいくらの当選金が期待できるか?)"を各当選額毎に計算すると、上記の表のようになります。宝くじは一枚買って、期待値"150円(50%)"。とても低く、損のようです。

ちなみに、昔は宝くじの1等の賞金は1億円や3億円など今よりも低い値でした。それが5億円や7億円など高騰した理由にスポーツくじ(BIG)があるようです。開始当初、全く売上が伸びなかったスポーツくじはキャリーオーバー制度を加え、当選金額を引き上げました。価格の高い方に人が集まるのは自然なこと。スポーツくじによって売上が頭打ちになってきたジャンボ宝くじは、価格を上げることにしたようです。どうやらここにも政治的な問題があり、宝くじは総務省所管の財団法人"日本宝くじ協会"が運営し、スポーツくじは文部科学省の外郭団体"日本スポーツ振興センター"が運営しています。利権争いの結果、価格が上がっているようです。

※引用/参考 3〜7

 

いつの時代も人は"くじ"に期待してきた

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 photo: 古代ギリシアのくじ"クレロテリオン"の一部 (Overview: The Museum)

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 photo: くじ札の挿入例 (Birth of Democracy: The Jury)

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 photo: クレロテリオンの復元図 (Birth of Democracy: The Jury)

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 photo: 簡単な方法のクレロテリオン (参考資料9 "世界の歴史4 ギリシア" p.227)

では、そもそも"宝くじ"はどのようにして始まったのでしょうか?

宝くじの歴史は古く、紀元前にまで遡ります。古代エジプト人や古代スカンディナヴィア人はサイコロを使いくじをし、スコットランドのピクト人は白と黒のパン生地を壺の中に入れくじをしていたという形跡が残っています。また、古代ギリシアやローマでは、神のお告げを伝える"神託"の場でもくじが用いられていました。

興味深いのは、紀元前500年頃の古代ギリシアです。当時ギリシアでは、「くじによる民主主義」の方針がありました。政治家などの選出にくじを用いていたのです。目的は、不正や汚職、政策の偏向などを防ぐためでした。例えば、評議会議長や役人(軍の司令官や建築技師など)、神殿の修理工や監査人、死刑執行人など、とにかく様々な役職がくじにより選出されました。その選出には、「クレロテリオン」と呼ばれる抽選機が用いられていました。

クレロテリオンとは・・・

作りは真ん中の部分に横長のスロット(穴)があり、端には上から下まで繋がった漏斗のパイプが伸びています。サイズは靴箱から墓碑くらいの物まであり、スロットの数は12個や550個など様々でした。

人々は事前に配られたくじ札をスロットに差し込んでおきます。次に、抽選で必要な分の白(アタリ)と黒(ハズレ)の玉をパイプの中にごちゃまぜに入れます。

抽選機のパイプの下部分には、回転させると玉が一つずつ出るクランクが付いています。抽選時は一回ずつそのクランクを回していきます。そして、もし一つ目の玉が白であれば、スロット部分の一番上の段の横一列にくじ札を挿していた人がアタリとなります。一方で、もし黒であれば横一列みなハズレとなります。その要領で、すべてのアタリ枠が埋まるまで、玉を出し、上から順々にアタリハズレを確かめていきます。一方、簡単な物は、玉に事前に名前や数字を書いておいて、玉の出た順に順番を決める方法もありました。 

 

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 photo: ローマの初代皇帝アウグストゥス (Augustus of Primaporta | Early empire | Khan Academy)

こういったくじが広がる中、ローマの初代皇帝アウグストゥスはローマ再建のためくじを使って資金を調達しました。また自身は運や迷信を心底信じる人間で、とにかくくじの結果を信じていました。行きすぎた点では、命乞いをする父子の命をくじで決め、戦争の反逆者の処刑もくじで決めたと言います。また、アウグストゥスは祝祭や晩餐会で高価な賞品(硬貨や金銀の食器など)や無駄な物(ヤギの毛や海綿など)を用意し、くじを行いもしました。これが商品を当てる現在の宝くじの始まりとも考えられています。この収益は、公共の建築物などの維持管理費や公共事業費など、ローマ再建のために使用されました。その後の皇帝達も同じように宝くじを行いましたが、それらの宝くじはローマ数字で発行したくじが用いられていました。

そんな中、9世紀、数学者で天文学者のアラブ人である"ムハンマド・イブン=ムーサー・アル=フワーリズミー"が"ゼロの概念"を提唱しました。現在のコンピューター操作の基礎となる整数の二進法が生まれたことで、くじ券発行が無限に行えるようになり、宝くじは現在の発展に至っています。

※引用/参考 8~16

 

世に役立つ宝くじと泥沼にハマる当選者 

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 photo: 収益金の使い道と社会貢献広報 | 宝くじ公式サイト

現在、世界75カ国で140種類以上の国営宝くじが行われており、世界の宝くじ市場は年間2,000億ドル超の売上があると言われています。また、例えばアメリカでは、2億以上の人が宝くじを購入し、その収益のおかげで、38の州で2万5000千人以上の雇用を生み出しています。また、ニューヨーク州やカリフォルニア州では子供達の教育資金に、ペンシルヴァニア州では高齢者の健康管理に使用されています。

イギリスでも、成人の三人に二人は国営の宝くじを定期的に購入し、220億ポンド(3兆円弱)の売上は、2012年のロンドン・オリンピックなど社会貢献に使用されています。また、オーストラリアではオペラハウスの建設費に、フランスでは癌研究に、オランダでは自然災害の復興にも使用されてきました。

そして日本でも、その収益金の使い道が宝くじ公式サイトに掲載されています。それによると、平成26年、販売実績額9,007億円の内、46.7%は当選金、12.3%は経費、そして、残りの41.0%(3,690億円)は公共事業や社会貢献広報費などに使用されていると言います。

 

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 photo: 参考資料 カイジ「命より重い!」お金の話

そんな社会に役立っている宝くじですが、経済学では宝くじを「愚か者に課せられた税金」と呼んでいます。宝くじは、消費税や所得税などと違って国民全員に課税されません。宝くじの確立を正しく計算できれば、無駄な「税金」を収めることはないということです。

また、宝くじが当たればその後の人生は順風満帆だと考えがちですが、実際は元の生活にも戻れず、破産や自殺に追い込まれる例もあると言います。その原因を経済学では「限界効用逓減(ていげん)の法則」と言います。人の満足感は一番初めがMAX値で、あとはどんどん満足感は下がっていきます。例えば、福本伸行先生作のカイジでは、カイジは安月給の地下空間で耐えかねてビールをたらふく飲んで、後に大きな後悔をします。

そうした「もっと、もっと」が続くと、人はどこまでお金があっても欲を満たそうと上を望み続けます。そして、挙句の果てには借金をしたり、惨めな生活にハマってしまいます。これは、高額なことをすればするほど、「1円の価値が軽くなっていること」を意味しています。

※引用/参考 8, 17, 18

 

改めて質問です

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 photo: The top 10 biggest EuroMillions jackpot winners ever | UK | News | Daily Express

改めて、あなたは宝くじを買うでしょうか?買わないでしょうか?

悲しいところを言えば、期待値150円であることや、当たってももしかしたら人生どん底になるかもしれないということ。嬉しいところを言えば、当たり前に億万長者になれるかもしれないし、自主的に宝くじを買ったお金が世のため人のためになっていること。

僕自身は、おそらく何かのイベントがないと買わないんじゃないかと思います。それはそもそも"無駄"って感覚が拭えないからですし、大金を稼ぐってなったら運よりも頭を使った方が近道なように感じるからです。しかし、かといって宝くじをマイナスに捉えているかと言われるとそうでもありません。その一つに、例えば家族や友達と宝くじを買って、「当たったらどうする?」みたいな"もしかしたら"な話をしている時間はすごく尊く楽しいからです。何かその瞬間を同じ目線で共有しているようで、すごく大切な時間だと思っています。それに、根本的に人間はどこまでいっても完全に満たされないのであれば、"おあずけ"ぐらいがちょうどいいのかもしれません。

それに、もし今後あなたが宝くじに当たってもきっと大丈夫です。宝くじの良い面も悪い面も知ったあなたはきっと大金に惑わされず冷静に◯◯億円と向き合えるはずです。親孝行してもいい、土地を買ってもいい、もちろん何も変わらない生活をしてもいい。すべてはあなた次第です。。。おっと、また「もし宝くじが当たったら?」なんて妄想にかられそうになってしまいました。いけない、いけない。

 

けれど、これだけは言っておきましょう。

「宝くじ、買わなきゃ当たらないよ。」

 

最後に、イギリスの政治記者"ゲイリー・ヒックス氏"の言葉で。

宝くじは今後どんな運命をたどるのか、それはわからない。スキャンダルと利益、聖人と罪人、深いジレンマに悩む各国政府ーーーさまざまな問題を抱えつつも、宝くじはこれからも存続していくだろう。それもそのはず、宝くじほど人の心を惹きつけてやまないものはないのだから。勝敗はすべて運まかせ。真に民主的な方法で勝者と敗者が決まる宝くじの絶対的な公平さは、万物が偶然の上に成り立っているという事実を示している。まさに「運命のブックメーカー(賭屋)」なのである。

 

あなたの人生に幸あれ。

 

 

 

 

 

*-------------------------------------

奇怪な物を見に行こう: 南蔵院・釈迦涅槃像

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当たるのが難しい宝くじ。しかし、そんな宝くじを当てた住職さんが福岡県にいらっしゃいます。糟屋郡篠栗町にある「南蔵院」。近隣の方に話を聞くと、南蔵院の住職さんは余った宝くじを買い取ったらその中から1等+前後賞が当たり、その後もナンバーズに2回当選したりと相当な運の持ち主だそうです。南蔵院には、その運に肖ろうと年間120万人の方々がお参りにいらっしゃいます。

 

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そんな南蔵院で特に有名なのが巨大大仏「釈迦涅槃像(しゃかねはんぞう)」です。

高さ11m,

横41m,

重さ300t、という規格外のスケールで、青銅製の大仏では世界一。

 

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気持ちよさそうに眠っているように見えたり、見下されているように見えたり、心境によって表情が変わって見えます。 南蔵院では、「大黒天様のお札」が買え、これを買うと宝くじが当たるとか当たらないとか。しかし、涅槃像の顔を見ていると、「お金にがっつかず、緩やかな気持ちでいないと、宝くじなんて当たらないよ。」と言われているようでした。

 

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背中側も歩けちゃいます。

 

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足には「仏足」と呼ばれる模様が描かれています。模様には、お釈迦様の尊い教えと慈悲の心が込められているそうです。

 

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頭も手も目の前で見ても本当に大きい。

 

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涅槃像の前にはかわいい和尚さんが

  

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猿じゃなくて、「見カエル聞カエル言カエル」の像もあります 笑

 

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涅槃像とは違う方面には、高さ11メートルの不動明王像が。お顔が険しい。

 

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不動明王に見下ろされながら、お百度参りもできます。

 

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不思議に長いトンネルもあります。

 

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トンネルの両サイドには二人の坊主さんと祈願した方々の名前札がありました。

 

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トンネルの真ん中には"七福神人形"が!これはご利益ありそう。

 

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人形師さんたちの情報も。

 

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福徳をいただけたのでしょうか?いただけているといいな。

 

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別の所には、祈願された方々の名前が付いたお釈迦様が溢れる部屋もあります。

 

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南蔵院本堂の横には、「おかかえ地蔵様」なる物も。僕はもう少しの努力でした。

言葉も刺さります。

いい加減だと言訳がでる

中途半端だと愚痴がでる

一生懸命だと知恵がでる

 

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僕がここへ来て本当に驚いたのは、どんな小さな石像の前にも賽銭用のザルが置かれていたことでした。ここまで「お金」を前面に出していると、逆に清々しくて悪い気がしませんでしたね。南蔵院では、一円玉を持ってきて、一つ一つに賽銭される方が多いんだとか。1円回りってやつですかね。姉妹の子達が楽しそうに小銭を投げ入れていました。

 

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こっちにもザル。

 

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こっちにもザル。

 

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こっちもザル 笑。同じ顔がいるようで、どれも微妙に違うんですよね。

 

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南蔵院へお越しの際は、JR篠栗線 城戸南蔵院前駅からどうぞ。

 

[南蔵院 アクセス]

場所:〒811-2405 糟屋郡篠栗町篠栗1035

map:Google マップ

電車:JR篠栗線 城戸南蔵院前駅

 

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吉田屋さんのおうどんは絶品でした。本当に美味しいです。また行きたい。

スタッフの女性もすごく穏やかで優しかったです。癒されました。

 

[おススメの食事]

店名:吉田屋 (食べログ)

場所:福岡県糟屋郡篠栗町篠栗966

map:Google マップ

 

 

 

涅槃像は自由の女神と同じ身長みたいです。

また、進撃の超大型巨人が60mなので、こんなやつらが彷徨いている世界は恐怖でしかありませんね。

 

 

 

 

 

 

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*参考資料

1. 宝くじ公式サイト

2. 宝くじで40億円当たったんだけど異世界に移住する 1 - すずの木ろく/黒獅子(双葉社/2014年8月)

3. なぜ人は宝くじを買うのだろう 確率にひそむロマン - 岸野正剛(化学同人/2007年1月)

4. 平成27年における交通事故の発生状況|警察庁 

5. 臆病者のための億万長者入門 - 橘玲(文春新書/2014年5月)

6. 宝くじより投資の方がリターンが大きいのはなぜか

7. toto公式サイト-ネットでも買える高額当せんくじBIG。目指せ億万長者!目指せ最高6億円!

8. Fate's Bookie ~ How The Lottery Shaped The World 宝くじの文化史 ~ ギャンブルが変えた世界史 - Gary Hicks ゲイリー・ヒックス Tomoko Takahashi 高橋知子(原書房/2011年11月)

9. 世界の歴史 4 ギリシア - 村田数之亮/衣笠茂(河出書房新社/1989年8月)

10. 関本洋司のブログ

11. 1.世界遺産にみる地中海域の古代・中世社会 - 9. アテナイ、「アクロポリスを巡る遺構」

12. NAMs出版プロジェクト: くじ引き関連資料 +ヴェネツィアのくじ引き

13. Agora Image 2010.01.0107 (83-266) - ASCSA.net

14. Birth of Democracy: The Jury

15. Overview: The Museum

16. 2002年NAM代表くじ引き選出

17. カイジ「命より重い!」お金の話 - 木暮太一(サンマーク出版/2013年4月)

18. 収益金の使い道と社会貢献広報 | 宝くじ公式サイト

 

*奇怪な物を見に行こう 引用/参考資料

世界一の釈迦涅槃像!福岡・篠栗町の「南蔵院」はご利益スポット満載 | 福岡県 | トラベルjp<たびねす>

南蔵院 | 福岡観光地検索 | 福岡県観光情報 クロスロードふくおか

南蔵院|心のふるさと篠栗 篠栗町観光協会

【その日】から読む本 - Wikipedia

・吉田屋のスタッフの方(地元の方)

 

 

*related

 

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エレベーターが象徴する物とは? / オーチス × エレベスト × 宇宙エレベーター / 志免炭鉱・志免鉱業所竪坑櫓

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3階でーす

トビラが閉まりまーす

上へ参りまーす

 

 

エレベーターと送る生活

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 photo: pixaboy - coombesy

エレベーター。垂直に空間を移動できる乗り物。知らない他人通しが小さな空間に一緒にいる乗り物。車や飛行機が苦手な人でも利用する乗り物。

今や、オフィスビルやデパートなどの高層ビルや、駅・空港、戸建てのお家など、2階以上の建物であれば付けられているエレベーター。人々は、6階へ行くため、30階へ行くため、はたまた1階へ降りるためエレベーターを利用しています。

しかし、そんなエレベーターも昔からあったわけではありません。階段が主だった時代から、エレベーターができたことで人々は空間を縦に伸ばしてきました。では、そんなエレベーターとは、そもそも人間にとって何を象徴しているのでしょうか?

 

安心が加わった人乗りエレベーター

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  photo: Ruiz Healy Times

エレベーターの歴史は古く、始まりは紀元前236年頃。古代ギリシアの数学者アルキメデスが「滑車にロープを縛り付け、人力で引っ張り、人や物を持ち上げる」というエレベーターの原型を開発しました。しかし、その後も帝室や記念塔、紡績工場や鉱山など、様々な場所でエレベーターが設置されていきましたが、エレベーターには重要な欠点がありました。

そんな中、1954年の5月から10月にかけて、ニューヨークの機械技師"イライシャ・グレイヴス・オーチス"がニューヨークの「万国博覧会」にて観衆を驚かす公開実験を行いました。彼は、ガイドレールの付いた15メートルの台を設置し、公衆の面前でその上に立ったまま台を上昇させ、上まで達するとロープを切断したのです。しかし、台は落下する代わりに数センチだけ沈み込み停止しました。彼は言いました。

オーチス「まったく安全です、皆さん、まったく安全なのです。」

彼は自分が開発した「爪状自動安全装置」を人々に説明し、認知を広げたかったのです。それまで多くのエレベーターが存在しましたが、ロープが切れると一番下まで落下するという深刻な欠点がありました。オーチスが開発した安全装置により、エレベーターの安全性が認知され、広く普及していくことになります。(後に、オーチスの息子チャールズとノートンが「オーチス・エレベーター社」を設立し、現在でも世界No.1エレベーターメーカーとして君臨しています。)

※引用/参考 1,2,3,4

 

デザインや用途を追求したエレベーター

 movie: hennsyuutyou - 中野坂上サンブライトビル エレベーターの風景

オーチスの公開実験以降、建物の高層化の流れもあり、上に行く通路のメインが階段からエレベーターへと移り変わっていきます。また、それにより、今まで階段では曖昧だった"階数"という空間を分ける概念が定着し、「建物全体は、まずそれぞれの階数ごとに一つの大きな空間とする」ことが普通となっていきました。

2016年時点で、世界最大の超高層ビルはドバイの"ブルジュ・ハリファ"で、828メートル・162階もあります。エレベーターのおかげで、建物は上へと高さを増していき、日本を含め全世界で様々なエレベーターが存在しています。

日本で初めてのエレベーター鑑賞ガイド"エレベスト"を出版した梅田カズヒコさんは、著書の中で様々な日本のエレベーターを紹介しています。例えば、

・東京の中心部 新宿にそびえ立ち、格子模様の扉に東京という街をイメージさせる「東京都庁のエレベーター」

・アメリカの建築家ヴォーリズによる教会のような神聖さを感じさせる「大阪・大丸心斎橋店のエレベーター」

・山を切り開き、住宅と駅を結ぶ住民の駆け足になっている日本一の斜行エレベーター「山梨県上野原市の"コモアブリッジ"」

中でも、梅田さんのNo.1が、

・吹き抜けの空間の中に、壁に貼りつくように動く素晴らしさの塊「中野坂上/サンブライトビルのエレベーター」

など、今ではエレベーターとしての機能だけでなく、内装や外装などのデザイン性、階数や動き方、土地柄や用途など、一つ一つのエレベーターに個性が含まれています。

※引用/参考 2,5,6

 

地球と宇宙の架け橋 "宇宙エレベーター"

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 photo: JSEA 一般社団法人 宇宙エレベーター協会

そして未来には、地球と宇宙を結ぶ"宇宙エレベーター"の研究開発が進んでいます。

宇宙エレベーターは、2012年に日本大手五大ゼネコンの一つ"大林組"が発行している広報誌『季刊大林 53号 (特集:タワー)』 にて、建設構想が発表され話題を呼びました。発行理由は、「東京スカイツリーを超える究極のタワー」ついて考えたからだそうです。

宇宙エレベーターの仕組みは、エレベーターというより鉄道に似ています。通常のエレベーターはケーブルを動かすことで動いていますが、宇宙エレベーターは線路のようにケーブルに沿ってクライマー(乗る部分)が動きます。

建設方法は次のように。人工衛星は地球の重力と地球が回る遠心力が調度釣り合い周回しています。特に、赤道上の人工衛星は地球の自転と同じ周期で回っていて、地球から見て止まっているように見えることから「静止衛星」と呼び、軌道部分を「静止軌道」と呼びます。その静止軌道部分(高度3万6000km)に静止軌道ステーションと呼ばれる駅を作り、そこから重力と遠心力が釣り合うようにケーブルを伸ばしていきます。そして、地球部分には海上ステーションを、宇宙部分(高度9万6000km)には重り部分を作り、釣り合わせることで完成という構想です。

ケーブルだけで相当な重量が掛かるため、ケーブルの材質に課題がありましたが、1991年に軽くて強い「カーボンナノチューブ」という素材が発見され、一番の候補として現在も研究が続いています。大林組の目標完成日は2050年。宇宙エレベーターが完成すれば、ロケットに比べて格安(100万円?)で宇宙旅行ができること、宇宙開発が今より低予算で進められること、宇宙太陽光発電でエネルギーを地球に供給できることなど、嬉しい未来が待っています。

しかし、まだ様々な課題があります。例えば、何兆円もの建設予算、利益を出し続けるビジネスモデル、カーボンナノチューブの研究、海上ターミナルや静止軌道ステーションの建設方法、クライマーを移動させるためのエネルギーの捻出と発散方法、スペースデブリ(人工衛星の残骸)の対処法、宇宙へ行くための法律の構築、地球でのテロ対策などなどです。これだけを決め、実施するだけでも2050年は優に超えてしまうのではないかと考えられます。

※引用/参考 7.8.9.10

 

「発展」を象徴するエレベーター

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 photo: flickr - rwinterpacht 

エレベーターは紀元前から始まり、皇室や産業などに利用され、オーチスの爪状自動安全装置により、多くの高いビルへと広がっていきました。そして、現在では様々な用途やデザインのエレベーターが存在し、次に人々は宇宙へエレベーターを伸ばそうとしています。

これらが物語るように「エレベーター」という物は、いつの世も「発展」を象徴する存在なのではないかと考えています。上昇思考、自己の成長、楽しみの広がりなど、空間を広く使えていくことは、次のステージへ行けるんだと思います。自分の生活に当てはめてみても、勉強でも仕事でも周りがよく見えてくると次の問題がわかってきたりするものです。

ほとんどの方がエレベーターを利用したことがあると思います。けれど、エレベーターをよく見た経験は少ないのではないでしょうか?エレベストにならずとも、エレベーターに乗っている時に、ふと外装や内装、ボタンのデザインや配列、広さや景色、動き方や止まり方などに注目してみるといつもの日常が少し広く見えるかもしれません。そして、その光景がいつか宇宙の星々に変わることを期待しています。

楽しいエレベーターライフを。

 

 

 

 

 

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奇怪な物を見に行こう: 志免鉱業所竪坑櫓

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 photo: 昭和30年頃 国鉄時代の志免炭鉱風景

その昔、福岡県 糟屋(かすや)郡 志免(しめ)町には、唯一の国営炭鉱がありました。それが「志免炭鉱」または「志免鉱業所」です。

志免町が栄え始めたのは明治22年(1889年)以降に海軍炭鉱所ができてからでした。志免炭鉱には多い時で6,000人もの従業員(坑夫)がいて、石炭の産炭量は年間50万トンにも及びました。その石炭は、戦前は軍艦のため、戦後は蒸気機関車のために活用されました。エネルギー源が石炭から石油に代わったことによって、昭和39年(1964年)に全坑閉山となり75年の幕を閉じました。

 

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 photo: 石炭層の略図(竪坑櫓から地下へ伸びている

志免炭鉱で象徴的なのが、志免鉱業所竪坑櫓(しめこうぎょうしょ たてこうやぐら)と呼ばれる大きなタワーです。建設完成は1943年、建設費は当時の価格で200万円(現在の物価で40億円!?)という費用がかかっています。地上から見える部分では、高さ53.6m、長辺15.3m、短辺12.25mですが、実は地下が430mまで伸びています。採掘した石炭と働く坑夫を上げ下げするエレベーターのような役割として活躍していました。

 

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志免鉱業所竪坑櫓の形は、"ワインディングタワー型 (winding=巻き上げる)"と呼ばれ、櫓の上には、引き上げるための巻き上げ機の動力が入っています。こういった櫓が残存しているのは珍しく、全世界で"中国・撫順(ぶじゅん)市の龍鳳炭鉱"、"ベルギー・リエージュのアザール炭鉱"、そして志免炭鉱の3箇所とも言われています。

元々は、1936年に龍鳳炭鉱で先に櫓が完成し、志免の櫓を建設する関係者は龍鳳炭鉱に視察に行きました。彼らは、龍鳳炭鉱がある中国とは違い、日本では地震があることを考慮し、志免の櫓を地震に強い櫓として建設しました。

現在は、その歴史的な価値が認められ、2007年7月31日に国の登録有形文化財に登録されました。(解体するか残存させるかで相当もめた経緯があるそうです。)

※引用/参考 最終記載

 

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少し前までは、櫓の下に入って見ることもできましたが、老朽化によりコンクリート片が落ちていることが見つかったことで、柵で周りを囲むようになりました。

志免町出身の僕の友人から聞いたのですが、地元の子供たちにとってはお馴染みの建造物だそうで、小学生の時はよく櫓の絵を描きに行っていたそうです。地元民にとって普通の光景にこそ奇怪は潜んでいるものです(笑)。

この志免鉱業所竪坑櫓が稼働していた当時は日本が前向きで発展の目を輝かせていたのではないでしょうか。エネルギー源が石油に変わったことで活動が停止してしまったことは残念ですが、当時必死に働いた方々がいたと思うと感慨深い気持ちになりましたし、目の前の公園で子供達が無邪気に遊んでいる姿を見て、微笑ましい気持ちになるにもなりました。志免鉱業所竪坑櫓のように昔の良い部分は残しつつ、宇宙エレベーターのように希望を持って発展していく。そんな世の中であってほしいと願っています。

 

アクセス

住所:福岡県糟屋郡志免町大字志免495番地3

map:Google マップ

電車:JR 香椎線須恵駅から徒歩20分(志免町HP

バス:志免町HP

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散策 

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アクセス方法は上記に書きましたが、僕はバス停のおじちゃんに騙されて変な場所に行ってしまい、緊急で途中下車して1時間以上歩きました(笑)。けれど、じわじわ大きくなる櫓を見ているとかなり興奮したので、おじちゃんを許そうと思います。

 

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住宅街から見える光景も実に素晴らしい。奇怪だ。

 

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いよいよこの坂の上に行けば目の前です。

 

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来たー!"すごい"の一言。経年劣化は進んでいますが、哀愁を感じます。立入禁止の表示もありますね。

 

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無邪気に走る男の子と、そのお母さんと、志免鉱業所竪坑櫓。

 

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角度を変えて。囲いの周辺は公園と大きな広場と総合福祉施設シーメイトがあります。もしお手洗いに行くならシーメイトにお借りするといいと思います。僕が行った時は、何かの屋台が1店出ていました。やきいもだったかな?

 

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近くで見上げると本当に力があります。相当感動しました。

 

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周辺には説明のパネルもあります。(画像の色合いが荒かったのでモノクロにしています。)

 

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こちらは「第五坑西側坑口」の説明パネル。

 

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「第五坑西側坑口」の実物。中に入ってみたかった。

 

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「第八坑本卸坑口」の説明パネル。

 

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「第八坑本卸坑口」の拡大構造図もどうぞ。

 

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「第八坑本卸坑口」には坑口はなく、大きな岩が幾つか置かれていました。石炭?

 

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こちらが「第八坑連卸坑口」の説明パネル。

 

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「第八坑本卸坑口」の実物。高さ3.15mもあるので迫力がありました。

 

おまけ

以前、モノクロの心理に関する記事を書いたのですが、撮った写真をモノクロにしてみました。炭鉱があった当時にタイムスリップしたような感覚になってもらえたらいいなと思います。

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エレベーターに乗る時の奇妙な沈黙が苦手です。

これからはどんなエレベーターか観察する時間にしたいと思います。

 

 

 

 

 

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*引用/参考資料

1. 金持ちはなぜ高いところに住むのか 近代都市はエレベーターが作った - (著)アンドレアス・ベルナルト (訳)井上周平・井上みどり(柏書房/2016年6月)

2. エレベスト 日本初のエレベーター鑑賞ガイド - 梅田カズヒコ(戎光祥出版/2008年6月)

3. Elevators - Escalators & Moving Walkways - Maintenance Programs - Otis Elevator Company

4. エリシャ・オーチス - Wikipedia

5. ブルジュ・ハリファ - Wikipedia

6. Facts & Figures | Burj Khalifa

7. 初めての方へ──宇宙エレベーター早わかり | 一般 | JSEA 一般社団法人 宇宙エレベーター協会

8. 宇宙エレベーター建設構想を動画で紹介|最新情報|株式会社大林組

9. 広報誌『季刊大林』53号(特集:タワー)を発行|プレスリリース|株式会社大林組

10. 宇宙エレベーター その実現性を探る - 佐藤実(祥伝社/2016年8月)

 

*奇怪な物を見に行こう 引用/参考資料

志免鉱業所竪坑櫓 - Wikipedia

志免鉱業所 - Wikipedia

旧志免鉱業所竪坑櫓 - 志免町ホームページ

【志免立坑櫓を活かす住民の会】残そう!活かそう!世界一の近代化遺産を…

日本近代化の証人・石炭産業の礎【志免立坑櫓を活かす住民の会】

撫順 その3 - 黄土高原 紅棗がみのる村から

・ワンダーJAPAN 2005 WINTER 三才ムック vol.115

  

*related

 

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